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ヒヤシンス:悲しみを越えた僕たちの愛
悲しみを越えた愛は
紫のヒヤシンスのように
凛と気高く、美しく
初恋のひたむきさで
誇らかにその存在を主張する
遠く離れても清らに薫るその魂
君を苦しめたのは僕なのに
ヤキモチから困らせたくなっただけなのに
君は自分のことを責めて
自分から身を引いたね
ただ僕たちの愛を守るため
その愛の崇高さを守るため
突き放された僕は今となっては
ヒヤシンスの残り香に
「僕たちの愛」というものが
本当に存在したのかどうか問いかけている
熱病のような恋を過ぎ
悲しみを越えて
愛に変わった優しさが
君の中に今もあるのかどうか
君は優しく微笑んで
僕を許してくれるだろうか
ああ、「僕たちの愛」は確かに
あの時あの場所に存在していたことを
ヒヤシンスの残り香で知る春
僕はまだ君を想っている……




