その27
「関係あるよ!」
「……」
「男って結局やりたいだけでしょ」
う~嫌な事を思い出してしまった。
急に何もかも嫌になる。彼が余裕たっぷりな感じも凄い腹が立つ。
彼へぶつけるように言葉を言ってしまう。
「さっきも言ったけど、私は男は嫌いなの! あんたの事なんで恋愛対象に見れないし、好きになる事なんて絶対ないから」
「それ以上言うなよ」
「ムカついた?」
「ちがう、おまえ何もわかってない、勢いだけで言うことじゃない」
「何言ってんの?」
彼が少し苦しそうに言う。
「それは、もうわかってるから」
そして今度は、優しく笑って言った。
「でもさ、好きなもんは変えられないし。ほんと、うまくいかないな」
あ~……私は気付いてしまった。彼に言った言葉は私に返って来る言葉だった。
「おい、泣くなよ」
私ってこんな涙脆かったかな? どうしよう止まらない。
「何で平気なの?」
「平気でもないけど」
「私なんか好きになって災難だったね」
「いや、そうでもないよ。結構幸せ」
「は!? どこが」
「だっておまえと話せる男って俺ぐらいでしょ」
「あ~かも」
「告白してからちょっと話せない期間はあったけど、その後は、変わらず接してくれたの俺は嬉しかった。それが、まあ眼中に無いからかもしれないけどさ」
「あ~かも」
「同意すんのかよ。まあ良いや。うん、だから私なんかとか災難とか言うなよな」
「うん。あのさ」
「なに?」
「それで良いの?」
「今は良いよ。ただ側に居たいから」
そう言った彼と視線が合う。ドキリとした。
凄い事サラッと言われたよ。
「……そう」
彼は私が泣き止むまで、ただ側に居てくれた。