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第61話 池本の想い

【カフェバー「Route72」】


夜、カフェバー「Route72」の、いつものカウンター席に、真彩、座っている。


松本「はーい、お待たせ! 今日はラザニア作ったよ!」


真彩「えっ?……」

   

真彩、ラザニアと聞いて困惑顔。


松本、真彩の表情を見て、

松本「へへっ、大丈夫だよ、肉は入って無いから。肉の代わりにシーチキン使って、野菜も色々入れたから、結構、栄養あるよ?!」

と言って、微笑む。


真彩「ごめんね、いつも私の為に……」


松本「いやいや、マーちゃんのお蔭でビーガンとベジタリアンの人の対応も出来る様になって、有難いよ」

と言って、松本、微笑む。


真彩(心の声)「タッくんはいつも優しいなぁー。私に気を使わせない様に、そんなこと言ってくれて…… 」

  

真彩「いっただきまーす」

と言って手を合わせ、合掌して目を閉じ、食べれる事に感謝の祈りを運んでいる真彩。


そして、フォークで食べ始める。


真彩「んんー、美味しい! トマトソースの味もばっちり。私好みだわ」


松本「良かった……」

松本、真彩の喜ぶ顔を見れて嬉しそう。


真彩「調味料って、いつものソースにバジルとガーリックパウダー、イタリアンシーズニング、結構入れたね? しっかりした味付けで美味しい」

  

真彩、嬉しそうな顔。


松本「流石です。あぁ、このガーリックパウダー、匂わないから大丈夫だよ」


真彩「うん。分かってる。有難う」

   

真彩、松本に微笑む。


そして、また、美味しそうに食べる真彩。


   

そこに、一人席でスマホをいじっていた悠斗の親友、池本が、真彩の所にやって来る。


池本「マーちゃん、久しぶり!」


池本、真彩の顔を覗き込む。


真彩「あぁ、池もっちゃん……お久しぶりです。えっ? いたの?」


池本「うん。奥の(一人席)席にいた。横、座って良い?」


真彩「勿論。どうぞどうぞ」


池本、笑顔で、真彩の横の席に座る。


松本、池本と真彩をチラ見する。


池本「マーちゃん、何か、痩せたんじゃない?」


真彩「あぁ……うん、痩せた……」


池本「やっぱり、社長って大変なんだな……よくやるよ……」


真彩「あぁ、悠斗から聞いたんだ……」


真彩、コップの水を飲む。

そしてテッシュで口を拭く。


池本「悠斗、心配してたよ、マーちゃんの事……」


真彩「あぁ……そうなんだ……」


池本「ねぇ、マーちゃん、今、彼氏いるの?」


真彩「彼氏? んーん、時々デートしてる人は何人かいるけど……彼氏っていうより、ボーイフレンドかな?」


池本「そうなんだ……」


真彩「今は仕事の事で頭一杯だから、あんまりデート出来ないんだよね……」


池本「でも、そんなに仕事の事で頭一杯だったら、その内、ぶっ倒れるよ?」


真彩「あぁ、実は、何度かぶっ倒れた。皆んな心配するから、内緒だけど……」

と言って笑う真彩。


池本「えぇ? そうなの?」


真彩「私、昔から、頭使い過ぎて悩んだり、激しい運動や気候の変化で、熱が出たら熱性けいれん起こすからさぁー」


池本「あぁ、そうだったね……でも、熱が出そうになる前に、早めに鎮痛剤飲む様にしてるんだろ?」


真彩「えぇ? 何でそんな事、知ってるの?」


池本「悠斗が言ってたから……」


真彩「全く……そんな事も池もっちゃんに話すんだ……」


池本「あぁ……悠斗と話すと、絶対、マーちゃんの話題、出るからなぁ……って言うか、俺が根掘り葉掘り聞くから……」

と言って、笑う池本。


真彩「ふーん……私ってさぁー、集中すると没頭しちゃうから、鎮痛剤飲むの、遅れちゃうんだよね……だから、そんな時は、いつも早めに優衣ちゃんがサポートしてくれるんだけど、この前、会議が長引いた時、手遅れでさぁー、結局、悠斗が迎えに来てくれて、迷惑掛けちゃった」


