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ブックマーク300件突破記念SSを活動報告に上げました。
よろしければ御覧ください。
「分が悪いようだな。今回はこの辺りで退かせてもらうとしよう。よくよく考えれば数ある召喚陣のひとつにすぎない。一時的に力を失わされただけで、完全に破壊されたわけでもないのだ」
負け惜しみを並べて、デビルサモナーは新たにシャドウサーヴァントを召喚して飛び去っていきました。
私たちの方は結局大した苦戦もなく、ウルシラさんはどうやらデビルサモナーと互角に立ち回っていたようです。
伝聞調なのは、ブラインドで見えていなかったのと、見えるようになってからはヨサクの支援にかかりっきりだったからです。
いやはや闇魔法の第5段階まで持っていると、さすがに厄介でしたね。
「ファナ、そっちは大丈夫か」
「はい。ウルシラさんの方はどうでしたか。デビルサモナーの方がかなり強かったはずですが」
「いや、そちらに召喚獣を割いたのだ。こちらはさほどでもなかったぞ」
ああそういうことでしたか。
デビルサモナーが私たちに三体の召喚獣を割いていたため、ウルシラさんと互角であったと。
なるほどよく出来たバランスのシナリオです。
今度会う時は、きっとデビルサモナーと召喚獣が一緒になって襲い掛かってくるに違いありません。
「ではもう帰りましょうか、街に。結構長く戦っていた気がしましたけど……夜9時ですか。確かギルドは二十四時間営業しているんですよね?」
「そうだな。夜中でも対応してもらえるぞ。新しい召喚獣か?」
「はい。それと新しい職業も、です」
そうなのです。
このシャドウサーヴァント戦でレベルアップして、遂にレベル10になったのです。
「そうか……使役できる数も増える。ファナ、君がどのような召喚士になるのか、今から楽しみだ」
「ありがとうございます。ウルシラさんも、まだまだ腕を磨くんですよね?」
「当然だ。私は兎人族の戦士だからな」
ニヤリと笑って、耳がぴこりと動きました。
【イベント「兎人族の戦士と悪魔召喚士」をクリアしました】
【全プレイヤーにグランドクエスト「魔神討伐」が与えられます】
…………はい?
イベントのクリアはともかく、グランドクエストってなんですか。
いや意味はなんとなく分かりますけどね。
つまりデビルサモナーを召喚した神を倒せってことでしょう?
…………あー他のプレイヤーはどのくらい公式の世界観を把握してるんでしょうかね。
いきなりシステムアナウンスがあって、混乱していなければいいのですが。
まあ、私がトリガーを引いたことがバレなければ、目立つこともないでしょうが、…………いやレベル10になって合体召喚獣を連れて歩くようになると、一発でバレるんじゃないでしょうか。
いやあ先が思いやられますね。
朽ち果てた寺院編は、これにて幕となります。
よって次回は待望? の掲示板回になります!