22/36
ムスカリ:あなたの青い星
誰もが好きって言ってくれるわけじゃない
見ためが苦手、だなんて陰口されたり
でも空の青を一身に受けて
上に向けて伸びる私を
止められる人はいない
夢に向かって
ただひたすらに
外見なんて二の次で
高みを目指している私に
気づいてくれたのはあなた
学校でも出先でも
チラチラ見られてコソコソ話され
「注目されるのが辛い」と言った私に
あなたは「それならいっそのこと」と
自分から人目に立つよう諭してくれた
空の色を瞳に宿し
ブロンドの髪を持つ私は
毎日レッスンに励んで
遂に憧れの舞台を踏んだ
痩せぎすで魅力がないと思っていた肢体は
軽々と跳躍し舞台を掌握する
爪先を中心にチュチュがくるくると回り
トウシューズのアラベスクは繊細に優美に
舞台がはけて真っ先に出迎えてくれたのはあなた
あなたの『エトワール』になった私は
もうコンプレックスも怖いものもない
それはまさしく綺羅の空間
私は生まれて初めてヒロインになった
舞台を下りても一生プリマだと
あなたが信じさせてくれたから




