その2
俺は大学入学してから一ヶ月経ったが孤立していた。
何となく友達作りレース? から外れていたのだ。
携帯電話を持ってないのも原因かもしれない、番号、メルアドを、交換しようと何回か言われたが持ってないと言うとビックリされる。
まあ、そのうち出来るだろうと楽観視しているけど……。
そんな俺なので、学食で4人掛けのテーブルを、1人で占拠してお昼を食べていた。
「すみません。ここ空いてます?」
俺はたんたんとカレーを食べる。トントンと肩を叩かれた。
「あの~空いてます?」
「俺に言ってたの?」
「そうですよ!」
ヤバい!! 最近声かけられる事なかったから無視してしまった。
話しかけてきた人を見てビックリする。
俺はさっき言った通り交友関係が無いに等しいが、自分で言っていて悲しくなるな……あ~それは置いといて、俺でも知っているちょっとした大学の有名人が立っていた。
まあ、違う意味でも知っているんだけど、それは置いておこう。
俺に声をかけてきた方が、女の子にしては結構背が高くて美人さんでモデルのような人、名前は鹿島さん。
もう一人が、男たちがアイドルの誰とかに似ているとか言って可愛いと評判の人、俺はテレビ見ないので、名前は知らなかった。
今、目の前に居る本人の名前も知らないです。すみません……ここで謝ってもしょうがないか……また話がズレたな。
この2人が仲が良いらしくよく並んで歩いている。それを見て目の保養になると、男たちの間で有名なのでした。長い説明聞いてくれてどうも。
「え~と空いてますよ」
2人が俺の前に座ると弁当を取り出して食べ始めた。
「青木君カレー美味しい?」
アイドル似のふあふあさんが言ってきた。雰囲気がそんな感じなので勝手に命名。
「え! 何で名前知っているの?」
「え~と……」
何だか困っている? 何でだ。鹿島さんが助けるように言う。
「あ~同じ授業あるでしょだから」
「そうそう」
何だか焦ってる感じがするのは気のせいか?
「ん~俺は2人の名前知らないから教えて」
まあ鹿島さんは知っているんだけど。
「私が鹿島渚で」
「織笠椿です」
「じゃあ知ってるかもだけど俺も、青木隆です。よろしく」
「よろしく」
「よろしくね」
その後、食事が終わったあとも3人で話をした。午後の授業が同じだった事もあり3人で一緒に行動する。仲良くなったかも。
授業が終わり、家に帰る為、2人と別れようとした時に鹿島さんが言ってきた。
「今度から敬語で喋らなくていいよ、あと名前もさん付けしなくていいし」
「あ、私もいいから」
「わかった。じゃあ俺にも気を遣わなくていいよ」
「じゃあまた」
「また明日!」
「バイバイ」
1人帰りの道を歩きながら思う。
こんな切っ掛けで、好きな人と喋れるようになるとは思わなかった。