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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編

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 カナコさんとノマキさんと一緒に、ヤツハカ村にやって来ました。

 相変わらず木の柵で囲まれた広大な農地と、ジャイアントビーの巨大な巣がヤツハカ村の全てです。


「じゃ早速、住人召喚してもらいましょうか、カナコさん」


「分かっている」


 そういえば他人が召喚するのを見るのは初めてですね。

 カナコさんは女王蜂の玉座の前にある魔法陣の前に立つと、メニューからポチポチと召喚していきます。


 うわー、地味ぃ。


 しゅるーん、と人形が十一体に、天使が四体召喚されました。


「カナコさん、人形と天使は何ができそうですか?」


「……いま調べてる。天使はよく分からないけど、人形はスロットがひとつずつ空いている。これは想定内」


 予め部品を買い込んでおいたようですね。

 ストレージから歯車のようなパーツを取り出すと、人形に取り付けていきます。


「何のスキルですか?」


「農耕と養蜂と料理をみっつずつ」


「おおう、それはピンポイントですね」


「後はスロット空いたままになる。何か必要なものがあれば、街で買ってこなきゃ」


「移動、不便ですよねー……」


 ひとまず道中で倒したグリズリーを三体、クリエイト・アンデッドで住人配備しました。

 これでグリズリー・レブナントは合計六体、ヤツハカ村を守る戦力としては十分でしょう。


「それじゃ全召喚獣を配備して、一時間ほど休憩しましょうか」


「全召喚獣を配備?」


「そうですよ。あ、ウチのヨサクなんですけどね、子爵様なんです。きっと内政を上手くやってくれてると思うんですよね」


「子爵……?」


「対外秘でお願いしますねー」


 ヨサクのステータスのスクリーンショットを見せます。


「う、なにこの十一体合体て……ヴァイカウントは子爵って言う意味なの?」


「そうなんですよ。どうもマントとか指輪が爵位だったらしくて」


「そうか、スケルトンは武器も防具も装備させなければならないから、逆に言えばソウルブリンガーの装備を片っ端から合体できる、と」


「そうなんですよ」


 他の職業の召喚獣は防具が固定だったりするので、割りと合体数が頭打ちになるのが早いようですね。

 更にスケルトンがスペクターになったり、武器にゾンビやグールを合体させられるのも相まってか、合体数が加速度的に伸びていくのです。


 もっともセレブリティスカラーの発見により、今後は他の職業でも合体数が伸びていく気がしますけどね。


 カナコさんも全召喚獣を住人配備したようで、天使のような翼と光輪を持った人形が配備されています。

 そういえば掲示板で見ましたね、合体させた天使人形。


 生産特化の天使メイドドールである蒼玉と紅玉は重宝するらしく、ヨサクが優先的に命令を出しています。


 用意のいいカナコさんは、何か野菜の種や苗木をストレージから出して、農業人形に渡していますよ。


「おお、そういえば何か種とか買わないといけなかったのをすっかり忘れてました」


「そう思って幾つかは用意しておいた。でも畑が広すぎて明らかに足りないと思う。増えていくならいいんだけど」


「その辺は住人が勝手にやるでしょう」


「……放任すぎる。それよりさっきファラオみたいなのがいたけど……あれなに?」


「おや、マルキドに目をつけるなんて……あれ種族名、まんまファラオなんですよ」


「それほんと? 種族名がファラオって……ふふ……」


 どうもカナコさんのツボにハマったようです。


     ◆


 一時間後、内政が大幅に進んだためかユニオンポイントが結構伸びました。

 これなら道路を引いても余裕があります。


「じゃまずはヤツハカ村から森人族の里へ道路を引きますー」


 ぽちっとな。


 するとズワァっと木々を押しのけて土を踏み固めたような道路がほとんどまっすぐ、森人族の里まで伸びていきます。

 山々を幾つか越える必要があるとはいえ、ほぼ直線距離を進めるのはかなりの時間短縮になるでしょう。

 交易が捗りますね。


 さてではついでに、他の道路も引いておきましょう。


 ヤツハカ村からヤツハカ城へ。

 ヤツハカ城からヤツハカ山へ。


 これでアドリアンロットから北の山を抜けてヤツハカ山まで行けば、あとはヤツハカ城を経由してヤツハカ村まで行くことができます。


 カナコさんが広域マップを掲示板にアップロードしたようですね。

 素早い仕事です。


 これでアドリアンロットから移動していない人たちもメオントゥルムに来やすくなることでしょう。

 いやあサーバーに貢献するってのも悪くないですねえ。


「じゃファナ、私は一度、里に戻るけど、ふたりはどうするんだ?」


「あー、もう一度訪ねておきましょうか。どのくらい時間短縮されたのか、道中の敵はどんな感じなのか。試しておきたいですからね」


「うん、じゃあふたりとも、もうしばらくよろしく」


 ノマキさんはギルドに所属しつつ仕事をしながら竜の試練をクリアできるまでメオントゥルムで鍛えるそうなのですが、里に定期的に物資を持ち帰らなければならないそうです。


「あれ、それならヤツハカ村に交易所でも置けば良いのでは?」


「そんなことができるのか?」


「幸い、天使は言葉を解すようですし、恐らくゴースト同様、商業が可能でしょう。真面目そうですから、メオントゥルムで買い込んだ物資をヤツハカ村に売って、森人族の里の人たちはここまで買いに来ればいいんですよ」


「おおー。……なんかさりげなく中間搾取されそうだけど、まあその方が便利かもだなあ」


「仕入れと買い込みの時期は打ち合わせておかないと、店に何もない状態になりそうですが……まあそのときは蜂蜜でも野菜でも買っていけばいいですしね」


「そうだな、じゃあその辺を帰ったらお爺ちゃんに話しておくか」


 そんなわけで、全召喚獣を回収して、森人族の里に向かうことにしました。


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