池本「あぁ、悠斗から聞いたよ」


真彩「えぇー、その事も悠斗、話したんだ……」


池本「あぁ……だって、あいつ、あの時、もう直ぐ会議だっていうのに、慌てて早退するって言い出して、走ってったから……」


真彩「?……」


池本「だから次の日、事情聞いたら素直に答えたから……」


真彩「そうだったんだ……」


池本「しかし、優衣ちゃん様様だね。優衣ちゃん、優秀だし、マーちゃんの事、よく解ってるから、頼りになるよね……」


真彩「うん。ホント、優衣ちゃん様様だよ」


池本「あぁ、話、戻すけど、じゃー、恋愛は、今は無理か……」


真彩「うん。無理。私、不器用だから、一つのこと遣り出したら猪突猛進だし……」


池本「そっかー……あぁ、ねぇ、じゃー、好きは人はいるの?」


真彩「好きな人かー……好きになるかもしれない候補は何人かいる」


池本「えぇ?」


真彩「本格的に付き合い出したら好きになるだろうな?……って人、いる。でも、社長してる内は無理だから、皆さんに返事、待って貰ってる」


池本「えぇー、そうなんだ。あぁ、社長って一年契約って聞いたけど、ホント?」


真彩「うん。ホント。だから、一年で黒字にしないとダメだから、もう、必死なんだよね」


池本「そっか……そりゃー大変だね……」


真彩「池もっちゃんは今も営業部?」


池本「あぁ、そうだよ。悠斗とは課が違うけど、同じ営業部。俺と悠斗は二大営業スター」

と言って、ドヤ顔で微笑む池本。


真彩「へーぇ……」


池本「嘘うそ。スターは悠斗だけだよ。俺なんて足元にも及ばないよ」


真彩「えぇ?……」


池本「悠斗は人の心掴むの上手だからな。どこの取引先行っても人気者で可愛がられてるよ。愛されキャラ」


真彩「池もっちゃんは?」


池本「俺も、結構、評価して貰ってるけど、でも、悠斗には絶対叶わないよ」


真彩「またー……」


池本「ホント、ホント。悠斗とは小学校から一緒だけど、勉強でもスポーツでも、何でも悠斗が上だから。あっ、でも、唯一、悠斗に勝った事がある……」


真彩「えっ、それは何?」


池本「彼女出来たの、俺の方が早かった」

と言って笑う池本。


真彩「へーぇ、いつ頃、彼女出来たの?」


池本「高二の時」


真彩「へーぇ……」


池本「あぁ、そんな事はどうでも良いよ。あのさー、日本に帰って来て、悠斗とゆっくり話した?」


真彩「ううん」

と言って、首を横に振る真彩。


池本「何で?」


真彩「何でって……別に話す事ないから……」


池本「以前はあんなに仲が良かったのに?」


真彩「あぁ……もう、過去の事だから……」


池本「二人共、もう大人なんだから、自立もしてる訳だから、また付き合えると思うけど?」


悠斗の言葉に反応して、真彩、

真彩「池もっちゃん……」

と言って、池本の目をじっと見詰める。


池本、真彩に見詰められてドキッとする。


真彩「あのね、悠斗と私、兄妹って分かってるでしょ?!」


池本「あぁ、勿論。分かってるよ」


真彩「そしたら、二親等の私達は法律上、結婚出来ないって事も分かってるでしょ?」


池本「あぁ、分かってる」


真彩「じゃー、何でそんな事、言うの?」


池本「公に言わなければ良いんじゃないの? 黙ってたら良いジャン。二人が愛し合ってたら、他人にとやかく言われる筋合いないよ。二人で静かに愛を育んだら良いと思う」


真彩「ふーん……でも、世の中、池もっちゃんの様に理解ある人ばかりじゃないからね……」


池本「そうかもしれないけど、でも、俺、悠斗とマーちゃんがまた前みたいに仲良くなって欲しいから……」


真彩「……」


池本「あぁ、言っとくけど、悠斗に頼まれた訳じゃないからね。この前、悠斗と一緒に飲んでた時、悠斗が『自分の心を捩じ曲げて生きるのが辛くなった、もう限界』って、悲壮な顔で言うからさぁー……これはちょっと深刻だなって思って……未だ精神病んでるって思ったから……」


真彩、池本の言葉に即座に反応し、

真彩「えっ? 未だ精神病んでるってどういう事???」

と言って、池本を見る。


池本「マーちゃん、実はね……」

と言って、ICレコーダーを鞄から取り出し、真彩に聞かせる。


それは、先日の、悠斗との会話だった。


店主の松本の協力を得て、悠斗から見えない所にICレコーダーをセットし、録音したのだった。


真彩、録音されたものを、目を閉じて、黙って最後まで聴く。


     ×  ×  ×


真彩、聞き終えて、

真彩「ふぅ……」

と溜め息をつく。


池本「悠斗が可哀想になって、何とかならないもんかな?……って思って……このままだと、また、ストレス溜めて、脳に腫瘍が出来るんじゃないかって心配になってさぁ……」


真彩「そうなんだ……知らなかった。私の前では、いつも『ひょうきん悠斗』だから……」


池本「何せ、マーちゃん命の悠斗だから……」


真彩「……」


池本「悠斗はマーちゃんが傍にいないとダメなんだよ。あいつ、マーちゃんしか愛せないみたいだから……」

と、真彩の目をじっと見て言う池本。


すると、

真彩「またまたー……」

と、適当にあしらう様に、笑って誤魔化す真彩。


しかし、真彩、その後、無言になる。

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