その9
彼が早足で公園を出て行った。
動く気がしなくて、しばらくベンチでぼ~としていた……。
「はぁ~何やってんだろ私は……」
次の日、彼は特に変わる事なく私たちと行動していた。
私が壊れてしまうんじゃないかと恐れていた3人の関係は……表面上何も変わりなかった。
そう、表面上だけは……。
大学が終わり、帰る方向が違う彼とは別れ、椿と2人で帰り道を歩いていた。
「なぎさ~」
「なに?」
「隆君に、告白するかも」
「え!?」
「なぎさに気持ちを言ったせいか、今日、凄い意識しちゃった」
「うん」
「だからね、もう我慢できないかもしれない」
「そっか」
思考が停止して何も言えなくなってしまった。予想できた事だよね。うん。
私は必死に冷静になろうとする。でも……言葉が出ない。
「そんな心配しなくても大丈夫だって」
私が何も言えずにいるのを勘違いしたみたい。
「あたってくだけろだよ」
「くだけちゃダメでしょ」
「うん。くだけないように頑張るよ」
「うん。が、頑張ってね」
自分の言葉がうまく言えない。
表面上は楽しそうに椿と話して別れた。
もう結果は予想できる。
その結果は……私が望んでいる結果なのかも……私は最低だ。
酷く自己嫌悪になった。