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ソフィアのひととき

アージェンティ宮殿

第五妃が王宮に迎え入れられる際、与えられた第五妃ソフィア・フレアルリスの城。

ソフィアの白銀の髪と紫の目を象徴してか、白銀や紫の装飾が多く見られる。その他にも金をモチーフにした繊細な作りの構成をされている。その他にもソフィアの故郷であるフリーギドゥスプラクラ王国別名、精霊王国を称してか精霊が好むとされているルゥーサァーンの花やスピリの花、水晶で作られた花瓶や置物に、色とりどりのステンドグラス。豪華でありながら繊細な透明感のある宮殿として成り立っている。


アージェンティ宮殿の一室。

銀色の修飾が多くされた一番広いこの部屋はソフィアの自室だ。豪華な統一性のあるソファーやテーブル、ベッドに外がよく望める大きめの窓。

その窓に近隣しているテーブルには湯気のたった上品なティーカップと同じ絵柄のティーセットが並んでいた。そしてそのカップを優雅に持ち上げ悠々と飲んでいる女性がいる。長い紫がかった艶やかな白銀の髪を水色の石が埋めこまれた蝶の髪飾りでハーフアップにし、窓の外を眺めながら紅茶を傾ける。かの女性の雰囲気に合う、シルク生地の上品な光沢を出し、透明感のある水色のレースで縁取られたドレスを着こなしている。艶やかな唇は紅茶で濡れて妖艶に輝きながらも清楚感を絶えず醸し出している女性、ソフィア・フレアルリス。


「ノア様の固有スキルが発覚したようです。」


近くに控えていたハーフエルフで黄緑色の長髪を肩に下ろしている緑の目のソフィアの従者、シシリ・フルノスがソフィアに話しかけた。

ソフィアは窓から視線を外しシシリを一瞥するとゆったりと微笑んだ。


「そう。ノアが。どんなスキルか楽しみだけれども固有スキルは生憎、どうでもいいのよ。」

「…」

「ノアはノアだもの。固有スキルなんかでノア個人が変わるわけでは無いわ。ノアという個人を全てではなくても近く理解したいもの。固有スキルという先入観を入れたくは無いわ。」

「そうですか。」


シシリは無表情でありながらも少し柔らかな表情を浮かべた。


「失礼しまーす。」


ドアが豪快に開く音とともに間延びした元気な声が響いた。入ってきたのはシシリとそっくりな美貌を持っている青年のハーフエルフ。シシリと違うのは緑色の短髪に黄緑色の目。シシリが終始無表情なのに対し入ってきた青年は表情豊かだ。彼はシシリの双子の弟、リリノ・フルノス。


「ノア様、ちゃんと無事でしたよー。」

「そう。確認ありがとうリリノ。」

「いえいえー。ソフィア様の命とあればなんでもやりますよー。」

「ふふ、頼もしいわね。」

「…あのソフィア様、お聞きしたいことがあるのですが。」


さっきまで沈黙を貫いていたシシリが言葉を発した。


「何かしら?」

「何故、ソフィア様はノア様が皇太子に成れるなど誤解を生むような発言をしたのですか?」

「何故?まるで私がノアに皇太子になって欲しいと思ってないみたいな言い草ね。」

「貴方様がそのような事を思うわけがないでしょう。」


当然だとシシリはソフィアに断言した。ソフィアは愉快そうに笑いながら事もなく肯定した。


「ええそうね、思ってないわ。ノアを皇太子なんかの肩苦しいものに縛り付けたく無いもの。でも、そうしたら敵対する人物が現れる。」

「…」

「ノア本人が皇太子に成るなど言っていないのに勝手に勘違いして。ノアの本質を知らないで。つまり、逆を言えばそれでもノアの側に居てくれる人はノアの本質を少なくとも理解しようとしてくれる人でしょう?そのような人を欲しいのよ私は。」

「貴方はわざとそのような発言をしたと。」

「ええ。それにノアにはこれくらいの試練は乗り越えて欲しいものね。ノアは賢いから。」

「貴方はノア様が本当にお好きですね。」

「ええ勿論。だから、ね、…」


ソフィアは意味ありげに微笑んだ後紅茶を一口含みまた窓の外を見つめた。

ソフィアの一室では穏やかな時間が従者と二人、流れていた。

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