その10
俺は昨日の事があって、彼女に合うのが少し怖かったのだが、特に変わりなく拍子抜けした。でも、何か無理してるように感じるんだよな~。
そして、織笠が最近、少しずつ感じが変わってきていたのは気付いていた。ゆっくり考えたら……昨日の事もあって色々わかってしまう。
あ~もっと鈍く生まれたかったよ。ほんと……。
俺たち3人は、今、微妙なバランスで成り立ってる。
2人と別れ、帰りの道を歩いていると後ろから声がした。
「青木~」
呼ばれた方を見ると、最近仲良くなった進藤が走ってきた。とある授業でグループを作る事があって、たまたま近くに居た進藤たちを誘ったのだ。たちという事で、もう一人いたのだけど、その子がかなりの美人さんだったので、うちのグループは、女子のレベルが異様に高くなった。ちなみに、進藤はそうとう変わったやつだが良いやつだ。またも、長々説明読んでくれてどうも!
「おう、なに?」
「返事が遅いな」
「説明してたから」
「は?」
「こっちの話だ、何かようか?」
「見付けたから呼んでみた。そして走ってみた。用はねえよ」
つか走ってきたの意味なかったのね……ほら変ってるでしょ? 大学で出来た初めての男友達がこいつなのかと思うとちょっと嫌。
「あ、いつもの2人は?」
「帰り道が逆だよ。そっちこそ……え~と工藤さん?」
「工藤はお前らと違って、いつも一緒な訳じゃないから」
「そうか。あのさ、俺らって一緒に居るイメージなの?」
「事実だろ」
「あ~……」
「あ~なんだよ?」
「いやいいんだ」
そうかもなって改めて思っただけ……。
「ふ~ん。まあいいや」
その後は、ダラダラと話しながら歩いていて、途中で進藤はバイトらしく別れた。
はぁ~周りから見ると、いつも一緒に居る感じに見えるのか……いつまで3人でいられるだろうか?
俺はあまり時間がない事を感じはじめていた。