プロローグ
初めまして。深海魚テイストです。
よろしくお願いします。
「ディベート」が何なのか分からない場合は、調べてください。
某県、某市。某町内。
ひっそりと佇む今川寮の301号室。暗い室内。
一人の少年がパソコンに向かっていた。
何事かをぶつぶつと呟いてはキーボードを乱打している彼は釘宮真琴。16歳。
この寮に隣接している「聖ドレッシング学園」のディベート部員でもある。
今、彼がワープロソフトにて執筆しているのは「立論」と呼ばれる物で、ディベートをする際に必要不可欠なアイテム。自分の主張を述べる文章であった。
毎年、夏休みになると「ディベート甲子園」なる大会が行われ、大いに盛り上がる。真琴の学校は今年初めて地方予選を突破し、全国大会へ出場することが決まっていた。
真琴はキーボードを叩く手を休め、時計を見た。
「午前1時」
驚いた。夢中になりすぎて、時間が経つのを忘れていたらしい。夜の8時頃から始めた作業は、実に5時間を経過していることになる。
真琴は椅子の中で伸びをして、凝りかたまった身体をほぐした。
「続きは・・・明日かな」
そう言って彼はパソコンを閉じようとして。
見た。
ディスプレイの中で、異変が起きていた。
先程まで表示されていた文章は跡形もなく消え去り、真っ暗になった画面。
ただそこには、それだけが、書いてあった。
「是か、否か」
真琴は怪訝な顔をして、その謎の表示を覗き込んだ。
「・・・ウイルスか?」
どうやら、「是か、否か」の部分はクリック出来るようになっているらしかった。彼は一瞬躊躇したがしかし、その文字列にカーソルを当て、押した。
刹那。轟音と共に彩光が室内を満たし。
彼はこの世から消え去った。
次回からが本編です。