その29
次の日、大学で椿に会うのが凄い怖かったのだけど、椿と会って話しても不思議と昨日のように辛くはなかった。
話していると、どうしてもズキリと胸が痛い時はあるけど、それだって耐えられる。普段通りの自分でいられたと思う。
あいつの前で、さんざん泣いたおかげなんだろうか? それとも、気になっている事があるからなのかな?
気になってる事は、どうしても昨日の夜からず~と私の頭の隅に引っかかってる事。
昨日、彼に送ったメールの返事か返ってきてなかった。いつもはあまり遅れず返事は必ず来ていた……すぐってわけじゃないのだけど……。
昨日の夜、彼と別れて家に帰ってから、だんだん酔いが冷めてきて、冷静になって思い返すと、自分の行動、言動が……凄い反省した。同じ事繰り返してるよね。
そして、この前と同じような感じで、謝罪とお礼のメールを彼に送ったんだけど……。
やっぱり怒ってるのかな?
「はぁ~」
「どうしたの?」
「え?」
「さっきから携帯ばっかり見てるし、溜め息だし」
「……あ~うん」
「ふ~ん」
「……」
「……」
私の携帯からメールの着信音がした。
急いでメールを見ると……椿からのメールだった。
『誰のメールを待ってるの?www byつばき』
椿の方を睨むと、おかしそうに笑っていた。
「どうかした?」
「どうかしたじゃないから……はぁ~。からかわないでよ」
「ねえ? なぎさは気付いてないの?」
「え?」
何のことを言ってるの??
「わたしはなぎさも幸せになってほしいって思ってるから」
「……」
たぶん私の顔に?マークが沢山ついていたと思う。
椿が一つ溜め息をつくと、呆れた感じに言った。
「返事来ると良いね」
「うん」
あいつからは、その日、返事は来なかったし、直接会う事も無かった。
もう、何でこういう時にかぎって会えないかな……。
私はどうしても2通目のメールを送る事が出来なかった。
気になるなら、『返事出せ!』っていうメールでも送れば? とか、椿に言われたんだけど……。
結局、あいつから返事は来なくて、会えたのも数日後だった。