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第37話 前田の家へ

【社用車の中】


ハーモニー社の社用車を運転している前田。


真彩、パーティー会場で見知らぬ沢山の人と話し、気を使い過ぎたせいで脳が疲弊し、左の後部座席でシートベルトして寝ている。


前田、運転しながらルームミラーで、ちらちらと真彩を見る。


真彩の胸元が気になっている前田。


真彩の鎖骨を見て、前田、ドキドキしている。


そんな前田の心を知らずに、スヤスヤと寝てる真彩。




【フォレストマンション・駐車場】


フォレストマンションの、客専用の駐車場に車を止める前田。

そして、前田、真彩を起こす。


前田「社長、着きましたよ?!」


真彩、眠そうな感じで、

真彩「あぁ、着いた?」

と言って、背筋を伸ばす真彩。



【フォレストマンション・207号室】


前田の家に入る真彩。


前田「さぁ、どうぞ!」


真彩「お邪魔しまーす!」

と言って、靴を脱ぎ、自分の靴を揃える。


そして、前田の靴も揃える真彩。


前田「ちらかってますけど、ゆっくりして下さい」


真彩「はーい」


真彩、前田の部屋を見渡す。


前田、ベッドルームのクローゼットから、自分の上下トレーナーを取り出し、真彩の所に持って来る。


前田「ドレス汚すと大変だから、良かったらこれ着て下さい」

と言って、真彩にトレーナーを差し出す前田。


真彩「あぁ、有難う。じゃー、お借りしますね」

というと、直ぐにその場で服を脱ぎ出す真彩。


前田、慌てて台所に行き、カレーを作る準備を始める。


前田(心の声)「危なー……社長の下着、見るとこだった……」


前田、真彩を見ずに、

前田「一時間程で出来ますから!」

と言って、準備を始める前田。


前田(心の声)「ふぅ。危ない危ない、落ち着け、俺。社長を抱きたいなんて、そんな欲望、捨てるんだ! あぁ、でも、社長と二人のこの時間、耐えられるかなぁ? これは拷問だ! 自分から誘ったのに……あー、ヤバッ、ドキドキが半端ない……」


