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押しかけメイドが男の娘だった件  作者: 敷金
第四章 誰もいない世界から脱出編
70/118

ACT-70『さようなら、誰もいない世界』

第四章・最終回となります。


 新宿駅南口付近で、照明が点きっ放しになっているビルがある。

 その報告は、翌日早速に澪・沙貴・翔に伝えられた。


 そして午前中のうちに、三人はそのビルに向かう事となった。


「――ドアが開いてる。

 しかもこれ、一度外から壊されてるね」


「ということは、やっぱり誰かがここに?」


「ああ、もしかしたら今も住んでいるのかもしれない。

 調べてみよう」


「うわわ、なんだかドキドキしてきたわ!

 卓也ぁ、僕、怖い~」


「どさくさ紛れにくっつくな!」


 腕にしがみつく澪を引き剥がしながら、卓也はふと沙貴の様子を窺う。

 しかし彼はこちらに全く注意を向けておらず、ただビルの入り口を真剣に凝視するだけだった。 






  ■□ 押しかけメイドが男の娘だった件 □■

 

   ACT-70『さようなら、誰もいない世界』





 そこは、四階建ての白い壁が特徴的な雑居ビル。

 地下には居酒屋が入っているようで、一階部分側面に赤い看板が掲示されている。

 脇にある小さなガラス戸の入口の脇には自動販売機があり、どうやらこれは普通に使用出来そうだ。


 ガラス戸は何か硬い物で外側から割られたようで、そこから内鍵が外されている。

 四人は息を呑み、ドアを開けると中に入り込んだ。


 一階のフロアに入り込むと、確かにそこでは煌々と明かりが灯っている。

 しかし、何処を見ても誰かが居るような気配はない。


 一時間程の捜索の結果、ここはただ“明かりが点いているだけの場所”に過ぎない事が確定した。


「なんだぁ、結局何もないのね」


「いや、そうでもないようだ」


「え?」


 澪のぼやきに応える翔は、何処からともなく一冊の古いノートを取り出した。


「え、ノート?」


「ああ、さっきテーブルの横に落ちているのを見つけたんだ。

 見てくれ、これを」


「……えっ?!」


 卓也は,翔が示すノートのページを見て、思わず声を漏らした。

 そこには、誰かによる緻密な覚書のようなものがびっしりと書き込まれている。


 新宿駅の様子、周辺のビルの状況、場所毎に記された食料到達可否の情報、他者の痕跡の有無や状況など、様々な情報が事細かに日付毎に記されており、更には一時間毎の天気や気温までメモされていた。

