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魔法道具専門店

 一条は学校の帰りに、四万十市中村一条通4丁目にある『アイドル21』というお店に来ていた。


 この店は、一条が高校生の時からの常連で、贔屓にしている店だ。というのも、ここにしか無い物が売っている為である。


「まいど」

「まいど」

 店の中に入って、店長に挨拶をする。この店は、家庭用ゲーム機関連の商品やグッズ、トレーディングカードとかも売っている店だ。

 店長とは、店長が店に勤めだした頃からの知り合いで、歳も近かったから、すぐ仲良くなれた。今では親友になっている。


「にゃんこ先生は一緒じゃないんだ。また、あのゲームでドンパチやってんのか?」

「まぁね。先生はガチバトルで、裏取りしてからのリスキルが大好きだから」

「あーー、にゃんこ先生はガチ強いからなー、相手が可哀想だ」

「少し手加減したら?って言ったら、ストレス解消してんだから、邪魔すんなだと」

「ひどいわそれ、相手がストレスになるよ」

 ノイ先生は、4人でチームとなってインターネット対戦するテレビゲームに夢中だ。本来は、カラフルなペンキみたいな物を、水鉄砲のような武器で打ち出し合い、地面を塗る陣地取りみたいなゲームなのだが、違うルールもあり、相手を倒していかないと勝てないのがある。

 ノイ先生は、狙った相手を確実に倒し、相手陣地まで行き、陣地で復活した対戦相手を再び倒すという事を、永遠と繰り返している。リスクの高い戦法だが、勝率が上がる戦法でもある。相手にとっては、神経を逆撫でする戦法だ。


「ところで、社長居るかな?」

「社長なら、奥の部屋に居るよ」

「良かった。今日はあっちに用事があったから」

「あっちのアイテムを買いに?」

「先生が未来予知しちゃってね。自分ではどうしようも出来ないから仕方ないよ」

「にゃんこ先生の予知は、絶対だからなぁ」

「じゃあ、行ってくるよ」

「了解、たまにはゲーム買ってってよ」

「先生が今のゲーム飽きたら買いに来るよ」

 そう言って、一条は店の奥のドアの方に向かっていく。


 ドアをノックすると、鍵が開いてドアが開き、男性が覗いてくる

「社長、どうもです」

「ああ、一条君か。いらっしゃい」

「中、良いですか?」

「どうぞどうぞ」

 社長と呼ばれる男性は、一条を招き入れ、ドアを閉め、鍵を掛ける。社長は、歳相応のシワの入った、気さくな感じの顔をしていて、そんなに太ってもいない。


「マジックアイテムを買いに来たんですが、あっちのお店は開いてますか?」

「やってるよ。ウチのやつが店番してるから、行っといで」

「助かります。あっちの方は閉まる時間帯が早いから」

 早速、社長が通路を空けてくれた。奥の部屋は、事務用机の後ろに棚が並んでおり、商品の在庫がたくさん置いてある。その奥にドアがあり、トイレとなっているのだが、ドアノブに魔力を流して開くと、魔法使いの世界に繋がるのだ。


「ノイさん、まだ猫のままかい?」

「ええ、先生は今の姿の方が気に入っているみたいですよ。もう呪いも消えているはずなんですけどね」

「あの人は、昔から変わった人だったからね。猫のままが良いかもね」

「では、行ってきます」

「ああ、引き止めて悪かった。いってらっしゃい」

 一条は、魔力を込めてドアノブをひねる。ドアを開けたその先には、トイレではなく、さっきまでいたゲーム店と同じような部屋が見える。ただ、置いている商品が違っている。日本いや世界でも置いてないような品ばかりだ。


 一条は、レジのあるカウンターの方に向かう。一人の女性がカウンターの後ろに立っている。社長の奥さんだ。年相応の静かな感じの優しい顔をした女性だ。


「すいません。売ってもらえますか?」

「一条くん、こっちでは久しぶりね。ノイさん関連かしら?」

「ええ、先生の未来予知を変えるために、おふだを買いに来たんですけど」

「一条くんも大変ねぇ。新作のお札もあるから、色々見てって」

 社長の奥さんは、カウンターのショーケースの中から何種類かのお札を出して来た。お札の大きさは、規格が決まっていて、だいたいトレーディングカードくらいだ。

 お札は、特殊な紙に、特殊な塗料で、特殊な魔法陣が書いてある。


「これにします。これ下さい」

「そのお札は効果が高いけど、使う人の技量も要るから人気ないのよねぇ。一条くんクラスなら問題ないけど、それは売れ残りだから安くしておくわ」

「ありがとうございます」

「じゃあ、金貨5枚ね」

「えー!」

「本当なら20枚欲しい所なんだけど、原価ギリギリまで下げてるんだから、これ以上はコッチも無理よ」

「・・・分かりました。買います」

 一条はサイフから金貨を出し、かわりにお札をもらう。魔法使いの世界で流通されている金貨は、日本の価値で1万円くらいになるのだ。5枚だと新しいゲーム機が余裕で買えてしまう。


「送り状付き領収書を下さい。経費で落とせるか送ってみます」

「はい、そう言うと思って書いといたわ。魔法局ってホント大変ねぇ」

「ありがとうございます。早速、送っときます」

 送り状付き領収書とは、送り先を指定するだけで、そこまで飛んで行く便利な領収書だ。一条は魔法使いの世界では、魔法局の職員なので、経理部まで無事に経費が落ちるように願い、領収書を飛ばした。


「では、私はこれで」

「はい、まいどありがとね」

「次来た時は、生徒を連れて来るかもしれません」

「わぁ!見習い魔法使いさん達ね。楽しみだわぁ」


 社長の奥さんに挨拶し、出て来たドアから再び帰る。


「お目当ての物は見つかったかい?」

「ええ、何とか。結構な値段でしたけど」

「使う人が限られている物は、高いからね。逆に使う人がいないから安いのもあるけど。掘り出し物が出て来たら、一番に声をかけるからさ」

「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします」

 と、社長に言い、挨拶をして部屋を出る。


 しばらく店長と雑談をしてから、お店を出る。

(さあ、明日から本格的に部員の勧誘ですね。頑張りましょう!)

 一条は、気合いを入れるのだった。

アイドル21は、実際にお店があります。掲載許可をとりました。あと、魔法道具は売ってません。

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