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第84話 真彩の恐怖

【カフェバー「Route72」】


夜、悠斗と優衣が、カウンター席で深刻な顔をして話している。


厨房から松本がやって来る。


松本「はい。シーフードカレー」


悠斗「あぁ、有難う……」


優衣「有難う」


悠斗と優衣、手を合わせて合掌し、「頂きます!」と言って食べる。


優衣「美味しいー!」

と言って、松本に笑顔の優衣。


悠斗「やっぱ、タッくんのは美味しいなぁー」

と言って、松本に笑顔で言う悠斗。


松本「ありがと!」

と言うと、松本、カウンターに身を乗り出して話し出す。


松本「で、優衣ちゃんが聞いた話だと、マーちゃんは今朝、嫌な夢を見ましたと。それが、現実みたいな感じで、正夢だと思ったと……」


優衣「うん。予知夢とも言える……」


悠斗「いや、参ったよ。五時頃、真彩が横で号泣してるからさぁ……」


松本「マーちゃん、夢見て泣いてたの?」


悠斗「うん。だから起こしたんだけど……でもまた寝て、朝起きたら、早々に家を出ようとしてて、俺に結婚出来ないって謝るもんで、もう、何が何だか分かんないよ」


松本「で、優衣ちゃんがマーちゃんに聞いた話だと、悠さんがマーちゃんを捨てて、誰だか分からないけど、綺麗な女性と手を繋いでどこかに去って行ったと……」


優衣「うん」


松本「で、マーちゃんのお腹には悠さんとの子がいて、独りどうして良いのか分からなくなって、子どもを出産して直ぐに真正寺のお堂に捨てたと……」


優衣「うん。自分も、自分を産んだ母親と同じ事をするんだって思って、因縁は避けられないんだって言ってた」


悠斗「……」


優衣「仮に育てたとしても、その子に愛情注げるか不安だし、育児放棄する可能性大だって……」


悠斗「はぁ……」

と、溜め息をつく悠斗。


優衣「こんな人間が中村家の跡取りなんて産めない。今は愛してくれてるけど、その内、悠ちゃんに捨てられる自分なんだって……」



松本「だから、悠さんは自分以外の人と結婚するべきなんだと?」


優衣「そういう事。またあの子、憑依でもされたんじゃないかな?」


悠斗「いや、今はもう、それは無いと思う。でもDNA、血筋には人一倍拘ってるから。因縁の怖さ、よく解ってるから……だからだろうな」


松本「でも、悠さんが、マーちゃんとお腹の子を捨てて、綺麗な人とどっかに行くなんて……酷いよ! 酷すぎる。僕、悠さんを許せない! こんな仕打ち、可哀想過ぎるよ」

と言って、怒った顔で悠斗を見る松本。


悠斗、松本の圧に驚く。


悠斗「おいおい、タッくん。俺が真彩を捨てる訳ないだろ? これは夢! 真彩が脳で勝手に創り出した夢なんだから。不安から生み出された夢だよ?!」


松本「でも、予知夢でしょ? 予知夢から現実になって正夢になるんでしょ? マーちゃん、以前、正夢になった事が何回かあるよ? 僕、知ってるもん……」


悠斗「あのさー、タッくん……」

と言うと、悠斗、ひと呼吸する。


悠斗「恥ずかしい話、俺、真彩命なんだよね。赤ちゃんの真彩に初めて会った時に一目惚れして、それからずっと真彩の事、誰よりも愛してるのに、俺が真彩を捨てる訳ないよ。俺、ホントに、心身共に、真彩しか愛せない人間なんだから」


松本「あぁー……そうだよね、悠さんはマーちゃん、命だもんね……」


悠斗「まぁ、逆はあるかもしれないけど? 捨てられるのは俺の方だよ。まぁ、実際、これで二回目かな? 捨てられたのって……」

と言って、悠斗、苦笑いする。


優衣「あぁ……確かに。悠ちゃん、これでマーちゃんに二回振られた事になるか……」

と言って、笑う優衣。


悠斗「そんなカウント、しなくても良いの!」

と言って、悠斗、鼻で笑う。


松本「でも、予知夢とか正夢って、潜在意識にある訳でしょ?」

と言って、優衣を見る松本。


優衣「あぁ……うん……」


松本「マーちゃん、実際に、悠さんが綺麗な女性と一緒に歩いてる所、見たとか?」


優衣「あぁ、見た。悠ちゃんが、綺麗な元カノさんと嬉しそうにハグしてる所、マーちゃんと一緒に見た」


悠斗「?……」


優衣「この前は、悠ちゃんが会社の女の子達に囲まれてデレデレしてたって、マーちゃん言ってたし……まぁ、そんなんが脳に焼き付いてるんだろうね」


悠斗「はぁ? そんなんじゃないのに。全くの誤解なんだけどな。デレデレしてるつもりないんだけど、そう見えるんだろうな……俺って、ホント、誤解され易いんだよな。真彩に『女百人斬り』だって思われてたし……」