 走り書きのようなざっくりした情報も多いが、それでもかなり丁寧に記されており、これを書いた者が相当細かい性分である事が窺える。

 しかも卓也は、その綺麗な文字に見覚えがあった。


「これは、もしかして」


「ああ、俺も同じことを考えた」


「どういう事ですか?」


「これって、あのノートに雰囲気似てない?」


「そう、まさにそれ」


 澪の指摘した通り、そのメモノートからは、例の二冊のノートに通じるものが感じられる。

 それを理解した四人は頷き合い、更に何か手がかりがないかと、ノートが発見された周辺を再調査し始めた。

 しかし卓也は、これだけ書いたのに置いて行ったの? という疑問が拭えなかった。

 もし自分だったら、これだけ大量に文字を書いたのなら、移動時もずっと持ち歩くだろうとも思った。


 十数分後、沙貴が声を上げる。


「ご主人様、翔さん!」


「ちょっと沙貴ぃ! 僕は除け者ぉ?」


「澪もおいで」


「なにそれぇ!」


 手招きする沙貴の手元を覗き込むと、彼は何かの紙切れを持っていた。

 そこには



 台東区松が谷一丁目〇〇



 という住所だけが書かれていた。


「これ、どういう意味でしょう?」


「そこに何かあるってことかな?」


「調べてみたら、東京メトロの田原町駅付近みたいですね」


 その時、卓也の頭上に電球が浮かび、パリンと割れた。


「あ、もしかしたら」


「どうしたの、卓也?」


「いやさ、ノートにこんなことが書いてあったのを思い出してさ」


 卓也は、そう言うと一冊目のノートにあった記述内容を回想した。




『んで、この人は色んなところを点々として、しかもその場所が後からでもわかるように、部屋の電気を点けっ放しで引っ越したりしていたんだって』




 熱海の温泉ホテルに行った時、澪と一緒に明かりを発見した時の事が思い浮かぶ。


「ノートの主は、自分が居た所の明かりを点けたままにしてるんだ。

 恐らくここもそうじゃないかな」


「ということは、まさか?」


「ああ、田原町に行けば消息が追えるかも?」


「ええっ?! あのノートを書いた人に逢えるかもしれないの?」


「いや、それはどうかわからないわよ。

 だってもう――」


 やや興奮気味の澪に、いぶかしげな表情を浮かべる沙貴。

 しかし、ノートの主の後を追うことで何かが分かれば、という気持ちは全員同じだ。


「とりあえず、行ってみよう」


「「「 はい! 」」」


 翔の提案に、三人は声を揃えて快諾した。





 ――それから約三十分後。


 メモに記された場所に辿り着いた一同は、記された住所に該当するマンションの一室に明かりが灯っている事を確認した。

 日中で分かりにくいが、確かに光が漏れている。

 すかさず乗り込んでみるも、またしてもそこは無人だった。


 しかして、そこにも膨大な記録を書き記したノートが発見された。

 しかも冊数が五冊程もあり、そのいずれも途中までしか書かれていない。

 内容的には一冊目のノートの試作的なもののようで、いくらか内容の重複が確認される。

 卓也は、またしてもノートを放置する理由が分からず、少し困惑した。


 マンションの部屋には相当な生活感が残されており、まるで今すぐにでも住人が帰ってきそうな雰囲気だ。


「ここには随分長く居た気配があるよね」


「ああ、しかも結構荒れてる気がする」


「自己管理能力のない文筆業作家って感じかしらね」


「沙貴、表現が適格過ぎ」


 二時間ほどじっくり手分けして調べてみたものの、やはりここは引き払われてから相当な日数が経っているようだ。


 更に十数分調査した末、何も目新しい情報がないと判断した四人は帰還することにしたが、


「あ、なんだこれ!」


 卓也は、玄関の床に何かを発見した。


「これ、新しい住所のメモ?」


「ええっ?! またぁ?」


「えっと今度は、足立区西新井本町二丁目……」


「い、行ってみるか」


 複雑な気持ちになりながらも、四人は顔を見合わせ、車に乗り込んだ。




 その後、似たような展開が続いた。

 明かりが点きっ放しの部屋、膨大な記述の資料、荒れた生活痕、次の住所のメモ発見。

 このループが三回も続き、場所も赤羽、江古田、高田馬場と変わっていく。

 卓也は、そのいずれにも緻密に書かれたノートが放置されているのを知り、だんだん異常性を感じ始めて来た。


 辺りはすっかり暗くなり、高田馬場のマンションで更に次の住所メモが見つかった段階で、とうとう澪がキレた。


「ああ~もお! ノートの主ぃ!!

 いったいどんだけ僕達を振り回せば気が済むのよぉ!」


「た、確かに挫けるわね、ここまで同じパターンが続くと」


「今日のところは、一旦戻った方がいいかもね」


「そうしようよ、翔さん。

 で、明日も続けるの?」


「そうだなぁ。

 生きている可能性があるなら、逢う価値はあると思うし」


「そっかぁ」


 すっかり疲れ切った四人は、翌日に捜査を持ち越すことにして、その日は解散することにした。





「次は永福町かぁ。

 くっそ、ノートの主はいったい何を考えてるんだ?」


「そうよね。

 ただ単に引っ越すだけなら、わざわざ住所を残していく必要はないわけだし」


「しかも、あれだけびっしり書き込んだノートを置いてけぼりにするってのも意味不明だよなぁ」


「まるで自分の跡を、誰かに追いかけて欲しがってるみたい」


「もしかして、話し相手が欲しかったのかもな」


「うふふ♪ 僕達は話し相手がいつも傍に居て良かったよね!」


「ホントそう思うよ。

 もし俺が一人だけだったら、絶対気が触れてたと思う」


「そんな事言っちゃだめぇ」


「……あっ」


 澪の右手が、卓也の一部に触れる。

 指先が特に敏感な部分をなぞり、思わず声が漏れる。


「さ、沙貴が起きる……」


「大丈夫、卓也が声を我慢すればいいだけだもん」


「お、おま……っへ」


 含み笑いの後、澪の声が途切れる。

 熱いものに全体を包み込まれ、先端を強く何度も締め付けられる感覚に酔い、卓也は必死で口を手で覆った。


(そういえば……あれからずっと、沙貴とはしてないな。

 明日、誘ってみようかな……って、あ、ヤベ、出――)


 次の瞬間、一番深い所に全てを解き放つと、卓也は踏まれたカエルのような声を漏らした。




 翌日早朝、早々に準備を整えた三人は、翔の許に向かう為準備を整える。

 マンションを出る直前、卓也は沙貴の両肩を後ろから押さえた。


「ご主人様?」


「沙貴、元気?」


「ええ、元気ですよ。

 どうかなさったんですか?」


「いや、なんか最近元気ないかなって思えたからさ。

 あれから体調問題ない?」


「ご心配ありがとうございます。

 私は至って健康ですよ」


「そう」


 そう言うと、卓也は沙貴の股間に手を伸ばす。

 しかし、彼はそれをスッとかわした。


「参りましょう、ご主人様」


「え? あ、ああ」


「今日こそ、新たな発見があるといいですね」


「う、うん……」

(どうしたんだ、いつもならじっとして受け入れるのに?)


