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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
桜が乱れ咲く里編
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53 召喚 合体

 召喚陣は村の集会場の地下でした。

 やはりインスタンスフロアなのか、私とカナコさんが同時に使えるようになっています。

 一緒に入ろうか、なんて言われましたけど、……カナコさんの前で呪文を唱えられえる気がしません。


 今回はレベルがふたつ分あがっているので、ネクロマンサーとソウルブリンガーから二回ずつ引けます。

 死体ガチャに選択肢はありませんが、武器ガチャと防具ガチャはひとつずつ引きましょうかね。


 では早速、ネクロマンサーから行きますよー。


「召喚!」


 いやーやっぱり気合が入りますよ、気合が。


 ずわぁっと黒いモヤが噴き出します。

 あれあれ、もしかして、もしかしますかこれ?


【ワイトを召喚しました!】


 ……ワイト?


 初見ですね。

 しかも演出からするとレアなんですが、見た目はどう見てもゾンビ系です。

 ただ異様に爪が長く鋭く尖っています。

 特徴といえばそのくらいでしょうか。


 スキルは……ちょっと強いゾンビみたいですね。

 敏捷強化が第二段階まであるということは、素早い可能性も高いです。

 俊敏なゾンビ……なかなか悪くないのではないでしょうか。


「では次に行きましょう、召喚!」


 ずももも……あ、これ普通の奴だ。


【イビルゴーストを召喚しました】


 おや、いろいろなところでご活躍のゴースト系じゃないですか。

 残念ながらリッチはもういないので、レイス化する材料にはなりません。


 これから引く武器ガチャ次第では、ダンシング某になる可能性もありますが、もしリッチを追加で引いたときに後悔しそうになるので、よほど面白くなりそうもなければ保留でしょうか。

 魔法さえ喰らわなければ、無敵な上にHP吸収までしますからね。

 そのまま使っても強いはずです。


 さてでは武器ガチャに移りましょう。


「召喚!」


 しゅきーん。


【ソウル・アーバレストを召喚しました】


 おおお、これは弓……じゃないですね。

 よく見るとクロスボウじゃないですか?


 もしかしてスケルトン・アーチャーくん、これで一皮剥けちゃったりしますかね?

 だとするとこれから戦うドラゴン戦で大役立ちの可能性がありますよ!


「じゃあ次は防具。召喚!」


 しゅきーん。


【ソウル・ウイエを召喚しました】


 おやおや、これはこれは。


 ローブじゃないですか!

 薄紅色で女性らしい華やかなものですよ。

 もしかしてマドカに合体できたりしませんかね!?


 さあ相変わらずソウルブリンガーは合体が楽しみになりますね。

 では検証していきましょう!!


     ◆


 予想通りとしか言いようがありませんね。


 スケルトン・アーチャーにソウル・アーバレスト、マドカにソウル・ウイエを合体させる以外に選択肢はほぼありません。

 さすがにマドカを差し置いてスケルトン・キャスターにローブを渡すなどといった暴挙は許されないでしょう。

 マドカはヨサクに次ぐ古参ですからね。


 さあ早速、合体させていきましょう!


【スケルトン・アーチャーにソウル・アーバレストを合体します】

【スケルトン・バリスタが誕生しました】


【レイス・ソーサレスにソウル・ウイエを合体します】

【レイス・ソーサレスが誕生しました】


 スケルトン・アーチャーはスケルトン・バリスタになりましたね。

 バリスタといえば攻城兵器ですが、アーバレストはそれほどのものなのでしょうか。


 少なくとも私には引けないほど弦が硬いというか、これ鉄じゃないですかね……。

 足踏み板とかついているので、矢を装填するにもかなりの筋力が必要そうです。


 ただスケルトン・アーチャーは元々筋力強化を持っていたので、合体によるステータス強化と合わせて引けるようになっていることを願うばかりです。


 さてマドカの方は、……ローブが可愛くなりましたね。


 いやていうか、地魔法の第三段階がタダでついてくるってなんですか。

 私の完全上位じゃないですかー。


 あ、いやまだ付与魔法という最後の牙城が残っていました。

 これです、私はこれから、付与魔法を伸ばしましょう。


 ドラゴンということはブレスがありますよね?

