その26
彼女から、急な呼び出しがあり、会って話しをしていた。場所はお決まりのカラオケボックスです。毎回、同じ店なので、店員さんとはもう顔なじみですよ。
ふと思った。俺たちって、どう見られてるのだろう? 例えば店員さんにとか……仲いい友達って感じなのか? 少しは彼氏彼女とかに見えたりするのかな? ん~……あ、話しがずれたか戻そう。
今日の彼女は荒れ気味だった。何となく何があったかわかったのだけど、話しを聞いてみると、予想通りというか、織笠があの男と付き合い出したらしい……。
彼女にとっては、2回目の失恋って事になるのか?
「しょうがないだろ」
「うん」
「元気出せとは……ちょっと言えないか。うん。まあ歌えよ」
「言われなくても、歌うし! 飲むし!」
話しもしないで、ただただ歌う。これで気分転換になれば良いのだけど……。
何曲か歌ったあと、俺がたまたま失恋ソングを歌ったら彼女が言った。
「なに? 慰めてくれるの?」
「まあ、そうだな。選曲は偶然だったけど」
「偶然なのね」
「悪いかよ」
「悪くないけど、ちょっと私の為に歌ったのかと思ったから」
今、何で俺がここにいるのか、わかってないのか……。
俺が歌っている時に、彼女が何回目かの追加の注文をしていた。結構頼んでるよな。
「飲み過ぎじゃないか?」
「強いの知ってるでしょ大丈夫!」
まあ、知ってるけどさ。色んな意味で、俺の方が弱いですよ。
「……」
ん? 何か彼女が呟くように言った。
「なに?」
「私の欲しい物を奪うの」
「ん?」
「男はだから嫌い」
「あ~うん」
「はぁ~あんたも男だったね」
「だな。それが関係あるのか?」
「関係あるよ!」