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エンゴサク:天使の道案内
寂しくて寂しくてどうしようもなく
森の小道に足を踏み入れた
奥の暗がりは樹海に繋がっている
このまま進んでしまえと思ったところで
出会ったのが君だった
見目にも麗しいピンク色の
ワンピースをまとった君は
ひらりひらりと裾を翻して
僕を巧みに樹海とは反対の
人里のある方向へと誘った
軽やかなステップは地につかず
まるで宙を蹴るようで
目を逸らしたらかき消えてしまいそう
こんな山奥の隠れ里に
君みたいな繊細な人が住んでいるなんて
君は僕を誘いながら
時折振り返る度にこりと笑み
それは天使の微笑みで
だから僕は樹海に入ることなく
九死に一生を得た
そして僕の人生に目標ができた
君が空へ飛んでいかないように
僕の隣に繋ぎ止めること……




