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31/41

その31

 あいつからの返事が来ないまま数日が経っていた。午前の授業が終わり、昼休みになって、2人で学食に向かおうとしていた時、椿の携帯が鳴った。


 携帯を見ていた椿が、本当にすまなそうに言う。


「ごめん」

「どうしたの?」

「あの、今メール来て、田崎くんが一緒に昼食べないかって」


 学年と学部が違う事もあって、大学内にいてもなかなか時間が合わないのを、私は知っていた。

 同じ大学なのに、昼休みも一緒に居れないのが多い! と椿が愚痴ってるのを、耳がたこになるほど聞かされていたから私の返事は決まっている。


「あ~うん。気にしないで良いよ」

「ありがとう。明日は一緒に食べれるから」

「別に気にしないでいいから、彼氏優先しなよ」

「うん。でも、ごめんね」


 何か謝られると余計惨めな気分になる。


 椿と別れた後、他の友達とも上手く連絡が取れず。あ~1人でお昼どうしようと思いつつ、ひとまず学食へ移動していると、後ろから声をかけられた。


「よ!」


 声の方に振り返ると、あいつが立っていた。


「あ! よ! じゃないよ」


 なんだか、久しぶりに会った気がする。いつもは、大学に行けば、話しはしなくても学年も学部も同じだから、一度はどこかですれ違ったりして会っていた。ここ最近、会えなかったのは、避けられているんじゃないかって不安だった。


 あ、そうだ。この前の事を謝ろう。いつもメールで直接言う事って無かったし。


「この前の事とか、いつもごめん」

「え! 何か珍しいなどうした。体調悪いのか?」

「く~人の素直な気持ちを! よく言うわね」

「俺の素直な気持ちだったんだけど」

「そういう事は素直じゃなくていい!」


 むかつく事言われたけど、いつもの彼だ。ほっとした。

 良かった嫌われたわけじゃなかったみたい。


 そして、疑問に思っていた事を質問してみる。


「ねえ。最近、大学休んでた?」

「なんで?」

「見かけなかったし」

「あ~ちょっと体調悪かったから」

「ええ!」

「なんだよ。そんなびっくりする事?」

「もしかして、あの時も具合悪かった?」

「いや、あの時はべつに」

「そっか~でも、ごめん」

「謝る事無いけど」

「でもね……」


 何でだろうか、凄い落ち込む。


「あ、言ってくれたお見舞いに行ったのに」

「良いよ。悪いし」

「だって、私たち……」


 って、なんなんだろう? 友達なんだから気にするな! みたいな事言おうとしたんだけど……違う気がした。いや、ほんとに違うのかな……あ~わけわからない。


「ん? どうした?」

「いや、何でも無い。弱ったあんたを見たかったって話し」

「ひど! まあいつもの事か」

「私そんな酷くない!」

「無自覚って怖いな」

「……」


 話しの流れで、彼と一緒に話しをしながら昼ご飯を食べて、午後からの授業は別だったので別れた。彼は、私が椿と一緒に居る事を心配してくれてたらしい。嬉しかった。


 昼休みが終わって、椿と合流したら、椿がぽつりと言った。


「ねえ。何か良い事あったの?」

「え? 何も無いけど?」

「最近ず~と元気ない感じだったのに、雰囲気変わった」

「そ、そうかな」

「昼休み中に何があったの??」


 何かって言われても……あいつと会って話したくらいだけど……なんだろう、こ、混乱する。私はその混乱から逃げるように、椿に話しをふる。


「何も無いって、そっちこそ嬉しそうだと思うけど」

「少しでも会えると嬉しいよやっぱり」

「はいはい」

「自分でふっておいてその返事は無くない?」

「はいはい」

「もう」


 あいつの事を考えると、何か落ち着かない。あれ……自分がわからない。ほんとにどうしてしまったんだろう。



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