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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編
111/151

100

 棍棒を持った巨大な魔物が、六体。

 私たちを狩りの獲物だと言わんばかりに襲い掛かってきました。


《トロール

 Lv30 鎚8 地魔法5 筋力強化6 生命強化6 火耐性2 水耐性2》


 なるほど。

 陸路を避けるのはトロールが集団で出るためらしいですね。


 ですが私にとっては丁度いい相手です。

 こちらの布陣は最強メンバー、スペクター・ヴァイカウントのヨサク、スペクター・フェンサーのムラマサ、スペクター・ガーディアンのササキ、デュラハン・デュアルライダーのセルフィ、フライング・ドラゴンクロウのグラインダー、レイス・ソーサレスのマドカ、スペクター・バンカーのロビンです。

 合体数の多い方から順番に出しているだけですが、それだけに強力な布陣です。


 まずはトロール相手にどれだけ戦えるのか、試してみましょう。

 余裕があればメンバーを交代して合体数の少ないメンバーを鍛える機会とすればいいでしょうしね。


 ……っと、いきなりサンドブラストの六連射です。

 先制魔法掃射は理にかなっていますが、こちらはスペクターとレイスが主体なので、大変困ったことになるのですが。


「全員、散開!」


 範囲の広いサンドブラストから逃れられるはずもなく、メンバーの半数が戦闘不能、そもそも六発もの魔法を受けたらスペクターやレイスでなくともHPは八割以上をもっていかれることでしょう。


 私もかなりHPを減らされてしまいました。


 あれ、ちょっと舐めてかかってましたか?


 戦闘不能になったメンバーを全てレッサードラゴンに変え、一気に吐息で薙ぎ払います。


 いきなり派手な撃ち合いになりましたが、その隙に無事なメンバーの回復を優先します。


「エルダー・リッチ同化、――リペア・アンデッド!」


 私自身もエルダー・リッチと同化し、リペア・アンデッドで回復しておきます。

 いやあアースヒールより消費MPが低いのに回復力が高いというのは、便利ですね。

 さすがは専用魔法です。


 無事だったムラマサとセルフィを回復して特攻させ、トロールを混乱させましょう。


 特にスピードに優れたムラマサと、今回からプレイグメアに騎乗しているセルフィは敵の撹乱に向いています。

 攻めの要ですね。


 ピンポイントで地耐性のないヨサクが戦闘不能になったのが痛いですが、復活させる前に出せるメンバーを出しておきましょう。


 辛うじて耐えたササキを回復してから、レッサードラゴンに変えたヨサク、グラインダー、マドカ、ロビンの枠をグリムリーパーのフジキ、ファラオのマルキド、レイス・スカラーのタツヤ、ダンシング・ミスリルフレームのミスリムに変更します。


「全員、突撃!」


 乱戦にしてしまえばサンドブラストはありません。


 そしてこちらは全員、アンデッド。

 向こうは全て生物。

 ならば支援できる魔法は沢山あるのです。


「チルレイン!」


 冷たい雨が敵の器用と敏捷を低下させます。

 ただでさえ鈍重そうなトロールの動きが鈍ります。


「ダークミスト!」


 闇魔法第六段階の黒い霧を生み出す範囲妨害魔法です。

 昼間にしか使い道がないのですが、範囲ブラインドと同等の役割を持つ、といえばそれなりに強さが分かろうというものです。

 ただ完全に盲目にするブラインドに比べて、一定範囲を暗くするだけですので、効果自体はマイルドですね。

 まあ敵も六体いますし、ブラインドを六回かけるより手早く効果を上げられる点で、今まで使う機会こそなかったものの便利な魔法です。


 さて前線では、ああマルキドがまた無茶な拘束を試して振り回されていますね。

 ファラオになってもあの体たらく、……おや、マルキドをミスリムが捕まえましたよ。

 鈍重そのもののミスリムの重量でマルキドを押さえつけ、なんとかトロール一体の動きを止めました。

 おお、いい連携ですね。


 動きを止めたトロールはただのデカイ筋肉の塊です。

 ムラマサの斬撃とセルフィの突撃の良い的でしかありません。

 そしてフジキにとっても、反撃のないトロールは死の手……即死判定を試す絶好の機会です。

 ぺたり、とやってから消滅するか試しています。


 おや、即死した奴が一体でましたよ。

 消滅しなかった奴は諦めて大鎌での攻撃に切り替えます。


 タツヤは少し離れたところからシャドウバインドとウーンズで補助と攻撃を担っています。

 トロールに火耐性があるため、有効な攻撃手段がなかったようですね。


 これはメンバー選出を間違えました。


 タツヤをパーティから外し、満を持してのヨサク復活といきましょう!