前田の葛藤をよそに、真彩、着替えて前田の所に来る。


真彩、前田の体に触れそうな距離で、前田の包丁さばきをじっと見ている。


真彩「料理、得意なんだね……」


前田「あぁ、何せ母子家庭なんで、母、残業して、俺が夕食作る事が多かったんです。その割に母も妹も味にうるさくて……」


真彩「成程ね。人に喜んで貰えるから、料理上手になるんだね……」


前田「あぁ、そうですね。一人だったら総菜買って来て済ませるから……」


真彩「お母様と妹さんに感謝だね。知らない内に料理上手にして貰った訳だから……」


前田「あぁ、言われてみればそうですね。今迄そんな風に思った事なかったです……」


    ×  ×  ×  


真彩、カレーが出来上がる迄、前田の本棚にある宇宙に関する本を読み漁っている。


前田「社長がそんなのに興味あるなんて、ビックリです」


真彩「あぁ、何故か小さい頃から宇宙に興味あったから……」


炊飯器の電子音が鳴る。


前田、しゃもじでご飯を軽く混ぜる。


真彩、読んでいた本を本棚に戻し、前田の手伝いをする。


台ふきんでテーブルを拭く真彩。


前田、皿にカレーを盛り付け、スプーン等をセッティングする。


二人用のテーブルに向かい合って座る、真彩と前田。

まるで新婚さんだ。


前田「さぁ、食べましょう?!」


真彩「(無邪気に)わーい、嬉しいなぁー」


二人、顔を見合わせ、合掌する。


真彩と前田「いただきます!」


真彩、一口食べ、

真彩「何これ?! メチャ美味しい! 美味し過ぎるー! これ、お世辞じゃないよ。本当に美味しい」


前田「良かったー。社長に食べて貰いたくて、ずっと、どうしたら美味しくなるか研究してたんで……でも、まさかウチで本当に食べて貰えるなんて、夢みたいです……」


真彩「それはそれは。これ、毎日食べたいわ」


前田「あぁ、松本さんにも相談して、スパイス色々教えて貰ったんですよ?!」


前田、嬉しそうな顔をして言う。


真彩「えぇ? あぁ、お店で食べるタッくんのシーフードカレー、美味しいからなぁー」


前田「えっ? Route72はシーフードカレーって、メニューに無いですよね?」


真彩「あぁ、肉嫌いの私の為に、メニューに無いのも色々作ってくれるんよ。シーフードカレーもその一つ。タッくんが作るの、何でも美味しいんだよね……」


前田「そうなんですか」


真彩、カレーを美味しそうに食べる。

スパイスの特性を舌で味わいながら食べる真彩。


前田、美味しそうに食べてくれている真彩を、ちらちら見る。


前田、真彩に喜んで貰えて、嬉しくて仕方ない。


そして、真彩、あっという間に平らげる。



前田、ちょっと首を傾げて、

前田「社長って、ホント不思議な人ですね……」

と、真彩に言う。


真彩「えっ? 何で???」


前田「何か、普通の人と違うんです。時々、人間じゃないみたいで……宇宙人?……みたいで……あっ、宇宙人がどんな人が知らないですけどね」

と言って笑う前田。


真彩「はい?……宇宙人???」


前田「あっ、あの、違いますよ、良い意味で言ったんですよ! 良い宇宙人ですよ?!」


真彩「良い宇宙人???」


前田「あ、はい。良い宇宙人です。俺、オーラとか見えないですけど、社長の回りは温かい何かで包まれてる感じで、人を惹きつける力があって、一緒に居ると癒されるんです」


真彩「ふーん……」


前田「だから、ずーっと一緒に居たいなーなんて……あぁ、すいません……」


前田、自分の素直な気持ちを口走ってしまい、ちょっと焦る。


真彩(心の声)「んん? ひょっとして、告られてる???」


前田(心の声)「どさくさに紛れて、告ってしまった……」


前田「それに、パワーも貰えて、心が元気になるんです。一緒にいるとホント、安心するんですよね……温かいものに包まれてる感じで……」


真彩「ふーん。一緒にいると安心って……私はお母さんか?!」


笑って突っ込み入れる真彩。


前田「いや、お母さんとはまた違います。それに、社長は末っ子の甘えん坊気質だから、誰とでも仲良くなれて羨ましいです。俺、長男だから、甘えるのがどうも下手で……」


真彩「いや、そんなの簡単だよ。馬鹿になったら良いだけだよ。プライド捨てて、自分で囲ってる、自分が傷付かない様に守ってる壁を壊したら良いんよ。そしたら誰とでも仲良くなれるよ?」


前田「プライド捨てて馬鹿になるんですか……」


真彩「うん。何か嫌なこと言われても、馬鹿だったらヘラヘラ笑ってられるでしょ? 腹立つ事なんてないもん。皆んな馬鹿になったら平和な世の中になるのにね……」


前田「でも、馬鹿になるって、簡単な様で難しいですよね……それこそ悟らないと無理です。俺みたいな凡人には無理です」


真彩「無理とか言わないの! 無理だと思っても、『努力します!』……で良いの!」


真彩、真面目な顔で、前田の目を見て言う。


前田「……はい……」


真彩「出来ても出来なくても、結果じゃないんだから。そこに至るプロセスなんだからね。そのプロセスで、人は向上する訳だから。無理なんて言葉、口に出したら、本当に無理になっちゃうよ? 勿体無いよ?! 言霊って実際にあるからね……」


真彩、前田をじっと見詰める。

前田、真彩の言葉に圧倒され、また、真彩に見詰められ、胸がドキドキし出す。


前田「あぁ……はい……すいません。以後気を付けます……」


前田、そう言った後、頭を少し左右に振る。


真彩「?……どうしたの?……」


前田「あぁ、いや、社長に見詰められると、吸い込まれそうで……」


真彩「吸い込まれるって……私はウルトラマンに出て来る怪獣か?!」

と言って、首を傾け、前田に微笑む真彩。


前田「えっ? 社長、ウルトラマン、好きなんですか?」


真彩「うん。小さい頃、好きだった」


前田「俺も好きでした!」

と言って喜ぶ前田。


真彩「兄が小さい頃、大好きだったから、その影響。実家にフィギュア、未だ沢山、飾ってあるよ」


前田「そうなんだ、何か、嬉しいです」


二人の楽しい会話の最中、突然、真彩のスマホに着信音が鳴り出す。


真彩、前田の顔見て、

真彩「ちょっとゴメン!」

と言って、スマホ画面を見る。


真彩「あっ……」


秘書の優衣からだった。

直ぐに電話に出る真彩。


真彩「はい……」


優衣(声)「もしもーし、今どこ???」


真彩「今?……前田さんの家……」


優衣(声)「はぁ??? 今直ぐRoute72に集合!」


真彩「えっ? 今から???」


優衣(声)「そう。直ぐに集合!」


真彩「えぇー……」


真彩、不服そうな顔。


そして、スマホの電源を切る真彩。


真彩「どうしたんだろう???」


真彩、何か考えている。


前田「どうかされたんですか???」


真彩「あぁ、秘書さんが、今直ぐRoute72に集合だって言うから……何かあったのかな?……って思って……機嫌悪かったんだよね。怒ってるみたいな感じだった……」


前田「えぇ?……」


真彩「めんどくさいなぁ……」


前田「あぁ、じゃー、家まで送ります。着替えないといけないですもんね。あぁ、その服、そのまま着てて下さい。またドレスに着替えるの大変だから……」


真彩「そう? じゃー、遠慮なく……」


前田、直ぐに、真彩のドレスを入れる紙袋を用意する。


真彩、ドレスをきちんと畳み、その紙袋に入れる。


真彩「あーあ、カレー、お代わりしたかったのになぁー……」

と、真彩がふてた感じで言うと、

前田「あぁ、じゃー、タッパに入れますんで、また、明日の夜にでも食べて下さい」

と言って、台所に行く前田。


真彩「えっ? ホント? 嬉しいなぁ……」


前田「いやいや、俺も嬉しいです。食べて貰えて……」


真彩「ごめんね……」


前田、カレーをタッパに入れ、それをビニール袋に入れる。

そして、別の紙袋に入れて、真彩が持ち易い様にする。


前田、車のキーをポケットに入れ、自分の鞄を持つ。

そして、真彩の荷物も持つ前田。


真彩「ガス切った?」

と、真彩、言い出す。


前田「はい、大丈夫です。じゃー、行きましょうか」


真彩「ホント、アッシーして貰ってゴメンね……」


前田「いえいえ、大丈夫です。社長の為なら!」


前田、真彩を見て微笑む。


すると真彩、前田にハグし、

真彩「有難う!」

と言って、頬っぺたにキスをする。


前田、突然の事に驚く。


両手に荷物を持っているので、真彩をハグする事が出来ない前田。


しかし、真彩にハグされ、頬っぺたにキスされた事に喜び一杯だ。


前田(心の声)「ヤッター! 超嬉しいんですけど……社交辞令でも嬉しいー!」


前田のニヤニヤが止まらない。

シャキッとした顔をつくろうと思っても、にやけてしまう前田。

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