ココアのおいしい冬の出会いは。(短編)
今年も一人で過ごすクリスマス。
高校に入れば彼女でもできるかと思ったけど。
そもそも転勤続きで彼女なんてできるわけがない。
高校になってやっと一人暮らしが許されたが、昔からの友達もいないし、知らない土地で友達もできるはずがない。
そんなこんなで高校1年ももう冬だ。
12月25日。
世の中はキラキラした装飾と光とカップルで彩られている。
はぁ、、、もう1年終わりか。
今日は一段と冷えるな。
クリスマスってこんなに寂しいものだったか?
塾の帰り道がいつもと違ってすごく寂しい。
周りの景色が鮮やかでキラキラしていて人が多い。
やばい、吐きそう。
少し落ち着こうと急いで路地裏に逃げ、しゃがみこんだ。
落ち着け、落ち着け。
めまいがすごい、ぐるぐるする。
「大丈夫?」
だれかに話しかけられてる?
「だ、大丈夫です、、、」
「大丈夫じゃないでしょ!」
顔を両手でつかまれ、強制的に相手の方に顔を向けられた。
そこにはギャルがいた。しかも黒い、黒ギャルというやつか。
ーなんてきれいなんだ。
クリスマス色に輝いている装飾も相まって、僕は黒ギャルをきれいだと思った。
そのキラキラした目に、一瞬で引き込まれた。
「人込みで酔ったんでしょー?深呼吸しなー。」
何回か深呼吸して落ち着いた。
「ほら、水のみな?」
「すみません、、、いただきます、、、」
一気に水を飲み干した。
「す、すみません、、、ありがとうございました、、、」
「うん、いいよー、っていうかその制服、あたしと同じ高校じゃーん!」
「何組ー?」
「えぇーっと、1年3組、です。」
「おー、タメじゃん!!あたし1組~」
「こんな日に何してんのー?」
「塾の帰りです、、、」
やばい!?コミュ障なのに、めっちゃ話しかけてくる、、、
「クリスマスの夜に塾ってありえないー、真面目じゃん!」
「暇で勉強しかすることなかったので、、、」
「そっかー。ま、気をつけて帰りなよー。」
「は、はい、、、ありがとうございました。それじゃ、失礼します。」
「うん!また学校でねー」
黒ギャルは人込みに去っていった。
同じ高校の人。あ、名前、なんていうんだろう。
すごくきれいな人だったなぁ。
もうしゃべることはないかもしれないけど、クリスマスの夜に会えてよかった、かも。
もう1年終わるけど今日はちょっといい日だ。
いや、今までで一番特別な日、かも。