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幻想と召喚の絆  作者: イ尹口欠
朽ち果てた寺院編
10/151

9

ブックマーク100件突破記念SSを活動報告に載せました。


日に日にアクセス数とブックマークが増えていきますが、マジすっごい励みになっててアドレナリンどばどばでテンションあげあげです。次章の執筆もガンガン進んでるので、実際の数字として反映されるともっと頑張れると思います(すげえ露骨なアピール

 原口さんには二度とここの人達を使ったブレインエミュレーションをしないよう強く釘を刺して、話を終えました。


 色々と衝撃的な事実が発覚しましたが、結論としましてはこのゲームを楽しむ、これに尽きますね。


 現実の自分は死んだそうですから、「自分は偽物の存在である」などと思い悩む必要はありません。


 成り代わるまでもなく、もはや私こそが唯一の船橋杏奈であるのです。ふはははー!


 ……思わず心中で高笑いしてしまいましたが、よく考えると今後二度とゲームから出ることはないので、これからはネクロマンサー・ファナとして生きていきましょう。

 これで名実ともに船橋杏奈は死にましたね。

 はい、この話はここまでー。


 さてまずはβ時代のフレンドに会いに行くことにします。


 そもそも原口さんが言っていた条件――ゲーム初日にログインし、かつ半年以上それなりのログイン時間がある――をクリアしていない場合、この『幻想と召喚の絆』にいない可能性があるのです。

 まあ彼女たちなら余程リアルが多忙にならない限り条件はクリアしていると思うのですが、実際にこの目で確認した方がいいでしょう。


 ゲームに閉じ込められたというこの状況に対して、もし前向きに立ち直れたなら、積極的に攻略に参加するはずですからね。

 私は『幻想と召喚の絆』がクリアされた後、如何に快適に過ごすかが当面の課題となりますので、攻略というより自己戦力の増強を積極的に図っていきたいと思います。

 なので攻略熱心な有力プレイヤーとのコネクションは、ないよりあるに越したことはありません。


 ゲーム内だけの付き合いとはいえ、仲のいい友達なんですが、それ以前に女性でもあります。

 だからそういう打算づくの話だけじゃなく、女性同士の繋がりというのは、ゲームでも現実でもないがしろにすると後で面倒なことになるっていう切実な理由もあるってことなんですよ。


     ◆


「もしかしなくてもファナか!?」


「はいファナですよー」


 大通りの露天に、目当ての知り合いがいました。

 どこぞの劇団に所属していたら王子様なんて呼ばれそうなボーイッシュなアバターのセインさんと、


「β以来ですわね、ファナ」


「そのロールプレイ、本サービスでも続けるんですか……」


 コテコテのお嬢様ロールプレイヤーのエクレアさんです。

 あろうことか既に金髪縦ロールという個性的な髪型になっていました。

 デフォルトの髪型には無かったはずなんですけどね、縦ロール。


「エクレアさん、もう整髪師に髪型を変えてもらったんですか?」


「もう、髪の話をしている場合じゃないでしょう!? わたくしたち、ゲームに閉じ込められてしまったのよ!」


「ラスボスを倒せばいいんですよ」


 私の言葉に、エクレアさんは目を丸くして「そういうことじゃないのですけれど」とこぼしました。


 何がおかしいのか、セインさんが苦笑しながらかぶりを振りました。


「やはりファナは攻略に前向きなようだな」


「やはり、とは?」


「実は、会社に行かないでゲーム三昧できてサイコー! とか思ってそう」


 どういう目で私を見てるんですか、この人は。

 ……実際、ちょっと思っちゃった自分もいるので、反論できないじゃないですか!


「まあ実のところ、ファナじゃなくて私がそうなんだけどね」


「セインさんが、ですか? それは意外ですね」


「私が真面目そうだとか思ってるなら、見当違いだよ。私はそんなに立派じゃない」


 セインさんは肩をすくめておどけてみせました。

 この人はメンタル、強そうですね。

 ひとまずゲーム内に閉じ込められるという現状に対して、受け止めて攻略に参加すべきか検討する程度には冷静なようです。


 問題は、エクレアさんでしょうか。

 見るからに狼狽えています。

 少し発破をかけましょうか。


「ひとまず日が暮れますね。私はこれから狩りに行ってきますよ。エクレアさんは今回も木工師ですか?」


「ちょ、ちょっとお待ちなさい! 確かに木工スキルは取得しましたが、そうではなくですね――」


「ラスボスを倒すつもりなら、まずはレベリングですよ。エクレアさんは、ゲームがクリアされるまでずっと、助けを待ってじっとしているんですか?」


「そ、……そんなわけないじゃありませんか! わたくしを何だとお思いですの!? あなた程ではなくとも、βではそれなりに知られたエレメンタラーですのよ! ラスボス攻略なんて、わたくしにかかれば勝利は約束されたようなものですわよ! おーほほほほ!」


 エクレアさんは手を口元に当てて、高らかに笑ってみせました。

 よしよし、この分ならすぐ立ち直ることでしょう。


「じゃあ、明日あたり杖を注文しますね。私と召喚獣の分を」


「わかりましたわ。準備はしておきましょう」


 これでひとまず、ふたりは大丈夫そうですね。


 カナコさんの様子も見ておこうかと思いましたが、掲示板を覗いたらいつも通りの様子だったので、気にせず夜の狩りに繰り出すことにしました。


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