 まあほぼ大勢は決しているのですが……。


     ◆


 初戦から不安なほどの損害を被りましたが、得るものもありました。

 まずトロールのEXPは割りと美味しいこと。

 そしてトロールのドロップアイテムから、トロール・レブナントを作り出せるということです。


 トロールに索敵能力はなさそうですが、その巨体から初手のサンドブラストを防ぐための壁になってもらおうと思います。


「クリエイト・アンデッド!」


 トロール・レブナントはステータスこそ下がっているものの、巨体に変わりありません。

 こいつを先頭にして初撃を凌ぎ、反撃に務めるのです。


 ……などと甘い考えを打ち砕くかのように、次なる敵はトロールばかりではありませんでした。


 巨大な鞭を持ったトロールと、巨大な爬虫類が三体、行く手を阻みます。


《トロール・テイマー

 Lv30 鞭8 調教5 筋力強化4 生命強化6 知力強化2 地耐性2 水耐性2》


《リザード・テイルビュート

 Lv30 尻尾8 伸縮3 拘束5 敏捷強化9》


 恐ろしく長い尾を持つ巨大なトカゲです。

 一瞬、ドラゴンかと見まごうかのような大きさでしたが、翼がないことと魔物知識スキルのおかげでただのトカゲであることが分かって一安心です。


 ……いや、全然、安心できませんね?


 シュルリ。


 まだ距離があったにも関わらず、トカゲの尻尾は恐るべき速度で伸びてトロール・レブナントの足に巻き付き、転ばせます。


 しかし魔法がなければ、多少厄介なだけでウチのメンバーの敵ではありません。


 横から二体のトカゲが回り込んできますが、……ってうわ速い!?


 シュルリ。


 ムラマサがその長大な尻尾に絡め取られます。

 次いでササキも。


 しかしヨサクとグラインダーとで尻尾を斬り、二体を解放しました。

 ……が。


 ニュルン。


 なんとトカゲの尻尾はすぐに再生してしまい、再度襲いかかります。


 シュルリ。


 ええい、キリのない!

 魔法攻撃でない限りはダメージがないとはいえ、こうも手玉に取られるのは良い気がしません。


「グラインダー、トカゲどもを倒して! 残ったメンバーは尻尾への対処! ……ってうわ!?」


 なんと私が絡め取られてしまいました!


 慌ててシャドウリープで逃れます。


 危なかったですね、エルダー・リッチと同化しなくても第十段階まで闇魔法があって助かりました。


 あのまま尻尾で絡め取られたままトカゲの目の前まで運ばれていたら、近接戦闘しなければならなくなっていたところです。

 そうなったら全滅もあり得たでしょう。

 危ういところでした。


 最初に転ばされたトロール・レブナントはなんとか立ち上がり、敵のトロール・テイマーと殴り合っています。

 トロールの巨体を尻尾で拘束し続けるのは無理だと判断したのか、三匹目のトカゲがこちらに来てしまいました。


 うわあ面倒くさい。


 しかしグラインダーがトカゲの一匹を瀕死に追い込んでいます。

 小さい上にすばしっこい全身凶器、グラインダーにさしものトカゲも対処できずに一方的にやられているようですね。

 この好機に追撃すべきでしょう。


「マドカ、グラインダーをシャドウセイバーで援護! 数を減らしましょう!」


 シュルシュルとこちらの動きを制限する尻尾の数を減らせば、攻撃に回るメンバーを増やすことが出来ます。


「……シャドウ、セイバー」


 トカゲの足元から鋭い影の剣が腹を突き破ってHPバーをガクンと減らします。

 どうやら耐久力はさほどでもないようです。


「そのまま攻撃し続けて。シャドウセイバー!」


 私もマドカに続き、追撃を入れます。


 ポコン! と一匹がようやく消滅し、なんとか数の有利を活かせるようになると、後はスムーズに勝利まで一直線でした。


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