その30
俺は、自主休講明けで、数日ぶりに大学へ行っていた。昼休みになり学食までの道を歩いていると、彼女が少し前を歩いているのを見つけた。
「よ!」
「あ! よ! じゃないよ」
なんだか久しぶりに会ったきがする。
少し真剣な顔になって彼女が言った。
「この前の事とか、いつもごめん」
ズキリと胸が痛かった。俺が返事を送らなかったのを結構気にしていたみたいだ。
空気を変えたくて、ちゃかすように言う。
「え! 何か珍しいなどうした。体調悪いのか?」
「く~人の素直な気持ちを! よく言うわね」
「俺の素直な気持ちだったんだけど」
「そういう事は素直じゃなくていい!」
その後、彼女が俺が大学を休んでいたのか? など、つっこんできたけど、上手くごまかせたと思う……いや、上手くなかったかも。
話しを聞くと、今日は彼女も1人らしいので、一緒に昼ご飯を食べる事にした。考えてみると、大学内で2人で話すのは初めてに近い。凄い不思議だ。
「その後どう?」
「え?」
「例の事だよ」
「あ~うん。順調みたい」
何で俺が織笠の交際状況を聞かなきゃ行かないのだよ……まあこいつらしいか。
「違うよ。そっちじゃない」
「何の事?」
「だから、織笠と一緒にいるんだろ?」
「うん」
「それは平気なの? 大丈夫?」
彼女が嬉しそうに笑っていった。
「あ~うん。大丈夫」
「そっか」
ほっとした。そして、同時に、嬉しそうに笑う彼女の笑顔の相手に嫉妬した。
彼女は、俺と同じ道を行こうとしてるのだろうか? はぁ~。
その後、午後からの授業が違ったので、昼休みが終わる頃に彼女とは別れた。