「卓也ぁ~、早く早くぅ」


 遠くで、澪が呼んでいる。

 卓也は何か腑に落ちない感覚を引きずりながら、部屋を出た。





 一時間後、合流した四人は永福町に辿り着くも、そこもやはりもぬけの空だった。

 そして示される次の住所メモも見つかる。

 だがその住所を見た途端、四人は揃って顔色を変えた。


「この住所って」


「ああ、まさかこう来るとは」


「これって……一気に罠臭が漂って来ましたね」


「どどど、どうするの?! 行くの?

 僕、辞めた方がいい気がする」



 記載されている住所は、


 千代田区外神田三丁目


 ――つまり、秋葉原だ。



 以前卓也達三人が訪れたことのある、あの黒い壁に覆われた隔離地帯のど真ん中だ。


 マップアプリで調べてみると、どうやら麗亜達の居たビルとはまた違うところのようだ。

 

「図書館、かぁ。

 秋葉原に、図書館なんてあったんだ」


「行ってみよう。

 なんだか、いかにも彼らしい場所じゃないか」


「これがラストになるといいんですがね」


「そういうこと言わないでよぉ~、沙貴ぃ」


「ごめんごめん」


 今日はまだ一件目なせいか、全員余裕と覚悟がある。

 四人は一旦それぞれ帰宅し、再度装備を整えてから再合流することになった。


 向かう先は、隔離地域。

 誰が云うでもなく、全員に緊張感が漲っていた。




 昼を過ぎた頃、四人の乗ったSVは、昌平橋の交差点に到着した。

 ここで車を降り、向かって左手の角にある住友不動産のビルを通り抜けて壁の向こう側に至るルートを取る。

 その向こう側は、既に植物に支配された死の世界だ。

 卓也と澪、沙貴の表情が強張る。


「よし、じゃあ行こう。

 みんな気を付けて」


 翔が皆を先導する。

 四人は、路面を覆う根や茎、蔓を踏み締めながら、ゆっくりと電気街方面に向かって行く。



 神田明神通りを横切り、秋葉原ジャンク通りを突き進む。

 卓也は、見慣れた店がことごとく廃墟のようになっている様に怖気を覚えながらも、気を引き締めて目的地を目指す。

 本来の何倍もの時間をかけて、四人は目的地「昌平童夢館」に到着した。 


「コミュニティセンター……ここか」


 入口は、植物の硬い蔓が巻き付いており塞がれているが、それを見越した装備を用意した卓也達に隙はない。

 あの日、麗亜の遺体を回収した時に用いた鋏が、物を言う。

 十数分程度の作業で、ドアは開放された。


「やはり、入口が空いてる。

 行こうか」


「うう、なんか怖いなぁ」


「俺はさすがにもう慣れた」


「参りましょう。ご主人様、足元にお気をつけて」


「ああ、ありがとう」


 息を呑み、覚悟を決めると、四人は建物の中に入っていった。




 小学校に隣接しているコミュニティセンター。

 その中にある図書館へは、予想を覆す程簡単に辿り着くことが出来た。

 建物の中には植物の影響は及んでおらず、それでいて何処かじめっとした空気が漂う異質さが感じられる。

 なんとなく肌寒さを覚え、澪は卓也に寄り添った。


 見ると、各所に設置された本棚はいずれも激しく荒らされており、本は乱雑に取り出され床に散らばっていた。

 棚の中に残っている本も斜めに大きく傾いたり、横倒しになっているものが殆どだ。

 中には、ページが破られているものや、過剰に大きく開かれて背割れを起こしているものもある。

 いずれも相当乱雑に扱われたであろう事が窺える。


「ど、どういうこと? これって」


「さ、さぁ」


「ご主人様、これを!」


 突然、沙貴が大きな声を上げる。

 翔と共に駆けつけると、そこにはとんでもない量のノートが重ねられたテーブルがあった。

 横に積まれたノートの冊数は、十や二十では済まない。

 その冊数はどう少なめに見積もっても三桁に及んでおり、いずれも何度も開かれたことが窺え、すっかりぼろぼろになっている。


 翔は、その一冊を手に取り、パラパラとめくってみた。


「なるほど、そういうことだったのか」


「え? 何?」


「神代さん、コイツを見てくれ」


「え~と、どれ……って、アレ?

