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不幸な少年、転生する。

ふわふわとした感覚がしている

どうしたんだろう、俺は、俺は…

そうだ。父さんに殴られたんだった。鈍い思考の中考える。いつもと違くて痛くなくて、そのあと頭の中が赤くなって、白くなってそして、何もわからなくなった。

痛くなくて、お腹も空かなくて、ふわふわで暖かくて、不思議な空間に浮かんでいるみたい。

ああ、死んだんだな俺。

なぜか、はっきりとわかった。

愛されなくて、必要とされなくて、何がしたいのかわからなくて、このまま死んでいくんだな。

ボーと考えていたら声が聞こえた。


ーごめんさない ごめんなさい


ーすまない


ー幸せを渡すね


ー幸せになって


ーいつでも俺らは見守っているから


ー楽しんでね、異世界を



色々な人の声が聞こえた。どれも美しい声で囁いていたがよく分からなかった。


そしたら次第に別の人の声が聞こえた。


「ノア!なんて可愛らしい。白銀の美しい髪に紫や青や水色、アンバーの混じった瞳。さすが私の子。精霊に愛されているわ。そうね、あなたなら国王にもなれそうだわ。」


はっきりと凛とした美しい澄んだ声が聞こえた。そしたら次第に視界が明るくなっていった。日本語とは違う言葉なのに何故かすんなりと理解できた。


最初に目に入ったのは白銀の髪にアメジストの目を持った美しい女性。微笑みながら俺を見下ろしている。俺はこの人に抱っこされているようだ。そしてザワザワとした雑音。そして茶髪で桃色の目をした人が隣で心配そうに見ている。

そして俺がいる部屋はキラキラとした豪華な部屋だった。


「あぅっ?」


声を出してみたら前の声よりもずっと高い声で、言葉をうまく紡げない。まるで赤ん坊のようだ。

とりあえず抱っこしている女性から降りようと腕を伸ばすと思ったよりも短くて上手く動けなかった。

んん?もしや、

と思いながら鏡を探すと窓に俺の姿が写っていた。

その姿は予想通り、赤ん坊だった。

美しく可愛らしい中性的な顔立ちに、水色がかった白銀の髪。そして紫や青や水色、アンバーが美しいグラデーションを生み出している瞳。

そして洋風で豪華な部屋から察するに俺は、どこかの国の貴族にでも転生してしまったのだろう。


現状を理解すると脳は情報を整理できなかったのか俺は段々と視界が暗くなっていくのを感じた。




***


「おはようございます。ノア様。」


俺はルエディア王国という王国の第八王子に生まれ変わった。俺専用の侍女エマに起こされて俺は目覚めた。そして俺は1歳になった。エマは茶髪で桃色の目を持った可愛らしい女性で五摂家の一つ、コンディルス公爵家の令嬢だ。

五摂家とはこの国、ルエディア王国の王家に次ぐ権力の象徴で、五つの五大公爵家をまとめて指す。

今までずっとエマにお世話をしてもらっていたため、エマのことは大好きだ。優しくて、可愛らしい。まあ、エマ以外の人にはあまり会わないためエマが俺の唯一知っている身内以外の人物みたいになっているが。とりあえず今までの情報を整理しよう。

俺が転生したのはルエディア王国。

ルエディア王国は魔法技術が発展した国で、王族や上位貴族、一握りの人だけが持って生まれる固有スキルが存在する。俺はその国の第八王子になった。ルエディア王国は俺が転生した世界の大陸ではとても大きく、経済力がある発展した国だ。ルエディア王国には各国から留学生が来るレベルの大陸最大の学園や機関がある。

そしてもちろん魔法も存在する。その他に精霊やエルフ、魔獣、竜などが存在した。これらはエマが絵本で説明してくれた。


「ふふノア、おはよう。」


バンッと扉が開く音がした後、凛とした声が響いた。俺が知っていて大好きな人物、ソフィア・フレアルリスだ。

紫がかった長い白銀の髪を蝶の髪飾りで綺麗に結い、紫の瞳を輝かせている神秘的なオーラを纏った美しい女性。シルク生地の光沢のある涼やかな寒色系のドレスを着こなしている。そして俺の母親。

前世の毒親とは違い、俺のことをとてもよく愛してくれる。まだ優しくされたり、愛されたりするのには戸惑いがあり素直に受け入れることができないため、少し拗れた態度をとってしまいそうだが、それでも母は愛してくれると思う。俺も少しずつそれに応えようと思っている。

ちなみに俺の名はノア・ヴィルディストだ。ヴィルディストは父、つまり王族のコグノーメンだ。この世界では苗字や家名をコグノーメン、名前をノーメンと言うらしい。


「おはよっ。」


俺はまだ言葉を上手くハキハキと発することができない。一歳だからな。


「ソフィア様!いらっしゃる前にご連絡を下さいっ!いらっしゃるなら準備致しましたのにっ。」


エマが慌てながら紅茶などを準備する。母は穏やかだが、意志が強く行動力がありとても賢い。微笑みながら丸め込んでいる感じだ。言い換えると少し腹黒である。


「ごめんなさいエマ。ついつい意地悪をしたくて。」


エマの小言を笑いながらかわし、俺が座っているソファーの隣に腰を下ろした。




「ノア。初めて外に出てみない?」

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