 付与魔法の第二段階はレジスト系ですので、属性が合えばそれでよし、合わなくてもエンチャントとレジストのために新しい属性を取得すればオーケー。


 よし、これでいきましょう。


 いやあしかし遂にマドカも四体合体ですよ。

 ムラマサに並びましたね。

 マドカの方が先輩なのに後塵を拝していた感がありましたけど、これで枕を高くして寝られることでしょう。


 ……いやアンデッド、寝ないんですけどね。


 さてこうなるといよいよスケルトン・バリスタくんに名前をつけなければなりませんね。

 本当は活躍する余地のありそうなスケルトン・キャスターくんにも名前をつけるべきなんでしょうけど、まだ未合体なので保留です。

 合体すると大きくイメージが変わることもありますからね。


「よし今日から君はロビンだ」


「……」


 出典はもちろん、ロビン・フッドです。

 単独で攻城兵器バリスタとあだ名されるヒーローの素質があると、私は見ましたよ。


 さあ、召喚と合体は済みましたので、カナコさんと合流しましょう。


     ◆


 カナコさんにマドカとロビンを見せびらかしました。


「ローブが可愛くなった?」


「そうなんですよー。薄紅色で、もしかしたらここでしか手に入らない限定ものだったりするかもしれませんよ」


「それはどうか」


 同意はいただけませんでしたが、可愛さは認めてくれました。


「ファナ、そのスケルトン」


「はい」


「矢はクロスボウ用のボルトが必要だと思う」


「あ、それなんですけど」


 実はソウル・アーバレストには矢生成なるスキルが付属しており、鉄製のボルトを生み出すことが出来るのです。

 ただし複数のボルトを生み出すことは出来ず、一本撃って、着弾してから次のボルトを作らないといけません。

 ボルトを撃ってすぐに次のボルトを生成すると、飛んでいる途中で消えてしまうようです。


 まあクロスボウのボルトは物凄い勢いで飛ぶので、よほどせっかちでない限りそんなことにはなりませんが。


「それならよかった」


「はい。そうでなかったらカナコさんにお願いしないとでしたからね」


「でも仕事がないのも、それはそれで寂しい」


「あー。そういうことなら、スケルトン・キャスターの防具をなんとかできませんか?」


「スケルトンにも魔法使いが……」


「そうです。一応、スノウ・ワイバーンのときも出したんですけどねー」


「ホネ、多すぎない?」


「そこはほら。ネクロマンサーですし」


 ホネかゾンビか幽霊か、ほぼ三択しかないですよ。


「それを言うならドールメイカーは人形一択じゃないですか。なにかいいの、引けましたか?」


「一応」


 そう言って見せてくれたのは、ゴスロリ・ドールというこれまた一部の特定層が喜びそうな人形でした。


「レベル10の分で引いたから、ティアー2のレア召喚獣。メイドより優秀」


「え、またいきなり引いたんですか」


 相変わらずの豪運っぷりですね。


 そういえば野営のときにティアーの話なんかしましたね。

 テキトーな考察なのに、どうも掲示板ウケは良かったみたいです。


 単にバラスケが私の意見を追従しただけなのではないかという疑念が拭えませんが、さすがにプロゲーマーとして間違った考察を垂れ流すことはないはずです。

 ……多分。


 さてスケルトン・キャスターの防具ですが、この里で手に入る布からローブを作ってもらいました。

 ついでにMPポーションも売っていたので、いくつか仕入れておきました。

 費用はドロップ品の一部を売り払って、ほとんど物々交換のような形で行われましたが、これには考えがあるからです。


 アドリアンロット北部山嶺地帯は未だに他のプレイヤーも入っていない前人未到の地であるため、ドロップ品もまだ誰も加工などを試していません。

 よって出来る限りサンプルを手元に残さなければならないのです。


 そしてもちろんカナコさんは鍛冶師なので、裁縫スキルなんて持っていません。

 つまりメイド・ドールの紅玉の手になる作品なのです。


 その名も丈夫な布のローブ+1、です。

 まあ最低限の装備ですね。


 そういえばβ時代のときはアイリーンという服飾と整髪を一手に担っていた方がいたのですが、会う機会がなかったですね。

 もしかしてブレインエミュレーションの対象外だったのかもしれません。


 ……いえ単純にそこまで親しくもなかったので、会う機会がなかっただけかもしれないんですけどね。


 そんなこんなで準備は万端。

 ドラゴンの試練、早速受けて来ましょう!!


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