 これって」


「何? どうしたの?」

「ご主人様、いったい何が?」


 澪と沙貴も、興味を抱いてやって来る。

 四人はノートの内容を見て、しばらくの間を置いて絶句した。


「べ、別の……お役立ち情報ノート?」


「こ、こんなにいっぱい?!」


 そのノートも、この世界の情報を緻密に記したものだった。

 しかし、明らかにノートの主によるものではない。

 筆跡も違うし、書き方の癖も異なる。

 ましてや字は非常に汚く、まさに書き殴ったというのが相応しいレベルだ。


 だが、その内容の緻密さが突出している。

 なんと地区毎に建物別に詳細な情報が記載され、有効そうな設備や店舗の情報、そこに取り扱われている製品の内訳なども事細かに書かれている上、効率的な資材の回収手順に加え、簡単なDIYや不得手な人でも可能な調理方法などについても言及されている。

 更に驚いたことに、別のノートには様々な乗り物の運転方法まで記載されていて、なんと船舶や飛行機、果ては電車の操縦にまで触れてある。

 そして何より、その内容は非常に分かりやすく、字の雑ささえ度外視すれば内容の充実度はかのノートよりも上に思えた。


 卓也は、その記述の中に「国鉄」という一文を見つけ、思わず目を疑った。


「ノートの主は、一人じゃなかったってことか?」


「いや、それはどうだろう」


 片っ端からノートを読んでいくが、いずれも同じ人物によって書かれたようで、しかも内容にブレがない。

 執筆者が非常に落ち着いた精神の持ち主で、心を乱すことなくしっかりと目的に沿って書いている姿勢が窺える。

 そしてそれは、あのノートの主からは感じられないものだ。


「もしかして、ノートの主は――」


「このノートを後から見つけて?」


 四人は、無意識に頷いていた。


「他に何かないかしら?

 ここ、絶対何かあると思うの」


「ああ、もっと捜そう」


 この大量のノートだけが、ここの全てではない。

 そう実感した四人は、一旦ノートを置いて、他の場所を更に捜索してみることにした。




 ――十分後。


 沙貴が、またも新たな発見をした。


「ご主人様! みんな! 来て」


 二階から沙貴の声が響き、手分けしていた三人が走り出す。

 駆け付けた先は、二階の一番奥にある、資料室のようなところ。

 そこは部屋全体が沢山の本棚に覆われており、一部に小さなテーブルと椅子が設置されている。


 それはそこに腰掛け、テーブルに広げた本を開いていた。

 

「……」


「ま、まさかこれ?!」


「なんてこった、そういうオチか」


「え――きゃあっ?!」



 その“者”は、既にこと切れていた。


 いったい何年前から、ここに座していたのだろう。

 その身体はすっかり張りと生気を失い、茶色く濁ったミイラになっていた。


 身に着けている服装から、中年くらいの男性だろうか。

 かさかさになった長い髪を垂らし、眼鏡をかけ、やや俯くような姿勢のまま、彼はその時間を止めていた。

 彼の周辺には、読み散らかした様々な本が散らかっており、最期の瞬間まで何かを探していただろう様子が窺えた。


「ああ……」


 絶望の表情で、沙貴はその場に崩れ落ちる。

 卓也はすかさず、彼の腕を取り支えた。


「だ、大丈夫か、沙貴?!」


「え、ええ……大丈夫、大丈夫です……」


「戻ろう。今日はこれで戻ろう」


「ああ、それがいいや」


「沙貴、しっかりして!」


 それ以上、調査は実行出来ない。

 そう実感した卓也と翔は、澪と沙貴を伴って急いで図書館を出た。



 

 結局、あの図書館の男は誰だったのだろう。

 それは、遂にわからなかった。


 ただ分かったのは、もうずっと前にあそこで朽ち果てたということ。

 そして、誰かが自分の痕跡を追いかけて来るのを待ち続けていた。

 卓也には、そう思えてならなかった。



 その翌日、卓也と翔の二人だけで再度図書館の再調査を行った結果、そこが“あの男”――恐らくはノートの主の最期の居住地で間違いないだろうことが判明した。


 別の部屋には生々しい生活痕が残り、しかしてかなりの時間が経過していることが窺える。

 加えて日記のようなものも見つかり、ノートの主が“先駆者”と表現する別なノートの主を過剰に意識していた事、そしてその存在を乗り越えようと必死の努力を繰り返していた事などが確認出来た。


 それらは、あのノートからは決して読み取れない、ノートの主の魂の叫びだった。

 どんなに頑張っても及ばない、“先駆者”の遺したノート。

 それに対する嫉妬、憎悪が、悍ましい程に綴られていた。

 そしてそれが、宛てのない“読者”に向けての承認欲求へ変化していく様も、痛い程に感じられた。


(結局あのノートの主は、この世界で自分以前に緻密な資料を残していた先駆者を越えようとして、挫折したってことなのか。

 承認欲求、っていうのかな。

 それが彼を狂わせたってことなのかなあ……わかんねぇ)


