その3
授業が終わり2人で学食へ歩いて行く、2人ともお弁当なのだけど、座って食べるため席を探していたら……あ! さっきの青木君? が1人で座って何かを食べていた。
「ねえ、あそこ行かない?」
椿も見付けたようだ。はぁ~目がキラキラしてるよ。
「私に声かけろとか言うんでしょ」
そう私が返すと、椿は微笑みながら言った。
「あ、わかった?」
私はその顔に弱い、ため息を吐きながら言う。
「はぁ~わかりましたよ。行こ」
「だから、なぎさ好き」
学食でなければ抱きしめていたかも……。
「すみません。ここ空いてますか?」
「……」
無視された! こんな男のどこが良いだ!
チラリと後ろを見ると椿の期待した目が見えた。
ほんとは男の体なんかに触りたくないのだけど、肩を叩いてもう一度言う。
「あの~空いてます?」
「俺に言ってたの?」
「そうですよ!」
気付いてなかったのか……その後、椿の天然っぽい発言などあったが、自己紹介などしてから話をした。結構良いやつかな?
午後の授業が同じだったので昼休みが終わったあとも3人で行動する。その間、椿がず~と楽しそうなのが嬉しいような悲しいような複雑な気分だった。
最後に、彼は終始、私たちに気を遣っている感じだったから、これからは気を遣わなくて良いと言って別れた。
帰り道を2人で歩いていると椿が言ってきた。
「なぎさ、今日はありがとう」
「いや、いいよ」
「話しやすい人だったね」
「あ~そうだね」
私たちは女子校出身という事もあって、男子と話すのが苦手だった。私の場合はそれだけじゃないのだけど……。
椿が不安そうに言う。
「好きになったらダメだよ」
「わかってるって」
好きになるはずがない、私はあんたが好きなんだよ……せつないな……。
私は……どうしたらいいのだろうか?