会社、辞めた
「ざまぁ、みやがれ、あのクソ課長」
夜の町で俺は大声で叫んだ。叫ばずにはいられない、あのクソ課長の顔面に、重っいっきり辞表をたたきつけてやったからだ。
でも、
「明日から、仕事どうしたらいいんだよ。勢いでその場で辞表を書いて仕事を辞めたから、明日からどうしたらいいんだ。」
さっきまでの威勢はどこに行ったのか、気づいたら俺は公園のベンチに座っていた。
地方の大学を卒業して地元の中小企業に入った。
でも、そこが俗に言うブラック企業で休みはないは、給料は低いは、上司は無脳という最悪の三拍子がそろった会社だった。
「あんな会社、漫画の中だけだと思ってたのに‥まさか、現実にあるなんてなぁ」
俺は思わず肩を落としてしまった。
第一まだ辞めるつもりはなかった。次の会社を決めてから辞めようと思ってたけど、あのハリネズミ頭の課長がウザすぎて思わず辞めちまった。
「あのハリネズミ野郎の顔を思い出したらむしゃくしゃしてきた。ああ、もう忘れよ。」
そう言いながら俺はスマホを取り出した。
「とりあえず次の会社を探すか。幸い給料はかなり貯まってる。
おそらく五百万ほどはあるし、気長に探すか。」
かなり意外かもしれないが俺は五百万ほど貯金している。
なぜなら、この五年間、給料を使う機会がないまま銀行で眠っていたからだ。
毎日、会社で寝泊まりしているから光熱費はあまりかからないし、食事もゼリーやパーフェクトブロックっていう、固形の栄養調整食品ばっかり食っていて外食もほとんどしてないから、27歳にしてはかなり貯金をしている方だと思う。
「まぁ、とりあえずビールとつまみを買って久しぶりに家で晩酌しますか。」
そう考えると足取りが少し軽くなった。近くのコンビニでビールとつまみを買い、家に帰った。
「ただいまー」
誰もいない家で言う。親は俺が大学生の時に他界したからそれから一人暮らしだ。
兄弟もいないし、仲のいい親戚もいない。
まあ、仲のいい友達は何人かいるから今度、連絡しようと考えながら、晩酌を始めた。
「やっぱ、ビール、サイコーーーーーーーーー」
俺は久しぶりのビールに感動していた。
「とりあえず、仕事は明日からゆっくり探すか、もう寝よ」
俺はそう言って軽くシャワーを浴びて寝た。