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第57話 悠斗と紗季の結婚

【中村家(悠斗と真彩の実家)・リビング】


実家に帰って来ている真彩。

真彩の父親・智之は、敢えて、原宿殺傷事件の話題は出さない。

只、可愛い娘の元気な姿が見たかっただけだ。


夕食後、亜希は食べた食器を洗い、真彩はダイニングテーブルの上を台ふきんで拭いている。

智之と悠斗は、ソファに座り、新聞、雑誌を読んでいる。


ふと、智之が悠斗を見て言う。  

  

智之「なぁ悠斗、紗季さんといつ結婚するんだ? もうそろそろ良いんじゃないか?」

   

突然の智之の言葉に、ドキッとする悠斗。


智之「紗季さん、もう、ずっと日本なんだろ? イギリスには戻らないんだろ?」

   

智之の唐突な言葉に戸惑う悠斗。

直ぐに言い返す言葉が見つからず、悠斗、ドギマギしている。

   

悠斗「あぁ、父さん、その話は……」

   

智之の言葉に、悠斗、焦っている。

そして、真彩をちらっと見る。


真彩に動揺は無い。

ひたすら、亜希の手伝いをしている真彩。


智之「照れるなよ。紗季さん、気立てが良くて綺麗で、悠斗の嫁に相応しいからなぁー。また家に招待したらどうだ? イギリスの話の続き、聞きたいって言っといてくれ」

   

アルコールを結構、飲んだのもあり、浮かれて、陽気な感じで話す智之。 


すると亜希が、

亜希「パパ、その話はまた今度ね!」

と言って、話の腰を折る。


亜希、首を左右に振って、智之にアイコンタクトを送るが、智之、気付かず。


智之「えぇ? 何でだ? 悠斗も三十近いし、もうそろそろ良いだろ?! 真彩はもう、あと二、三年位してからかな? ホントは嫁に行って欲しくないんだけどな」

と言って、赤い顔をして上機嫌な智之。


亜希「パパ、ちょっと酔ってるね?」

   

呆れ顔の亜希、ちらっと悠斗の顔を見る。  

 

真彩、キッチン台を綺麗に拭き終わると、タオルで手を拭き、亜希に、

真彩「じゃー、帰るね!」

と、笑顔で言う。


智之、真彩を見て、   

智之「えぇ、もう帰るのか? もっとゆっくりして行ったらどうだ?」

と優しい口調で言う。


真彩「戦略会議の資料作らないと駄目だから……」


すると、真彩に、

智之「社長さんは忙しいですね!」  

と、からかう様に言う智之。 

 

真彩「もうー、パパも社長さんジャン!」

と、微笑んで言う真彩。


智之「あれっ? そうだったっけ?」    

おどけた顔をして真彩を笑わす智之。


そして、

智之「無理するなよ! それと、今回みたいな危ない真似は絶対するなよ!」

と、真顔で真彩に念を押す智之。


真彩「はーい……」

真彩、智之に微笑む。


そして、智之にハグして、アメリカ流の挨拶をしてショルダーバッグを担ぐ真彩。




【中村家・駐車場】


亜希、真彩を見送る為に駐車場に居る。

真彩、バイクの鍵を刺し込み、そしてヘルメットを被り、手袋をはめる。

亜希、心配顔で真彩を見ている。


亜希「あの、真彩……」


真彩「うん?」


亜希「大丈夫???」


真彩「うん。大丈夫だよ。アルコール飲んでないし」


亜希「いや、そうじゃなくて……」


悠斗も、真彩を見送ろうと、玄関から出て来る。


真彩、ちらっと悠斗を見る。


真彩「じゃーね! お休み!」

と言って、笑顔で亜希に言う真彩。


亜希「気を付けてね!」   

 

真彩、中型バイクに乗り、去って行く。


悠斗、真彩の後ろ姿をじっと見詰める。


亜希「ふぅ……」

溜め息をつく亜希。


悠斗、口を噤み、バイクに乗っている後ろ姿の真彩を、姿が見えなくなるまで見送っている。


亜希、悠斗の背中を優しくポンポンし、玄関へと向かう。





【イーストヒルズマンション・703号室】


悠斗が、リビングの窓から見える景色を眺めている。


悠斗の背後から、渡辺紗季(27歳)が、悠斗に抱きつく。


悠斗、抱きつかれたままじっと景色を見ている。




【高槻レオマンション・806号室】

   

真彩、リビングのソファに座り、テディベアに話し掛けている。

このテディベアは、真彩の誕生日に、悠斗がプレゼントした物だ。


真彩「寂しいな……でも、しょうがないよね……これで良いんだよね。皆んなが幸せになるんだもんね。望まれて生まれた訳じゃない私が、こうやって生かされてるだけで感謝なんだから、自分の幸せを望むなんてもってのほかだよね……」   

 

テディベアを抱き締め、自分に言い聞かす真彩。


真彩の目から涙が零れ落ちる。


真彩のスマホに着信音が鳴る。


画面に表示されている『悠斗』の文字。


真彩、テディベアを抱いたまま、電話に出ようとしない。


電話が切れる。

しかし、また掛かって来る。


それが何度か繰り返される。

しかし、真彩は一向に電話に出ようとしない。




【高槻駅周辺道路】


高槻駅近くの道路で、真彩と優衣は、横断歩道を渡るのに、信号が青になるのを待っている。


道路の右から、見覚え有る車が停車する。


目の前の信号が、青になったのを確認して横断する真彩と優衣。


真彩、横目でちらっと車の運転席と助手席を見る。


真彩(心の声)「悠斗と紗季さん、デートか……」

  

運転席には悠斗、助手席には悠斗の許嫁である紗季が座っている。


真彩(心の声)「美男、美女、ホントお似合いだわ。紗季さん、いつ見ても綺麗だなぁ……私もあんな風に大人の気品漂う女になりたいけど……まっ、土台が違うから無理だよね……私なんて未だ子どもだもん」

   

独り心の中で笑う真彩。


優衣は、スマホで店を検索しながら歩いている。


悠斗と紗季、二人で顔を見合わせ会話している。


悠斗、真彩が目の前を通り過ぎたのに気付く。


悠斗(心の声)「あっ……真彩……タイミング悪いなぁ……絶対、こっちに気付いたよな……」


悠斗、真彩の歩く姿を目で追う。


真彩(心の声)「紗季さんが、もうちょっとしたら義姉さんになるんだ……もっと喜ばないと……建前だけでも喜ばないとね……」

  

真彩、顔が曇る。

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