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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
朽ち果てた寺院編
20/151

19

活動報告にブックマーク250件到達記念の短編を上げました。

250件とは中途半端だな? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私にとってはそうではなかったということで。

【ロッティングコープスが討伐されました】


 寺院中庭の魔法陣は急速に光を失っていき、暫くの間、ボスがリポップされなくなります。

 まあ一~二時間といったところでしょうか。


 戦闘は途中で攻撃を受けたヨサクのHPが0になり戦闘不能になりましたが、すぐにパーティ解除からのパーティ参加で手元に召喚し直し、リジェネレイト・アンデッドを使って事なきを得ました。

 しかしそのためロッティングコープスに急激に接近され、内心、かなり焦ったものです。

 なんせ復活したてのヨサクはHPが少なく、すぐにリペア・アンデッドを使おうにも折悪しくMP切れ。

 大慌てでMPポーションを口に流し込み、MPバーがグングン伸びる途中でなんとか回復が間に合ったという始末で。


 いやー苦労はしましたがやりきれて良かったです!


 そしてレベルが一気に2レベル上昇して、9になりましたよ!

 朽ち果てた寺院に来たときは4だったことを考えれば、倍以上の成長です。

 おいしいレベリングができて大満足ですよ!


 さて、これにて朽ち果てた寺院は低レベル、ネクロマンサー縛り攻略を完了とさせていただきます。


 まだドロップアイテムの整理などもありますが、今日はもう街に帰って休むとしましょう。


「おめでとう、ファナ。まさか腐敗の魔法にあんな使い方があるとは知らなかったぞ」


 おおう……あなたのことを忘れてましたよ、ウルシラさん。


「ど、どうでしたか。ちゃんと私ひとりでここを攻略できましたが」


「ああ、見事だった。君の力量が足りないなどと、私の目の方が誤りであったことが証明されたのだ。悔しいが、戦いにいかに工夫が凝らせられるか……私ももう少し考えて戦わなければならないと自省したよ。君を侮って申し訳なかった」


「分かってもらえればいいのですよ。じゃあ、街に帰りましょうか」


 しかしそれは叶いませんでした。

 突如、空から声が降ってきたのです。


「いや、それは困る」


「!?」


 空を見上げると、そこには不気味な仮面を被った、黒いマントの男が浮いていました。

 白い仮面に簡素に穿たれたみっつの穴は、両目と口を表しているのでしょうか。

 真っ黒なマントは……いや、マントじゃない?


「まさかこの地に穿たれた召喚陣が、こうも容易く力を削がれるとは思わなかった。正直なところ、君は危険だ」


 敵意が私に向けられます。

 これが殺意、というものでしょうか。

 背筋に冷たいものが伝います。


 謎の男は地上に舞い降り、そのマントはふわりと独りでに浮いて人を象った影絵のような形になり、男の傍らに控えました。

 どうやら空を飛ぶ影の魔物だったようです。


 ……SPは2点浮いていますね。

 特に使いみちは決めていなかったので、1点くらいは構わないでしょう。


 即座に魔物知識スキルを習得しました。


《?デビルサモナー

 Lv?》


《シャドウサーヴァント

 Lv12 飛行 非実体 闇魔法5 闇耐性》


 むむ、デビルサモナー?

 もしかしてこれ敵NPC専用の召喚士じゃないでしたっけか。


 公式ホームページの世界観で語られていたことですが、私たちプレイヤーはこの世界を救うために善なる神に召喚された召喚士で、逆に世界を脅かそうとしている魔なる神に召喚された召喚士がデビルサモナーだったはずです。


「ウルシラさん、デビルサモナーです!」


「見れば分かる!」


 え、そうなんですか?

 ……って、使役している魔物がシャドウサーヴァントだから、そこから推測できるのでしょう。


 いや私は初めて見ましたから、知りませんけどね?


「お前にはここで死んでもらうぞ、ネクロマンサーの娘。丁寧に丁重に、二度と私の邪魔をしないよう丹念に殺してやろう」


「ファナを殺させはしない!」


 えーちょっと、なんでそんな芝居がかってるんですか。

 あ、ゲームのイベントでしたねこれ。


 ちょっと会話に入りづらいんですけどー。


 デビルサモナーが黒いコウモリのような翼を持った魔物を二体、召喚しました。


《インプ

 Lv9 飛行 闇魔法2》


 しかし召喚した当人であるデビルサモナーが、顔をしかめた様子。

 いや仮面で顔は見えないんですが、どうも呼び出した召喚獣がお気に召さないようですね。

 なんでそんなの呼んだのかなーと思いましたけど、多分これ私たちのレベルに合わせているからでしょうね。


 召喚獣のレベルに対して少し強いプレイヤーに対してシャドウサーヴァント、そしてヨサクとマドカには同レベルのインプと、そういうことなんでしょう。

 適正レベル10のダンジョンをクリアしたのに、プレイヤーがソロでしかも低レベルとか想定していなかったんでしょうね。


「ファナ、奴の相手は任せろ!」


「はい。ウルシラさんなら大丈夫、とは言えませんが、こっちはなんとかしますのでお気になさらず」


「そ、そうか。気負わない奴だな。くれぐれも気をつけろよファナ」


「はい。そっちの方が明らかに強いので、怪我をしないようにしてくださいねー」


 緊張感が持てないのは、これがゲームのイベントだと分かっているからでしょうね。

 原口さんはゲームをクリアして欲しいのであって、理不尽な難易度の障害をクリアさせたいわけではないのです。

 だからレベル相応の難易度だと分かっていて、多分私たちの戦いが決着した頃に、ウルシラさんもデビルサモナーと痛み分けで勝負が終わるんだろうなーなんて考える余裕まであります。


「じゃあ行きますか。ヨサクはシャドウサーヴァントを抑えて。マドカと私はインプを火の矢で仕留めましょう!」


「……」


「……」


 ヨサクは斧を振り上げ、マドカはフードの裾を握りしめて臨戦態勢です。


 しかしシャドウサーヴァントの非実体なるスキルが気になりますね。

 もしかしなくとも、魔法や魔法の武器じゃないとダメージを与えられないのではないでしょうか。


「エンチャント・ファイヤ!」


「……ファイヤ、アロー」


 まずヨサクに付与魔法を飛ばしたほうが良いでしょう。

 その後、インプを相手にしますかね。


「キキキ! ブラインド!」


「キキキ! ウーンズ!」


 おっとインプも闇魔法を持っていましたね。

 視界が真っ暗になってしまいました。

 こうして食らってみると、暗視に関係なく視界を奪うブラインドは凶悪ですね。


 ウーンズの方は一応攻撃魔法に属しますが、威力はナイフで浅く傷をつける程度のものでしかないので、あまり脅威になりません。


「うーん、そこかな? ファイヤアロー」


「ギギャァっ!?」


 当てずっぽうでファイヤアローを放ちます。

 見えて無くても、誘導性能は機能するようですね。

 静かにできない子たちのようなので、これなら苦戦はしないでしょう。


 しかしヨサクの方が危なそうです。

 どうもHPの減りからすると、一進一退どころかかなり押され気味のようですね。


 ブラインドで視界は閉ざされているものの、メニューウィンドウは普通に見えるので、意外と支援にも困りません。

 さすがに視界の端にあるミニマップにはバツ印がついて見えないのですが、召喚獣のHPとMP、そして私自身の状態は把握できるようで安心です。


「リペア・アンデッド!」


 戦いの音でだいたいの位置が分かります。

 目が見えない分、聴力が冴えているようですね。


 さあ、とっととインプを倒してヨサクの支援に専念しましょう!


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