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2.帰還、そして再びの異世界へ

 俺はいつものように目を覚ます。いつもの天井、いつものベッド、いつもの部屋だ。

 目が覚めた俺は呼晶を使い、青龍たちを召喚し直す。いつもの通りの光の柱の後に青龍たちが出現する。


「ありゃ? ご主人の部屋? ていうかご主人がここにいるんだけど。さっきまで私の目の前で寝てたような……」


「戻ってこれた。と言うことは今回の任務は達成と言うことでいいのでしょうか?」


「あぁ、問題ない。チートも貰ったしな」


「チート! チート能力キタコレ! どんなやつ貰ったの!?」


 白虎が俺の言葉に反応して、ガバッと飛びついてくる。目をランランと輝かせ期待に満ちた目で見てくる。


「期待するほどの能力じゃないぞ。次元を渡る扉を開く能力だ。ポータルって言ってたな」


「あー、うん。確かにそれほど期待する能力じゃないね。有用は有用だろうけどさ。でも、なんでそんな能力を? どっか行きたい異世界とかでもあるの?」


「あぁ、ちょっとやり残したことをな……」


 そう言って俺は前島さんやアンジェ王女の顔を思い浮かべる。


「勇人様、やはり……」


 青龍が沈痛な表情を浮かべる。青龍にとっても人死にをだしてしまった後悔ある世界だろうしな。


「なるほどね。なんとなく分かったわ。それはそうとしてその世界に行くまでに時間ある?」


「ん? ちょっとは準備してから行こうとは思ってるが、できるだけ早く行くつもりだ。夏休みも残り少ないしな。今までの異世界転移と違って今回はアドミンの補助は無しだ、時間も経過するし学校が始まる前にケリをつけないと」


「そっかー。ま、私の用は場所は別に選ばないから、向こうに行ってからでも大丈夫か。じゃ、ちゃっちゃと準備しようか。早くしないと夏休み終わっちゃうしね」


「用って何があるんだ?」


 白虎の言う用とやらが気になり質問をする。


「前にちょっとだけ言ったでしょ? ご主人に魔法の講義だよ。ご主人は魔法使いなのに、魔法のことを知らなさすぎる。ここはいっちょ気合い入れて講義してやらないとなんかあった時に遅いからね」


「お、それは助かるな。青龍はそう言うこと全然教えてくれないからな」


「……必要を感じませんでしたので」


「必要だよ、絶対にね。自分が説明下手なのを棚にあげるんじゃないよ青龍。ご主人もして欲しいと思ってるのに、主の意を汲めないなんてダメな従者だねー」


「それ以上言うと戦争ですよ。白虎」


「それ自分も痛いだけじゃん。ま、それはいいか。じゃ、異世界行きの準備と行こうか、ご主人! やっぱ定番は塩だよ塩! 塩売って当座の運転資金を稼ぐ、これだね!」


「あぁ、塩は専売じゃなかったし、今回もいけるはずだ」


「オーケー! それじゃ買い出しに行こうか。お金ある? なかったら奢ろうか?」


「金なら妖退治で得た金があるから問題ない。まぁ、準備といっても大体のものは買い込んであるし、消耗品を補充するぐらいだな」


「じゃあ、スーパー行こうか」


「主人が、最近構ってくれない、辛いです……」


 青龍のそんなか細い声は聞こえないフリをしておいた。

 しかし、なんだろう。なんか忘れてる気がするんだが。



   ※ ※ ※ ※


私たち(陰陽剣)を忘れるとはいい度胸ね勇人。ねぇ、(陰剣)


(本当に呪い殺してやろうかしら。ねぇ、(陽剣)


「いや、本当にすまんかった」


 白虎たちとの買い出しを終え、さて寝ようかと思った頃に、陰陽剣の存在を思い出し、慌ててアイテムボックスから取り出したら、いきなりの罵倒であった。

 いや、忘れてた俺が悪いんだが、装備してたものが勝手にアイテムボックスに入るというのも気づかなくてな。

 それにしても、アイテムボックスに入ったと言うことは、こいつらには魂はないってことでいいんだろうか。どうみても意思を持ってるし魂ぐらい宿っても良さそうなもんなんだが。


「お前らって魂とか宿っていないのか?」


 気になったのでそのまま二振りに聞いてみることにした。


(魂? どうかしら。そもそもからして貴方の言う魂と私の定義する魂が違うものの可能性がある以上、あるとは言えないわね。ねぇ(陰剣)


(武器に魂が宿っていれば面白いとは思うけどね。そうすれば私にも術が使えるのかしら? ねぇ、(陽剣)


 魂の有無に術とか関係あるのか。そういや、あの世界の術とやら結局まともに見ることは出来なかったな。女郎蜘蛛の使ったのは術かどうかよくわからないし、あの世界の人たちの言葉を聞くに、術って護符が必要らしいから術そのものは見たことないと言っていいかもな。

 まぁ、見れたとしても、護符なんて面倒なもの使う術を覚えたいとは思わないが。


(それにしても、貴方の家は不思議なところね。ねぇ、(陰剣)


私たち(陰陽剣)も長く生きてきたけど、みたことのないものばかりよ。ねぇ、(陽剣)


 お前ら、ずっと陰陽剣の間で安置されたままじゃなかったか、とツッコミたかったがなんか負かされるような気がしてやめておいた。


「そりゃ、こことあそこじゃ生きてた時代が違うからな。あの時代が西暦何年かぐらいに相当するのか分からんが、戦国時代と同じなら、およそ400年以上未来の世界だ、ここは」


(未来……、貴方はずっと明日の明日からきた人間だというの? ねぇ、(陰剣)


(それほどの明日でなければ、継承者が現れないなんて……。貴方があそこに来たのは運が良かったのね、私たち(陰陽剣) ねぇ、(陽剣)


「いや、直接繋がってる世界ではないんだが……。まぁ、説明はややこしいからいずれな、いずれ」


(ま、どこに来ようと(陽剣)は貴方とともにあるわ、勇人。せいぜい、私たち(陰陽剣)に見限られないことね。ねぇ、(陰剣)


(その通りよ。私たち(陰陽剣)の使い手にふさわしいと証明し続けなさい。ねぇ、(陽剣)


「あぁ、これからもよろしく頼む」


 しかし、白虎に加え、悪霊剣まで使うことになるとはな。こりゃ、剣技の方も速急に鍛えないといけないな。

 全部平等に扱ってやらないといけないとか、リアルの召喚術師はほんと大変だな。


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