 卓也は、改めて一冊目のノートを読み返し、一人物思いに耽る。

 出来る事なら、ノートの主が生きている間に出会い、直接話をしてみたかった。

 そんな想いに駆られる。


 明日、このノートは翔の手に渡ることになっている。

 卓也の中には、もう未練は残っていなかった。




 その日の晩、皆が寝静まった頃、地震が起きた。

 ここに来てから、地震など一度も起きたことがなかったのに。

 それは、ともすれば無視してしまいそうな軽微なものだったが、卓也は妙に嫌な予感に駆られた。


 ベランダに出て、遥か彼方を眺めると、なんだか景色がおかしい気がする。


(あれ? あそこ……なんか、不自然に夜空が途切れてるような)


 いつもなら星空が見えている辺りが、まるで定規できっちり揃えた何かに遮られているように見えなくなっている。

 一瞬理解が及ばなかったが、数秒後。


「え?! ま、まさか?」


 卓也は、慌てて部屋を飛び出すと、OLの原付に飛び乗った。

 目指すは、お茶の水方面。



「――げぇぇっ!!」


 原付を走らせて、僅か数分。

 新宿通りを東に走っていた卓也は、いつもなら見えて来る筈の半蔵門が見えない事に気付き、慌ててブレーキをかけた。


「き、来た! 遂に来た?!」


 皇居を取り囲むほりの手前辺りに、黒い壁が立ちはだかっている。

 それは内堀通りの路面を突き破り、垂直に生えている。

 高さはまちまちだが、高いものは既に十メートルを越える域に達していた。


「やばい、もう時間がない!

 今夜にも、やらなきゃ!!」


 卓也は、焦って原付をターンさせると、マンションへと戻って行った。





 翌朝、卓也の報告を聞いた澪と沙貴は、ベランダからの光景を目の当たりにして唖然とした。


「遂に、ここもですか!」


「どうしよう卓也! もう一刻の猶予もないよぉ!」


「ああ分かってる。

 とりあえず今日の分の食料や必要な物資を集めよう。

 んで坂上さん達に話して――今夜、世界移動を決行しよう!」


「そ、そうですね。

 では、今からでも坂上さんのところに」


「あと、俺が疲れないとならないから、こんな状況なのに働かなきゃだな」


「そう考えると、滅茶苦茶大変ですね今日は」


「急ごうよ! ぐずぐずしてらんないからね!」


 澪の発破で、卓也と沙貴は気合を込める。

 遂に、最後になるかもしれない一日が始まった。



 朝早く尋ねたにも拘らず、翔は卓也の話を聞き、理解を示してくれた。

 立川へは翔が向かうことになり、その間、三人は引き続き捜索活動を行うことになった。

 場所は変更され、卓也のマンション周辺のエリアを中心に行う事で決まった。

 何かあった時、すぐにマンションに戻れるようにとの翔の配慮だった。


 午前中に翔と別れた三人は、手分けして周辺を洗い直すことにした。


「とは言っても、今まで散々騒がしくしてたのに誰も反応しないから、結果は分かり切ってるんだけどなぁ」


「そう言わないの! 今日は卓也の身体を疲れさせることが主目的なんだから」


「いっそ、部屋で朝から三人でするか?」


「え、ええ~?」


 冗談めいたセリフに、澪が顔を赤らめて反応する。

 しかし、沙貴は冷めた表情だ。

 不思議な気持ちで見つめていると、その視線に気付いたのか、沙貴が話しかけて来た。


「ご主人様。

 申し訳ありませんが、二人きりでお話させて戴けませんか?」


「え、今?」


「はい」


「え、ちょっと、沙貴……」


「ごめん、澪。

 変なことじゃないの。真剣な相談をしたいから。

 お願い、ここは譲って」


「わ、わかったわ」


 沙貴の妙な気迫に圧され、澪は数歩後ずさる。

 二人は、再びマンションの部屋へと戻って行った。


(沙貴……まさか)


 澪は、両手を組んで祈るような姿勢で、二人が登って行った階を見上げた。




 部屋に戻ると、沙貴はリビングの真ん中に立ち、辺りをぐるりと見回した。


「話ってなんだい? 沙貴」


 卓也の切り出しに、沙貴は足を止め、振り返る。

 その仕草が異常な程美しく感じられ、卓也はドキッとさせられた。


「ご主人様。

 実は――お願いがありまして」


「お願い? なんだい?」


「はい、あの」


「沙貴のお願いなんて珍しいから、何でも聞くよ」


「ありがとうございます。

 でも……すみません、とても言いづらいのです」


「大丈夫だよ。

 澪を遠ざけるくらいだから、それなりの内容だってわかってる」


「ありがとうございます。

 あの、実は――」


 そこで、言葉が途切れる。

 次の言葉を紡ぎ出すことが出来ないのか、沙貴は珍しくまごついている。

 そんな仕草を見るは、初めてだった。

 新鮮な気持ちを抱いていると、やがて覚悟を決めたのか、沙貴が顔を上げた。

 




「私、この世界に残りたいのです。

 どうか、お許しを頂けないでしょうか」


 真剣な眼差しで、沙貴は、ハッキリと言い放った。




「は……って、え、ええええええええ?!」


 さすがの卓也も、その反応は予想していなかった。

 

「な、な、何を言い出すんだ?!

