118
広域マップとミニマップを切り替えながら、山人族の作った炭鉱を探します。
そう広いマップではないのですが、なにぶん山岳地帯ゆえ、歩き回るのに時間がかかって仕方ありません。
かと言ってドラゴンウィングで飛んだら地上の様子が分からないですからね。
おっと、あれがそうかな?
山肌に丸太で出入り口を補強された洞窟が見えてきました。
恐らくあれが山人族の作った炭鉱でしょう。
さっそく、入ってみましょうか。
◆
洞窟はアンデッドお得意のフィールドです。
そう、入る前は思っていたんですけどねえ。
《ジャイアントワーム
Lv40 牙13 弾力5 筋力強化11 生命強化11》
うぎゃー。
キモい、マジで芋虫系は止めて!!
ロビンを外してムラマサを入れます。
またセルフィも狭い洞窟内では動きづらそうなので、ササキに変えました。
……どうでもいいので、早く奴を倒して!!
駆けるはムラマサ、ヨサク、フジキ、飛ぶはグラインダー。
ササキとミスリムが続き、マドカとタツヤは魔法を構えています。
「どんどん攻撃して倒しちゃって! シャドウセイバー!」
もうとっとと倒したいので、私も攻撃していきますよ!
見たくもないんですけどね、本音は!
…………。
は、なんとかなりましたね。
弾力という防御能力のお陰で物理ダメージが通りづらかったようですが、ウチのパーティはパワーありますから、強引に切り裂いたり潰したりしてなんとかなりました。
魔法もよく効いたので、苦戦する相手ではないのですが……疲れますね。
そういえば敵は魔法攻撃能力がないから、こっちはほぼ無傷でした。
魔法まで使って倒しに行く必要はありませんでしたよ。
冷静さを失っては、いけません。
早く芋虫が出てこないフロアに行かないと……。
しかし格上な割に弱かった気がしますね。
EXPもドロップもなかなか良さげですが、巨大芋虫の皮なんて防具に使われたら堪ったものではありませんよ。
そういえば久しく防具を更新していませんね、私。
そもそも攻撃を受けることが少ないので、別にいいのですけど。
それより急いでこの階層のマッピングを進めて第二階層に進まないと……。
ジャイアントワームはもうこりごりですよ!
《ジャイアントバット
Lv40 牙12 吸血5 飛行9 敏捷強化5 筋力強化4 感覚強化5》
おっと、こいつはデカい蝙蝠ですね。
残念ながら魔法攻撃力がないばかりに、ウチのパーティには無力です。
狭い洞窟内では飛行能力があろうとも、地上戦力で対応できます。
実際、楽勝でした。
……ふむ、確か蝙蝠は超音波知覚でしたね。
感覚強化も持っているし、斥候役に丁度良さそうです。
一匹、クリエイト・アンデッドでお供に加えましょう。
パーティから抜けるのはササキです。
「クリエイト・アンデッド!」
では出発進行!
◆
マッピングは順調に進んでいます。
ジャイアントバット・レブナントくんがなかなか便利で、敵との遭遇の前兆をほぼ確実に捉えてくれるんですよ。
ジャイアントワームから体液を吸ってダメージを与えながらHPを回復したりと、戦闘でも悪くない動きをしています。
おっと、この階層でジャイアントワームを除くと最も厄介な奴がお目見えですよ。
《ジャイアントスライム
Lv40 消化15 弾力15 生命強化10》
武器による攻撃がほぼ無効なスライムです。
スライムはゲームによっては雑魚だったり強敵だったり、割りと振れ幅がありますが、このゲームでは強敵に分類されます。
ゲル状の身体は物理的な攻撃を弾き、触れた相手を酸でじわじわと溶かしていくという厄介さ。
おまけにかなりタフで、魔法で焼いても完全に死ぬまでに時間がかかり、面倒な魔物なのです。
さしものジャイアントバット・レブナントくんも、こいつからは吸血できないようで、距離をおいて飛んでいます。
見た目はわらび餅みたいで、きな粉をつけたら美味しそうなんですけどね……。
さてまずは有効打を与えられないヨサク、ムラマサの支援からですね。
「エンチャント・ファイヤ!」
この敵だけは私もサボってはいられません。
マドカとタツヤは魔法で攻撃。
ミスリムとフジキ、そしてグラインダーは魔法剣スキルによって武器攻撃が属性を帯びているため、ダメージを与えることができるので、積極的に前に出ます。
グラインダーの火魔法剣スキルとフジキの風魔法剣スキルはレベル30くらいで付いたと思しきスキルです。
グラインダーの場合はステータス欄を確認することがほとんどなかったので気づかなかったのですが、フジキの場合は風魔法や即死タッチなど、別方面での活躍が多く日の目を見ませんでした。
ようやく活躍の場ができて良かったですね、と言いたいところですが、厄介な敵が出てきたわけなので素直に喜べません。
消化はアリの蟻酸と同じく魔法ダメージのようで、あまり近づきすぎるとヨサクたちスペクター組でもダメージを受けてしまいます。
なかなか厄介ですが、スライムは鈍重なのでそうそう攻撃が当たることはありません。
だから支援が必要だったり魔法攻撃が必要になったりする以外は、苦戦するという程でもない、といったところでしょうか。
何度かの遭遇戦を経て、第二階層へ続く階段を発見したので迷わず降りることにします。
第二階層で芋虫と出会わないことを祈りましょう。