表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
アンデッド村開拓記編
100/151

89

 未合体の七体を残して、ドラゴンと全合体召喚獣を引き上げさせてから、私はアドリアンロット北部山嶺地帯北東部に向かうことにしました。


 残してきた中に、スケルトン・スミスとスケルトン・ウッドクラフターがいるので、村の開拓に何がしかの貢献をしてくれると思うのですが……少なくとも鍛冶設備のないスミスは役に立たないかな?


 そうするとユニオンポイントを使って炉の購入などをしたいところですが、ちょっとそれは待ちましょう。

 最優先で欲しいのはネクロマンサーギルドですからね。


 北東部に入ると、出現する敵が少し変化しました。

 ジャイアントビーとグリズリーが減り、ジャイアント・アントが増えてきたのです。


 また稀にゴブリンの部隊と遭遇することがあり、敵編成の中のゴブリン・メイジなどの魔法使いにひやひやさせられることもしばしばあります。

 なんといってもスペクターやレイスは魔法に弱いですからね……。


 おっとまたアリですね。

 カナコさんがいたら「アリだー」って叫んでくれたでしょうけど、今のメンバーでそんな茶目っ気のある奴はいません。


 そういえばカナコさんにユニオン結成したことがバレてるっぽいメッセージが飛んできたんですけど、どこでバレたのでしょうか。

 フェミニオさんが喋っちゃったとかですかね。

 しかしそうするとユニオンのヘルプも読まれることになるわけで。

 さあ本格的に時間がないですよ!!


《アント・ソルジャー

 Lv18 槍3 蟻酸3 蟻兵誘引3》


 六匹のアリですが、こちらの布陣の敵ではありません。


 スペクター・ヴァイカウントのヨサク、スペクター・フェンサーのムラマサ、スペクター・ガーディアンのササキ、レイス・ソーサレスのマドカ、スペクター・バンカーのロビン、フライング・ドラゴンクロウのグラインダー、レイス・スカラーのタツヤ。

 私を含めて7体と1人のパーティですよ。

 格下のアリに負ける要素は存在しません。


「……ファイヤ、ブラスト」

「……ファイヤ、アロー」


 マドカのファイヤブラストが四体ほどのアリを巻き込み、タツヤのファイヤアローが外れた一匹を狙い撃ちにします。


 魔法の的にならなかったアリにはロビンのアーバレストが炸裂。

 一発で頭部を粉砕してポコン! と消滅しました。


 さあ、魔法で傷ついた残りのアリたちには、無慈悲な強さを誇る前衛組の餌食です。


 万事この調子で、アリは何の問題もありません。


 おっと、戦闘音に惹かれたのかゴブリンの部隊がやはり六体、こちらは粗末な剣と槍、斧を持った前衛が三体と杖を持った奴が二体、弓が一体とバランスのいい編成です。


《ゴブリン・ソードマン

 Lv22 剣5 回避5 連携2 夜目》


《ゴブリン・スピアマン

 Lv22 槍7 回避2 連携3 夜目》


《ゴブリン・アックスマン

 Lv22 斧3 回避3 頑強3 連携3 夜目》


《ゴブリン・メイジ

 Lv22 火魔法3 闇魔法3 杖4 連携2 夜目》


《ゴブリン・ヒーラー

 Lv22 水魔法5 杖2 精神強化3 連携2 夜目》


《ゴブリン・シューター

 Lv22 弓5 疾走3 回避2 連携2 夜目》


 スペクターは大抵の攻撃魔法で多めにダメージを受けるので、杖持ちを排除したいところです。

 なおゴースト系がフレンドリファイヤなどで瞬殺されるのは、単に魔法に弱いだけでなく素のHPが低いせいでもありました。

 スペクターはその辺、戦士系のスケルトンと合体しているため十分なHPがあるので、魔法が何発か当たった程度じゃ死ぬような事はないのですが、それでもやはり大ダメージを受けるのはいい気持ちがしません。


 消費が少ないとは言え、回復にかけるMPのことも考えなければなりませんからね。


「マドカ、タツヤ、ロビン、グラインダーは杖を持ったゴブリンを優先的に排除。ただしグラインダーへの誤射には気をつけること。前衛は敵の前衛を蹴散らせ」


 命令を出して、私は木陰で見学です。

 この程度の相手に使う魔法はありませんからね。


 あーやっぱり鎧袖一触ですね。

 そしてEXPゲージもほとんど動きません。


 アリの巣か、ゴブリンの巣を強襲しなければ、まともな経験値にならないのでしょうね。

 やはり支配地を増やすためにも、レベリングのためにも、この地域の完全制圧は必須のようです。


     ◆


 少数で哨戒するゴブリンが増えてきました。

 どうやら巣が近いようですね。


 ミニマップを確認しながら、怪しいところをしらみ潰しにさがしていくと、あったありました、ゴブリンの巣穴です!


 入り口と思しき洞窟の前に二体のゴブリン・スピアマンが眠そうにして立っています。

 洞窟の外側にも水場やら獣を吊るすための木の棒で組まれた物干し竿のようなものなど、ここで生活していることを伺わせる雰囲気のものがいくつか見て取れます。


 さあ、ゴブリンを殲滅しましょう!

 ネームドくらいはいるといいのですが……。


「ナイトウォーカー! では突入する!」


 ムラマサとグラインダーが先を争うように飛び出しました。

 続いてヨサク、ササキはマドカとタツヤ、そして私と歩調を合わせて進軍です。


 いきなり飛び出してきた私たちにびっくりした二体のゴブリンが奇声を上げながらやりを構えますが、


 ザンっ!


 シュルルン!


 ムラマサとグラインダーの前にあっさり斬首されてポコン! ポコン! と消滅しました。


 しょっぱい経験値とボロい槍という碌でもないドロップ品にうんざりしながら、洞窟の中へと足を踏み入れます。


 暗視が標準搭載されているアンデッドばかりですから、洞窟の探索に松明や灯りの魔法は不要です。

 さあてどの程度の抵抗がありますかね?


 洞窟はまるでアリの巣のように通路の枝分かれが多く、小部屋がたくさんありました。

 もしかしたらジャイアントアントの巣を利用しているのかもしれませんね。


 そこで襲い掛かってくるゴブリンを斬って焼いて突いて潰して。

 いまひとつ抵抗に手応えがありません。


 一番奥の部屋、豪華な椅子に羽飾りの付いた帽子を被り、綺麗な布のマントを羽織ったゴブリンと、それを守る近衛ゴブリンがいたのですが……。


《ゴブリン・シャーマン

 Lv30 火魔法5 風魔法5 地魔法5 水魔法5 夜目》


《ゴブリン・ガード

 Lv25 槍7 盾5 連携3 夜目》


 ……なんですか、これ。


 ゴブリン・ガードをムラマサとグラインダーが瞬殺して、ゴブリン・シャーマンが放つ魔法にダメージを受けながらも、気にもとめずにヨサクがハルバードの斧部分を頭に叩きつけました。


 ポコン! と消滅していくガードとシャーマン。

 ああ、ここじゃなかったんですね。


 ちびりと入った経験値にも、シャーマンが持っていた赤霊石なるドロップ品にも、何の感慨もなく私は肩透かしを喰らった気分で、洞窟を立ち去りました。


 ……つまりゴブリンは、各所に点在する巣や集落にそれぞれボスがいるけれど、そのボスは必ずしも支配地域を持つようなネームドではない、と。


 これは結構面倒ですね。

 まあいいでしょう、夜はまだ長いのです。

 焦らず、ゴブリンを鏖殺していきましょう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