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第三階層も第二階層と似たようなもので、魔法攻撃能力を持った魔物が皆無で楽勝でした。
よってスムーズに第四階層に降りることができたのですが……。
魔物が出現しないのでてっきりボスフロアかと思いきや、なにやら地面に大きな穴が空いていました。
野球ができそうな広さで、底が見えないほど深く、不自然なほど巨大な穴です。
大規模な崩落でもあったのでしょうか?
……そもそも、山人族の炭鉱なのに、これまで山人族と誰ひとりとして遭遇していません。
レブナントと化した山人族の炭鉱夫とは遭遇しましたけどね。
それ以前に、魔物の巣窟と化していますが、一体なにがあったんでしょうか。
魔王のヒントで直接やって来てしまったので、この辺りのバックストーリーが良く分からないですね。
考えても仕方がないので、この穴を降りることにします。
「ドラゴンウィング!」
パーティにはグラインダーとチゼルのフライング・ドラゴンクロウ・レギオンと、ジャイアントバット・レブナント・レギオンのみにします。
自力で飛べるのはこれだけですからね。
空中戦になったら怖いので、属性レッサードラゴン・レギオンでパーティー枠を埋めておきます。
では……いざ鎌倉!
「とう!」
◆
「っ――ドラゴンウィング!」
ドラゴンウィングの効果時間が終わって焦りました。
慌てて掛け直しましたが、……まだ底は見えませんねえ。
三分ほどゆるゆると穴を降りてきているのですが……。
まさか延々とこの状態が続くと思うと怖いですが、さすがに無限ループじゃないでしょう、多分。
底があると信じて飛び続けます。
そろそろ三度目の掛け直しが必要かと思っていた頃、ようやく終わりが見えてきましたよ!
どうも霧のようなものが漂っていて、穴の終わりの向こうがどうなっているのか分かりません。
何かあったら怖いので、ドラゴンウィングを掛け直し、突入します。
◆
一面の荒涼とした大地。
天を覆う暗雲。
穴を抜けた先は、地底世界でした。
◆
……いえ、遠くに緑が見えますね。
草原でしょうか。
その草原の更に先に街のようなものが見えます。
頭上は分厚い黒雲が覆っており、太陽などの光源は確認できません。
地下へ潜ったはずなのに空があるというのがおかしいのですが……雲のせいでもうどこから入ってきたのか分かりませんね。
とりあえず地上に降りて、街へ向かってみましょう。
ミニマップで方角を確認して、と……おや、地名が表示されますね。
ガエルミュラント南の荒野、ですか。
多分、ガエルミュラントがあの街の名前なんでしょう。
布陣をジャイアントバット・レブナント・レギオンを残していつも通り、合体順に編成し直します。
さあ、新しい街に出発ですよ!