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リフ兄様とのお茶会

エマと一緒に自室から出た俺はリフ兄様がいるであろう南の庭園に向かった。


「ノア様は相変わらず綺麗ですね。」


ゆったり笑いながら俺に話しかけてくる鎧を纏った青年はフレディ将軍。

俺の護衛であり、冒険者でありながら将軍の職を貰った実力者。

将軍は国家騎士団の団長や班長らに与えられる、軍事職では高位の職だ。冒険者でも与えられるがよっぽどの成績を残さない限り将軍職を与えられることなどない。しかし将軍職といえば冒険者て功績を残した実力者という印象が国家騎士団団長らよりも強い。


「ありがとうございます。フレディ将軍もかっこいいですよ。」

「それはそれはありがとうございます。」


爽やかに微笑むフレディ将軍。銀色のチェーンがついた緑色のピアスを片耳だけ付けていて、歩くたびに揺れて輝くためとてもカッコいい。そしてなによりフレディ将軍が爽やかイケメン。剣の実力もとても高く世界最強の冒険者とも言われている。いつかフレディ将軍に権を習いたいと思っている。

それにしても王宮は廊下まで装飾が豪華だ。金を使った細工に立派な額に入った絵画、色とりどりの生き生きとした花が飾られているガラス細工の花瓶に眺められる五つある大きな庭園。


察する通り、ルエディア王国はとても豊かで財政にも余裕がある。そしてルエディア王国は大陸の中で一番力が集中しているだろう。各国の王族が嫁いできているし、貿易や技術も盛んに取り入れている。

魔法技術が進んでいる為、人間とあまり上手く関わることが出来ないとされていた長寿種族で魔法の最先端をいく精霊の使いであるエルフとの関係を好良にし、同盟を結んだ。今や友好国だ。

そして人間ではない種族で人間に似た姿をする種族がエルフの他にもいる。吸血鬼(ヴァンパイア)だ。彼等は人の血液を吸う種族であり、身体能力は人間の身体能力の三倍近くはあるだろう。彼等との関係もルエディア王国は良好だ。


南の庭園に着くと相変わらず自然の美しさに溢れんばかりだった。

ルゥーサァーンの花やアジュールの花、妖精が休む小川などがまた幻想的で、何度来ても見惚れてしまう。

サクサクと新緑の原っぱを進んでいくと、お洒落な白い木のオブジェが見えてきた。細かく設計された複雑な形のオブジェはテーブルやイスが中にあり、お茶会を出来る秘かなパーティー会場だ。


「ノアー!来てくれたんだっ。こっちおいでよ。」


オブジェの中にはもうリフ兄様がいて、俺を目に捉えては手を振ってくれている。


「はい!」


俺は駆け寄ると改めてリフ兄様を見つめた。

五歳年上のリフ兄様は今十歳だ。

人外の美貌を誇るエルフの血を引いているリフ兄様はまた一層綺麗だ。少し伸びた金色の髪に、新緑色の輝かしい瞳。

他の兄様達とは会ったことがないがきっと他の兄様達も顔が整っていることだろう。


「ノア、今日はねナートゥーラ王国で人気のお菓子を持ってきたんだ。白くてサクサクしているお菓子でメレンゲって言うんだよ。」

「メレンゲ!美味しそうですね。俺はフリーギドゥスプラクラ王国のお茶のネージュティを持ってきました。」


エマがお茶とお菓子の用意をしてくれている。それにしてもメレンゲは前世にもあったな。前世と同じ物も少しはあるのかもしれない。


「うわぁ!綺麗な色だね。ノアの瞳に混ざっているアンバー?色?に似てるね。あといい匂い。」

「はい。琥珀色ですよね。このお茶の匂いが俺好きなんですよ。」


リフ兄様は瞳を輝かせながらお茶を見ている。リフ兄様に喜んでもらえてよかった。


「ノア五歳になったよね。おめでとう!固有スキルはもう出た?」


リフ兄様は少し暗い表情を見せた後笑って俺に問うてきた。


固有スキル


ルエディア王国の王族は歴史上全員発生するもので魔法ではない異能や魔法を強力にする能力など、優れたスキルだ。ルエディア王国に保有者が一番多く、ルエディア王国では王族は勿論、五摂家である五大公爵家の者達も殆どが発動する。エマも固有スキルは持っているらしい。平民でもたまに発動する人が出るらしいが、とても少なく異例らしい。

ほかの国の王族も発動しないわけでないがルエディア王国の王族のように全員が発動する訳ではなく、一部の人が発動するらしい。

俺の殆ど会ったことのない父親でルエディア王国現王のカベルウィンド・ヴィルディストは術式解体という固有スキルを持つ。魔法陣、魔法術式を解体する固有スキルで、魔法の無効化を最速で行う手段だ。

俺の兄で第一王子のルイス兄様は神声(ゴッドボイス)、第二王子のルーカス兄様は神眼(ゴッドアイ)という洗脳スキルを持つ。その他の兄様達の固有スキルは把握していないが俺以外全員発動はしているみたいだ。


「まだ出ていません。リフ兄様はどんな固有スキルなんですか?」


興味本位で軽く尋ねた。この言葉がリフ兄様の地雷を踏んでいたなどと知らずに。


「…自然樹っていうスキルで、自然の魔力を操れるんだ。その他に治癒作用がある樹を生み出して操ることができるよ。ただ、俺は魔力操作の才能がなくてね固有スキルも上手く扱えないんだ。」


諦めかけたように話すリフ兄様。だから先程暗い表情を見せたのだろう。


そしてリフ兄様の固有スキル自然樹。

自然の魔力をそのまま操れるのは素晴らしいし、治癒魔法も珍しい。

この世界の人間は本来自然の魔力を体内に取り込みその魔力を操り魔法を編み出す。自然の魔力をそのまま操るのはエルフと精霊と契約して発動する精霊魔法くらいだ。勿論他人の魔力を取り込んだり操ることも不可能。しかし他人の魔力を治癒魔法を介して取り込むことは可能だ。ただ魔力過度吸収体質という体質の人は例外だ。他人よりも魔力吸収が激しい体質のことで動物や人、生物などからも魔力を吸収でき、個人の魔力量の限界よりも多く吸収することが出来てしまうが故に魔力暴走が起きやすい体質だ。上手く扱えば他人の魔力をも操作出来てしまうのだが、その分負担も大きいらしくこの体質の人は短命らしい。


「俺はどんな固有スキルが出るのでしょうかね。」

「ノアは綺麗な白銀の髪に神秘的なグラデーションの瞳を持っているから神々から愛されているんじゃないな。きっと素敵な固有スキルを持ってるよ。俺はエルフだから四歳くらいの時に固有スキルが発動したけど普通の人間は七歳くらいでも普通だから大丈夫だよ。」

「そうなんですね。ありがとうございます。」

「そうだ!こんど五歳のお祝いプレゼントあげるね。楽しみにしてて。」


リフ兄様はいいことを思いついたかのように笑顔を弾かせながら俺にプレゼントをくれると宣言してくれた。初めて南の庭園に来た時もアジュールの花をプレゼントしてくれた。とても楽しみだ。


「はい!楽しみにしています。」


俺も浮かれて弾むように返事した時だった。

大勢の足音と共に複数の人が焦るように走りながら近づいてきた。


「スフアリフィル様の発作が発生しました!しかも、っつ今日のは命に関わるとっ…!」

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