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その15

 3人から2人に戻って、だんだん違和感が消えてきた頃。


 私は久しぶりに、1人で電車に乗って、買い物に出かけていた。

 そして、帰りの電車の中は空いていたので、すっかり油断していたのかも。


 私はもうすぐ降りる駅だったので、ドアの近くの手すりにつかまって立っていた。

 その時、いつの間にか後ろにくっつくように立っている誰かに気付かなかった。


 突然、自分の体を触る不愉快な手の感触が……。


 怖い、気持ち悪い、パニックになって動けず何も出来なくて、私は『誰か助けて!!』と、ただ心の中で叫んでいた。


 その時、ふと私に触れていた手の感触が消えた。


 近くで声が聞こえる。


「大丈夫か?」


 見るとあいつがいた。


「ごめん逃がした」

「……」

「お前の方見たら顔色悪いし、追いかけなかった悪い」

「……」


 駅に着くと、彼に支えられるように電車から降りた。

 あれ?一緒に下りて良かったのかな……。

 あ~気持ち悪い。ダメだ。何も考えられない。


「何で逃げるとかしないの」

「こ、怖くて。う、気持ちわるい」


 一人で立っているのが辛くて、ちょうど隣にあった彼の肩に頭をあずけた。


「え、おい」


彼が優しく私の背中を撫でる……ちょっと……。


「……」

「え~うわ!」


 おもいっきり、彼の上着を汚した。


「ごめん」

「いいけど、着替えくれ」

「だから、ごめん」


 吐いた事で、気分が良くなったのだけど……。

 凄い酷い事をしてしまった。ど、どうしよう。


「ど、どうしたもんか……ん~着替え買ってきて」

「うん」

「あ~でも、大丈夫?」

「大丈夫買ってくる」

「適当で良いから、TシャツだけでOK」

「うん」

「本当に大丈夫か?」

「だ、大丈夫だって」


 彼が心配そうな顔をしている。居たたまれない事もあって、私は着替えを買う為にその場をすぐ離れた。


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