 この無人の世界に、沙貴を置いていけって事か?!」


「そうです。

 ご主人様のご意向にそぐわない事は、重々承知しております。

 ですが、私――この世界で、どうしてもやりたいことがあるのです」


「や、やりたいこと?

 それってもしかして」


「はい。

 坂上さん達のような、この世界に迷い込んだ方々をお救いする仕事を、これからも続けて行きたいと考えております」


 想像だにしていなかった、決別宣言。

 それなりに覚悟を決めていたつもりの卓也でも、さすがにこれは即答が出来なかった。


「ま、マジで言ってるのか!?

 それって、もう普通の世界には戻れないってことなんだぞ?!」


「はい、覚悟は出来ています。

 この数日、私なりにじっくり考えた結果です」


「だ、だからって……どうして」


 卓也は、どう言葉をかけるべきか、分からなくなっていた。

 ずっと一緒に居ると言ってくれたのに。

 よりによって、この危険な世界に、残ると。


 それは、さすがに許容し難いことだ。

 何とか反論の言葉を頭の中で紡ぎ出そうとするが、それより早く沙貴が語り出す。


「私がこの願いを叶えた場合、ご主人様への誓いを裏切ることになります。

 ロイエとして、貴方に誓った忠誠を覆すのです。

 それは、絶対に許されないこと。

 万死に値する愚かな行為だという事は、よく理解しております」


「そりゃまあ……ロイエの管理者だったんだもんな」


「ですが、私はこの世界で、様々な経験を積んで理解しました。

 これまでの私は、裏社会的な部分で、自分の意志とは無関係に働いて来ました。

 自分で心からやりたいと思うことなんか、一度も出来ませんでした。

 けど、やっと! やっとそれを見つけることが出来たんです!!

 この世界で!」


 初めて見る、沙貴の必死の呼びかけ。

 いつも冷静沈着な彼が、堰を切ったように懸命に説明するその姿。

 それは、卓也がいずれ見てみたいと思っていた、沙貴の本当の心の姿に思えた。


「それが、迷い込んだ人を助けるということか」


「そうです。

 熱海での夜、ご主人様は、私を“家族の一員”と仰ってくださいましたね」


「ああ、言った」




『そりゃあそうだよ。

 沙貴も、そして澪も、俺にとっては大事な家族だから』


『家族、ですか?』


『そう、家族。

 主人とか奴隷とかじゃなくって、とても大事な家族だ』




 あの熱い夜の思い出が、脳裏に蘇る。

 大きめな赤いトレーナーを一枚羽織っただけの姿で、部屋を訪れた沙貴の可愛らしさ。

 そして、その後の話で零した、彼の真剣な想い。

 卓也の胸中に、熱いものがこみ上げて来る。


「私を、奴隷でなく本当に家族と思ってくださるのなら。

 私の一人立ちを、お認めになって頂けないでしょうか?」


「沙貴……君は、そんなことを」


「はい……ずっと、ずっと……考えていました。

 ご主人様に甘えたいのも、我慢して……ずっと」


「……」


 いつしか沙貴の目には、大粒の涙が溢れていた。

 卓也の目にも、涙がこみ上げる。

 予想外の、しかも唐突過ぎる話。

 それを受け止めるには、あまりにも時間が足りない。


「沙貴……」


 卓也は一歩踏み出し、沙貴の顎を指でくいっと持ち上げる。

 唇に向かって顔を近付けるが――沙貴は、顔を背けた。


 その頬に、一筋の涙が零れる。


「そうか、わかった」


「……」


「沙貴の言う通りだ。

 家族なら、選んだ道を応援してあげないといけない……よね」


「ご、ご主人様?」


「だけど、一つだけ条件がある」


「はい、なんでしょう?」


 涙まみれの顔を向ける沙貴から一歩遠ざかると、卓也は袖で涙を拭い、一言呟いた。


「俺のことを、名前で呼んでくれ」


「名前、でですか?」


「そう。

 だってもう、ご主人様……じゃおかしいだろ?」


「そ、そうですね。

 そうですけど……では、た、卓也様?」


「様、はいらない」


「ええっ?! じゃ、じゃあまさか、澪のように」


「そう。それが条件。

 あとついでに、敬語もなしにしようや」


「ご……」


「さぁ、沙貴」


「――たく、や」


「うん、それでいい」


「……っ!!」


 沙貴は、卓也の胸に飛び込んで、泣いた。

 生まれて初めて、大声を上げて、心の底から泣いた。


 

