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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編
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 さて城内は文化的な生活に必要なものがほとんど不要な面々なので、あまりおもしろいものもありません。

 なので休憩兼内政のターンは早々に終わらせ、次なる支配地をゲットしにアドリアンロット北部山嶺地帯南東部に向かいたいと思います。


 蜂、ゴブリンと来て、何が出るやら。


 メンバーはいつもの精鋭、スペクター・ヴァイカウントのヨサク、スペクター・フェンサーのムラマサ、スペクター・ガーディアンのササキ、レイス・ソーサレスのマドカ、スペクター・バンカーのロビン、レイス・スカラーのタツヤに加え、斥候役のグリズリー・レブナントの七体です。


 昨晩にドラゴンブレスを大盤振る舞いしてしまったため、もう少し休憩してもいいのですが、どうせ移動に時間がかかるので出発したいと思います。

 時刻は……日が傾き始めていますね。

 この分ならハイゴブリン・ロード戦から丸一日のクールタイムも終わり、ドラゴンブレスの大盤振る舞いができそうです。


 ゴブリン、ジャイアントアント、グリズリーあたりを蹴散らしながら、南東部を目指します。


 おっとここでメニュー欄にまたメッセージが。

 カナコさんですね。


 いまどこで何をしているのか、という内容のようですが何度か同じようなメッセージが来ているので、同じように「秘密です」と返しておきましょう。


 まあなぜかユニオン結成と支配地についてはバレている節があるので、いずれはヤツハカ村が見つけられそうですね。

 運が悪ければノマキさんが森人族の里へ帰る途中で発見されるかもしれません。


 くん、とグリズリー・レブナントの首がまわり、鼻をスンスンいわせています。

 どうやら敵が近くにいるようですね。


 いやあ斥候役にグリズリー・レブナントを選んだのは正解でしたね。

 今までは奇襲は受けて当然のものでしたが、今は奇襲を受ける前に気づけるようになったのです。

 戦術的に大いなる前進ですよ、これは。


 ……できれば奇襲をする側になりたいものですが。


 おっと相手は見たことがない連中ですね。


《キラーエイプ

 Lv23 格闘6 叫び4 筋力強化4 生命強化4》


 キィキィと叫びながら、集団でやって来ます。


 まあ瞬殺ですけどね?


 どうやらこのアドリアンロット北部山嶺地帯南東部の支配者はエイプ……つまり類人猿らしいですね。

 エイプといえば獣の俊敏さと膂力を持ち、なおかつ賢いという厄介な敵ではありますが……。


 残念なことにここ南東部は、アドリアンロットからメオントゥルムに向かう道すがら。

 私はもうこの辺りの敵に苦戦することはありません。


 ハイゴブリン・ロードにはしてやられましたが、恐らく見積もって同程度。

 魔法を使うエイプがどの程度いるかによりますが、同じ轍を踏むほど私も甘くはありませんので。


 さあエイプの集団が来た方へ行きましょう。

 いや、ちょっと待って下さい?


 私はここまで斥候を努めてくれたグリズリー・レブナントをパーティから外し、キラーエイプのドロップ品である狒々の大腿骨を指定して、


「クリエイト・アンデッド!」


 配下として蘇らせます。


《キラーエイプ・レブナント

 Lv23↓ 格闘6↓ 叫び4↓ 筋力強化4↓ 生命強化4↓》


「よし、お前らの一番偉い奴のところまで案内しなさい」


「キキィ」


 どことなく焦点の合わない瞳のまま、キラーエイプ・レブナントは山道を進み出します。


 そうか、ゴブリンのときもこうしていれば早かったですね。


 まったくもって応用範囲の広い魔法です。

 さすがレベル30の専用魔法ですね。


     ◆


 キラーエイプ・レブナントがやって来たのは、エイプたちの集落のようでした。


 サル山で多数のメスに囲まれているのが、ボスのようですね。


【キラーエイプ・キング“ハーレム王”ダナンエルスが現れました】

【速やかに討伐してください】


《キラーエイプ・キング“ハーレム王”ダナンエルス

 Lv55 格闘9 叫び9 学習6 敏捷強化2 筋力強化6 生命強化6 統率5》


《キラーエイプ・グラップラー

 Lv28 格闘7 叫び4 敏捷強化2 筋力強化5 生命強化3》


《キラーエイプ・ドルイド

 Lv33 格闘2 地魔法5 筋力強化3 生命強化3 知力強化3 精神強化3》


 ほとんどはただのキラーエイプですが、中にはグラップラーという格闘家とドルイドという魔法使いがいるようですね。

 しかし肝心のボスが脳筋ですので、スペクター組はダメージを受ける要素が全くありません。


 今までの二箇所の支配地と比較してアドリアンロット寄りなので、難易度が低いということでしょうか。


 あ、もう君の役目は終わりだからドラゴンゾンビと交代しましょうね。


 私はキラーエイプ・レブナントをパーティから外して、ドラゴンゾンビを入れようとしてはたと気づきました。


 ……順調に来すぎていて、昨晩のクールタイムが終わってませんよ!


 ドラゴンメイジの使役する召喚獣ドラゴンは一日に一回しか呼べません。

 クールタイムはきっかり二十四時間です。

 集落に突入する前に気づけて良かったですね。


 ……まあ、向こうがこっちに気づいてしまったので、戦闘は避けられませんが。


「ナイトウォーカー!」


 とにかく敵は脳筋軍団です。

 ドルイドさえ消し飛ばせば、後は楽勝なはず。


 空いているパーティ枠にレッサードラゴン(雷の吐息)を加入し、先制攻撃の狼煙としましょう!

 大丈夫、ドラゴンゾンビはいなくてもまだ何体か、レッサードラゴンがいますから。


「ってー!!」


 レッサードラゴンは、コントラクトゲートからぬうっと首を突き出して、口からバリバリと電撃を広範囲に放ちます。

 案の定、キラーエイプ大混乱。

 いや、大激怒?


 うわ、こっち来ますよ!?


 急いで別のレッサードラゴンに入れ替えて薙ぎ払っていきます。

 その間、私はヨサクたちに支援魔法を掛けねばなりません。


「アウェイク・パワー!」


 武器、防具、武器、防具……マドカとタツヤを除いて、戦士組はそれぞれ武器と防具をひとつずつ強化しておきます。

 敵は脳筋、いくらダメージがないとは言えど、衝撃などで転倒などして隙をつくれば、危険になるのは後衛の私たちですからね。


 念入りに強化し終え、レッサードラゴンをあらかた使い切った後、フライング・ドラゴンクロウのグラインダーをパーティに加え、いつもの布陣、完成です!


「ヨサクは敵のボスと一騎打ち。他全員で生き残った猿どものとどめを刺していきなさい。特に魔法を使う奴がいたら、最優先で倒せ。回復されるぞ! ではかかれ!」


 ひとまずは雑魚の掃討を完了させねば戦局の安定はありません。

 その間の時間稼ぎは、ヨサクに任せましょう。


 今のヨサクの強さなら、ボスとタイマンでもしばらくは保つでしょう。


 さて私はMPポーションを飲んでから、エルダーリッチと同化して、支援ですかね。

 ハイゴブリンロード戦では結局、同化する余裕もなしに終わってしまったので、たっぷり時間が残っていますよ。


 ボスに効くかどうかは分かりませんが、ペリッシュで衰弱させてブラインドで盲目にして。

 シャドウセイバーで攻撃していくのもいいですね。


 さあ、既に半分、勝機は見えています。

 あとはやれることをやるだけですよ!


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