優衣と松本「女百人斬り?」

と、優衣と松本、驚いた顔で同時に言う。


優衣と松本「えぇー!」


汚い物を見るかのように、嫌な顔で悠斗を見て、ドン引きしている優衣と松本。


悠斗「おいおい、そんな目で見るなよ。それ誤解だから! 俺、そんな事してないし、する気もないし……したいとも思わないから」


優衣「いやー、悠ちゃんならあり得るから、あぁ、そうなんだ……って納得しちゃうわ」


松本「うん。悠さん、モテるからね……」


悠斗「俺がプレイボーイってレッテル貼られて、真彩が本気にしてたしな。俺、ホント、誤解され易いんだよな……」

と言って、苦笑いする悠斗。


松本「マーちゃん、超繊細さんだからねー」


優衣「平気な顔してるけど、実は心が傷付いてたんだ。我慢して、心に蓋しちゃうからなぁー、マーちゃんは……」


悠斗「……」


優衣「やっぱ、潜在意識が夢になって出て来たんだね。それを本当に起こる予知夢って思うなんて。えぇー、悠ちゃん、確認するけど、ホントにそんな事しないよね? 浮気して、マーちゃん捨てないよね?」


悠斗「バーカ! そんな事、する訳ないだろ! 俺はホントに真彩しか愛せないんだから」


松本「ホントにホント?」

松本、疑いの目で悠斗を見る。


すると悠斗、右手を挙げ、

悠斗「神様、仏様に誓って、ホントです!」

と、真面目な顔で言う。


松本「なら良いけど……」

松本、安堵の顔。


優衣「認知バイアスは、思い込むと、判断を間違うからねー。マーちゃんの場合は、色んな要因があるから、今、頭の中、ぐちゃぐちゃだろうね」


悠斗「あぁ、ぐちゃぐちゃだと思う。目が死んでたし……」


優衣「はぁ……せっかく元の鞘に戻って喜んでたら、またか。お二人さんは紆余曲折ありますなぁ……」


悠斗「……うん」


優衣「あぁ、あとね、言い難いんだけど……」


悠斗「何?」


優衣「シカゴでマーちゃんと一緒に暮らしてた親友、事故で亡くしてるし、マーちゃんと付き合ってた人も近い将来、亡くなる可能性あるって言ってたから、だから、自分の事を愛した人が死ぬんじゃないかっていう恐怖心、あるみたいよ。怖いって言ってた」


悠斗「そうなんだ。あいつ、そんなこと想ってるんだ‥‥‥案外、それが一番の恐怖なのかもしれないな」


松本「マーちゃん、辛い経験、結構してるからね‥‥‥可哀想なマーちゃん……」


優衣「あぁ、それともう一つ……」

と言うと、しばらく間が空く。


悠斗と松本、優衣を見る。


優衣「私、去年のクリスマスに、元カレに浮気されて別れたんだけど、それをまだ引き摺ってて、この前、そんな話したから、私のマイナスの心、マーちゃんが受けちゃったのかもしれない。ごめん、悠ちゃん……」


悠斗「いや別に優衣ちゃんのせいじゃないよ。気にすんなよ」


優衣「でも……」


松本「あーあ、何とかならないかなぁー? これじゃー、元の木阿弥ジャン。でも、マーちゃん、こうだって決めたら、頑固だからなぁー」


悠斗「だな……」


松本「何か、良い方法ないかなぁー?」

   

悠斗、優衣、松本、腕を組んで考えている。


そして、しばらくすると、

悠斗「あぁ、ねぇ、優衣ちゃん、タッくん、頼みたい事があるんだけど……」

と、悠斗が言い出す。


優衣「えっ? 何? 何か良いこと思いついた? 何でも協力するよ?!」


松本「うん。僕も何でもするよ、二人の為なら!」

   

優衣と松本、目を輝かせる。


悠斗「有難う。二人の協力が必要だ。あと、勇也も……」

   

悠斗、優衣と松本に微笑む。

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