 



 夜の帳が降り、空が暗くなり始める。


 マンション周辺をかなりの広範囲に渡り捜索したにも関わらず、卓也達はとうとう誰一人として新しい人を見つけることは出来なかった。

 また生活痕らしきものも見つからず、最後の仕事としては非常に残念な結果に終わってしまった。

 だがせめて最後に、と必死で頑張った甲斐があり、身体は見事なまでに疲労困憊状態となった。


「ひぃぃぃ、つ、疲れたぁ~」


「そりゃそうよ! 百軒以上調べたでしょ? 一人で」


「澪、百十二軒よ。

 卓也が調べたのは」


「あ、ああそう。

 ――でもその、すっごく、なんというか、その言い方」


「違和感?」


「うん、違和感」


「お~い、早く帰ろう。

 坂上さん達が待ってる」


「「 は~い♪ 」」


 いつもと少しだけ変わった、夕方の光景。

 だがそれも、今夜限りだ。

 自分の後から駆けて来る二人の男の娘達を見つめ、卓也は涙を堪えた。


 部屋では、坂上親子とかなたが待っており、送別会の準備をしてくれていた。

 壁が発生しているとはいえ、今日一杯ならまだ大丈夫だろうということで、坂上達が色々動いてくれたのだ。

 リビングには色々なケータリングや飲み物が準備されており、更にいつでもごろんと寝転がれるように布団まで敷いてある。

 更に、かなたの荷物と思われるキャリーケースも隅に置かれていた。


 今夜卓也は、澪とかなたを伴い、異世界に旅立つ。

 彼が眠りに入る前に、坂上親子と、沙貴は退出するという段取りだ。


 かなたは、まだよく事情を理解していないのか、純粋にパーティにはしゃいでいる。

 卓也達は手早く入浴を済ませ、着替えをしてリビングに戻る。

 既に坂上は瓶ビールの栓を開けて、卓也を待ち構えていた。


「お疲れ様でした、神代さん!

 さぁ、今夜は徹底的に行きましょう!」


「あ、ありがとうございます~」


「翔さんも! 色々お世話になりましたぁ!」


「あ、俺、酒飲めないんでジュースで」


「お姉ちゃん! かなたもお酌したいー」


「はいはい、かなちゃんは澪お姉ちゃんにジュースを注いであげてね」


「はーい♪」


「ねえ卓也、食事もちゃんと摂ってね。

 どんな世界に飛んじゃうのかわからないんだし」


「め、滅多なこと言うなよ、沙貴ぃ!」


「あれ、ご主人様じゃなくなったんですか?!」


「え~、実は色々ありましてぇ」


 疲労から来るハイテンションなのか、わざわざ見送りに来てくれた皆への恩義なのか。

 卓也は、泣きたい気持ちを必死で堪えながら、坂上達との宴を楽しんだ。


 沙貴の事情を聞いた澪も、笑いながら目に涙を浮かべている。

 無論彼は猛反対したが、彼の決意の固さを知り、引いたのだ。


 皆はスマホで写真を撮ったり、皆で適当な歌を合唱したりと、楽しい時間を過ごす。

 しかしそんな宴も、いよいよ佳境を迎える。

 飲み始めて二時間を過ぎようとする頃、卓也の酔いはとうとうピークに達した。


「あ、あの……さすがにそろそろ。

 すんません、さかがみさぁん……沙貴ぃ」


「ああ、お休みになられますか!

 では神代さん、かなちゃんを、どうかよろしくお願いいたします」


「は、はい……必ず、ご両親に……」


「うえぇぇぇん! おじちゃあん! お兄ちゃあん!!

