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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
プロローグ
6/151

6

 斧の発注を無事に終え、次は木工職人辺りに顔見せしておこうかと思っていた矢先のことでした。


【運営より全プレイヤーに向けたメッセージが届きました】


 おや、ついに運営が対応を完了したのでしょうかね。

 早速ムービーを開きます。


「初めましてプレイヤー諸君。『幻想と召喚の絆』プロデューサーの原口雅直だ。今回のログアウト障害についてなんだが――」


 白髪混じりの頭髪に、目の下の隈、痩せこけた頬に伸び放題の無精髭。

 プロデューサーとしてはみすぼらしい表情ですが、これはゲームリリースにまつわる心労ゆえのものなのでしょうか。


「ありゃ意図的なものなんだ。悪いが、君達はこのゲームのラスボスを倒さなければ、ゲームからログアウトする事はできない」


 各所で悲鳴と怒声が上がります。


 私はそんなことより、原口さんの顔が気になって仕方がありません。

 確か、ゲーム雑誌などに顔を出したことは無かったはずです。


「ちなみに言っておくと、ゲームバランスは一切、いじっていない。ゲーム内で死んでも蘇生されるし、そのことがゲーム外に影響を与えるようなこともない。安心して、ゲームクリアを目指してくれたまえ」


 本気で言ってますか。

 少なく見積もっても二万人以上をゲームに閉じ込めたということになりますね。

 正気の沙汰ではありませんよ……?


「では皆の健闘を祈る。いつの日か、このゲームがクリアされるのを、楽しみに待っているよ」


 ムービーはそこで終わっていました。


 周囲は俄然、騒がしくなってきましたね、仕方のないことですが。


 さて私は……少なくとも私だけはあのムービーに違和感を持たざるを得ません。

 そして最悪の想像が、脳裏にチラついています。


 この懸念をいかにして晴らすべきでしょうか。

 ムービーの発信のことを考えれば、原口さんはまだゲーム内にいるかもしれません。

 少なくともゲーム内の反応をモニタリングしているはずです。

 つまり今を逃せば、いつ原口さんと話ができるか分かりません。

 善は急げ、というわけで運営宛てにメールを書きますか。


 どうか埋もれて目に留まらないようなことがないように、せいぜい祈るとしましょう。


活動報告のエイプリルフール企画は、おまけとしてプロローグ後に掲載することにしました。

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