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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
プロローグ
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4 召喚

 随分と日が傾いてきました。

 日照関係はリアルタイムに準拠していますので、住んでいる地域により多少の誤差はあれども現実の空と変わりません。


 少し手こずりながらも、北の森手前でのレベリングも順調です。

 現在のレベルはひとつ上がって4、効率はまあまあではないでしょうか。


 出来れば夕方までにレベル5を目指したかったのですが、ちょっと無理そうですね。

 街に戻ってから一旦、ログアウトしてきましょう。

 晩御飯は温めるだけのものを用意してあるので、すぐに戻って夜のレベリングですよー!


 おっとその前に召喚を済ませてしまいましょうか。

 このゲームではプレイヤーのレベルがひとつ上昇する度に、召喚獣を一体召喚出来るのです!

 レベルが4になったので追加で三体のアンデッドを召喚できるというわけですね。


 ……どう考えても面倒見きれませんね。


 まあ召喚獣は合体させたり出来るので、増やすのが無駄というわけではないのですが。

 ご存知の通り、スケルトンくんは装備がなければ役に立ちません。

 またゾンビやゴーストは装備が必要ないのですが、序盤はちょっと戦力的に厳しいものがあります。


 つまり今の段階で召喚しても、一体しかないパーティ枠はヨサク以外に選択肢は皆無なのです。


 レベル5でパーティ枠が一体増えるので、それをひとまずの目標にしてきたわけですが……。


 ちなみに召喚獣はプレイヤーのレベルに依存して強化されるため、データ面のみならば個別に育成する必要はありません。

 ただし戦闘経験については完全にAIの学習次第なので、引いたばかりの新入り召喚獣がベテラン召喚獣と遜色ない働きをするようなことはありません。

 とはいえ交代要員となる戦力を増やすのは大いにプラスになりますので、積極的に召喚すべきですね。


 というわけでやってまいりました、ネクロマンサーギルドは召喚スペースです。


 何が出るかは完全に運任せ。

 しかし手持ちの戦力を如何にして有効に活用できるかが、私はこのゲームの醍醐味だと思っています。

 とはいえレアなのを引けるに越したことはありませんがね。


「召喚!」


 もちろん掛け声は必要ありませんよー。

 気分です、気分。


 ずもも、と黒い煙から現れたのは……あちゃーゾンビくんですね。


【ゾンビを召喚しました】


 見た目は完全に腐乱死体です。


 ゾンビはアニマルテイマーのリトルベアと同じくらいタフですが、爪に毒がある代わりにパワーとスピードが劣るという性能です。

 動きが鈍いため攻撃を避けたり出来ず、結果的にリトルベアより打たれ弱いため、弱いネクロマンサーの中でもブッチギリで弱い召喚獣とされています。

 肝心の毒も、長期戦ならばダメージソースとして優秀なのは疑いようもないのですが、戦いが長引けば長引くほど受けるダメージも馬鹿にならないといいますか。

 運用するならば、毒を与えたら引っ込んでもらうか、防御魔法で支援するかなどの工夫が必須になりますね。


 しばらく出番は無いでしょう。


 さあ気を取り直して、


「召喚!」


 ずもも……おや、ゴーストくんですね。


【ゴーストを召喚しました】


 半透明で足がない、いわゆる幽霊なのですが、物理攻撃を一切無効化する驚異的な防御力を誇るアンデッドです。

 魔法や魔法の掛かった武器が弱点で、注意していないとあっさり死にます。

 もちろん味方からの魔法の巻き添え、いわゆるフレンドリファイアでも死にます。

 β時代も何度味方に殺されたことか……。


 ですがその反面、敵(味方)が魔法を使わない状況下では完全な無敵状態で、敵の足止めと妨害を担ってくれるでしょう。


 ……これで攻撃力があれば、ネクロマンサーも最弱職とは呼ばれなかったでしょうに。


 ゴーストは成長すれば攻撃手段を得られるかもしれないので、将来に期待ですね。

 やはり、しばらく出番は無いでしょう。


 さてもう一回、召喚できますねー。

 残しておく理由もないので、チャチャッと引きましょうか。


「召喚!」


 魔法陣が紫色に妖しく輝いて、眩い光とともに毒々しい煙が噴き出してきました。


 おお、これはまさかレア演出では!?


 こげ茶色の古びたフードマントを頭からすっぽりかぶった魔法使いルック。

 これは間違いありません、リッ――


【リッチ・ガールを召喚しました!】


 はて。

 リッチ……ガール、ですか?


 リッチは言わずと知れたアンデッドの偉大な魔法使いなのですが……ガール?

 βのときはレア召喚獣としてリッチがいましたが、ガールなどの区分はなかったはずです。

 リッチの仕様が変わったのか、正式サービスと同時に新召喚獣として実装されたのか、今は判断のしようがありませんね。


 フードの下の顔はかなり整っており、可愛い系の美少女です。

 ただし体温のない青白い肌は、病的を通り越して完全に死体なんですがね。

 アンデッドゆえ仕方なし。


 リッチ・ガールのステータスは完全に魔法使いでした。

 闇魔法と火魔法の二属性を使いこなす、私から地魔法を抜いたような性能です。


 というか、魔法の種類を除けば現状、プレイヤーの私に迫る強さがありますよ、この娘。

 どう見ても即戦力です、レギュラー入り確定ですね!


 では名前をつけましょうか。

 当面、使う予定のないゾンビとゴーストの名前はデフォルトの種族名のままでいいでしょう。

 期待の新戦力、リッチ・ガールちゃんの名前をどうするかですねー。


「よし今日から君はマドカだ」


「……」


 マドカは満面の笑みで、コクリと頷きました。

 どうやら気に入ってくれたようですねー?


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