 やだよぉ、みんな一緒に行こうよぉ! わああああん!!」


 ようやく事情を把握したのか、かなたが大泣きして坂上親子にすがる。

 そんな彼女を優しくなだめながら、坂上は涙を流していた。


「かなちゃん、今までありがとう。

 でもね、やっぱりかなちゃんは、ご両親のところに帰らなきゃダメなんだ。

 わかるね、二人とも、きっとかなちゃんの帰りを待ってる」


「でもぉ……でもぉ」


「おじちゃん達は、かなちゃんの事をずっと忘れないよ。

 かなちゃんがいてくれて、毎日とても楽しかった。

 ありがとう……幸せにね、かなちゃん」


「かなちゃん、さようなら。

 またね、とは言えないけど……パパとママによろしくね」


「お、お兄ちゃん……うえぇ」


「あ、後は僕がなんとかしますね!」


 泣きじゃくるかなたを、澪が抱き締める。

 卓也が寝付いてしまうと、さほど時間を置かずに世界移動が始まってしまうため、澪は焦り始めていた。

 もう卓也の意識はもう殆どなく、猶予もない。

 坂上達や沙貴を巻き込まないためには、早々に退出を促す必要がある。

 澪は、最後の最後でこんなどたばたしてしまう事が、心の底から無念だった。


「沙貴!」


「うん」


「最後に、卓也に……いいの?」


「卓也には、もう充分言ったわ。

 だから最後は、あなたに」


「え?」


 沙貴は、かなたごと澪を抱き締めた。


「ありがとう、澪。

 本当に感謝してる。

 あなたも、私にとって大事な家族よ」


「沙貴……ありがとう。

 そ、そんな事言われたら、ぼ、僕……」


 涙腺が決壊し、遂に澪の頬にも涙が零れる。

 だが沙貴は、澪の耳元に口元を寄せ、小さな声で囁いた。


「いい? 澪。

 これから先、たとえどんな事があっても、ご主人様を――助けてあげてね」


「さ、沙貴?

 どういう意味?」


「これは、私との約束よ。

 私、たとえ澪がどんな風になっても、ご主人様の傍に居るって信じてるから」


「あ、当たり前でしょ!

 僕は、卓也のロイエなんだから」


「ううん、そうじゃないの」


「へ?」


「いつか、きっとわかるわ。この言葉の意味が」


「??」


「卓也とかなちゃんを、どうかよろしく頼むわね」


「もう、行っちゃうの?」


「うん」


「ありがとう――さようなら、沙貴」


「またね、澪」


「沙貴お姉ちゃん、バイバイ」


「うん! ばいばい!」


 卓也の微かな寝息が、背後から聞こえる。

 澪は、玄関へと去っていく沙貴の後ろ姿と、こちらに向かって頭を下げる坂上親子を見つめながら、かなたを抱き締めた。


 宴は、終わった。


「ねえ、澪お姉ちゃん」


「ん、何?」

 

「沙貴お姉ちゃん、またねって」


「うん、言ってたね」


「また、逢えるかな?」


「どうかなあ、わかんない。

 さぁかなちゃん、歯磨きしてお布団に行こうか。

 今夜はお姉ちゃんとおっきなベッドで寝ようね!」


「うん、かなた歯磨きするねー」


 卓也は、どうやら完全に寝付いたようだ。

 であれば、恐らくあと一時間もしないうちに移動が始まるだろう。

 条件が本当に整っていればの話だが。

 澪は、急いでパジャマに着替えると、自分も寝床に就く準備を進めた。





「沙貴さん、本当にいいの?」


 翔が、車の中から呼びかける。

 沙貴は、名残惜しそうに卓也のマンションを見上げていた。


「翔、気が済むまでそっとしといてあげよう」


「……だね」


「それにしても、本当に世界移動なんて出来るのかな?」


「もし失敗したら、もう一回宴会やらないとね」


 そんな雑談を車内でしていると、不意に沙貴が声を上げた。


「坂上さん! あれを!」


「何ですk――って、ええっ?!」


「な、なんだあれ?!」


 沙貴と坂上親子は、マンションを見上げて唖然とした。

 壁や周辺の建物をすり抜けて、卓也の部屋の周囲に気味の悪い光の輪が無数に駆け回り始めたのだ。

 と同時にマンションの一部がぐにゃりと歪んだ様に見え、そこだけ失敗したCG合成のようになってしまう。

 やがて空がサイケな彩りに包まれ、マンション全体がぐるぐると回転しているような錯覚を覚える。


「始まったわ! 世界移動よ!

 成功したんだわ!」


「な、なんだって?! あれが?!」


「か、かなちゃん……どうか、無事にご両親のところに帰っておくれよ」


 坂上が両手を組み、祈り出す。

 それを横目に見た沙貴も、いつしか両手を組み、路面に膝をついた。



 そしてマンションの部屋の中では、かなたをベッドに横たえた姿勢のまま、澪も懸命に祈りを捧げていた。



(どうか……どうか! かなちゃんの住んでいた世界に辿り着けますように!)





 


第四章全30話、これにて完結です。


第三章と合わせ、45話に渡る「誰もいない世界」が舞台の本章は、実は本作で一番最初に書きたかったメインの物語でした。

ですので、なんだかやり遂げた感があります。

反面、いつも以上に長くなってしまい申し訳ありません!

長い間お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。


本作はまだまだ続きますが、第五章は――可能であれば、拙作「美神戦隊アンナセイヴァー」を読んで頂けると二倍美味しくなりますw

(具体的にはINTERMISSION-05辺り)

次回更新はしばらくお時間を頂くことになりますが、何卒お待ち願えれば幸いです。

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