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その1
「なぎさっ青木君て格好良くない?」
授業中、隣に座る、椿が小声で言ってくる。私たちは、入学式の時に名前の順で席が近かった事から仲良くなった。私の名字が鹿島で彼女が織笠という。
高校は別だが、2人とも女子校出身というのもあって話しやすかった。だいたい同じ授業を選択していて一緒の事が多い、この一ヶ月で名前で呼び合うくらい仲良くなっていた。
「え?」
「あの前の方に座ってる人」
椿が遠慮がちに指をさしながら言った。男の子にしては小柄かな? まあ、私の背が170以上あるから、そう思うのかもしれないが……多分同じくらいの身長かな?
椿は小さいから丁度良いのかも? 顔は私の位置からは見えなかった。
「なに好きなの?」
「え、違うよ」
口ではそういっているけど、顔を少し赤くしている。凄く可愛いな。
私の心がズキリと痛む……嫉妬だ。
私は彼女の事が好きだった。