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8.チンピラA・B

 登録が終わると同時に絡んできたチンピラ2名。

 これで頭がモヒカンだったりトゲつきショルダーガードをしてたら完璧だったのだが、そんな事はなく見た目的にはただのチャラ男である。

 前島さんは二人を恐れてるのか、男自体が怖いのか、俺と青龍の影に隠れる。

 俺は嘆息しながら受付嬢に尋ねる。


「冒険者は自己責任──、だったよな?」


「はい、そうなります」


受付嬢も慣れたものなのか、特に動揺することもなく淡々と受け答えをする。


「じゃあ、青龍頼んだ」


「はい」


 俺の言葉を受け、青龍が一歩前に出る。


「お、ねーちゃんが俺らと遊んでくれるってか? こいつは良いね」


「たっぷり楽しませてやるからな」


 もう見てらんないぐらいにチンピラムーブしてるなこいつら。まぁ、青龍の影に隠れてふんぞり返ってる俺が偉そうな事言えないかもしれないが。とりあえず、非殺傷用の魔法なんかなかったかな。脳内検索しておこう。


「失礼いたしますね」


 青龍はにっこりと微笑みながらチンピラAの腕を摑む。


「あ?」


 とチンピラAが言ったのも束の間。チンピラAは大きな音を立てながら、綺麗に一回転してその場に崩れ落ちる。青龍が片手だけで投げ飛ばしたのだ。

 すげーなあれ。怪力でやったのか技術でやったのか。どっちにしてもすごい技だ。


「て、テメェ何しやがる!?」


 チンピラBが青龍に文句を言うが、青龍は涼しい顔だ。


「あら? 遊びたいと言ったのはそちらでは? ですので、遊んで差し上げてるのです。最近やりがいのあり相手がいなくて退屈でしてね。あなた方が私を楽しませてくれると良いのですが」


「ふざけやがって!」


 そう言って、チンピラBはナイフを取り出してきた。

 おいおい、こんなところで刃傷沙汰かよ。とは言え、青龍をそんなナイフでどうこうできるとは思わないが。そう思ってると、青龍は目の前で逆向きでピースサインをする。そこにチンピラBのナイフが迫り──、


「なっ!?」


 青龍がそのピースサインでナイフを受け止めた。

 ウッソだろ、お前。真剣白刃取りなんて両手でもフィクションの産物なのに、人差し指と中指で挟むって。

 チンピラBはナイフを取り返そうとするが、岩にでもめり込んだかのように微動だにしない。


「この程度ですか?」


 チンピラBはナイフを諦めたのか、ナイフから手を離し距離を取る。あれ、そう言えば投げ飛ばしたチンピラAの姿が──、


「キャッ!」


 その声に振り返るとチンピラAが前島さんを捕まえていた。


「く、くそっ、こうなったら……」


「『パラライズ』」


 チンピラAが何か言いかけるが、俺は慌てず騒がず用意していた魔法を唱える。そうすると、チンピラAは蝋人形にように関節が完全に固まり、その格好のまま横に倒れ、地面に衝突した。


「大丈夫か、前島さん」


「あぁ、うん……。て言うか、本当に魔法使いなのね」


 鑑定魔法も翻訳魔法も使ったのに信じられてなかったのか。まぁ、あまり攻撃的な魔法じゃなかったからな。チートスキルの一つと思われても仕方ないか。


「後、びっくりはしたけど、あたしは束縛無効だからあいつに私は捕らえられなかったわよ。でも、一応礼は言っておくわ。ありがとう」


 そういやそうだったな、すっかり忘れてた。

 まぁ、前島さんが大丈夫でも、俺のほうに来る可能性もあったしな。麻痺魔法使って問題ないだろう。持続時間も最強にしたから当分起きないだろう。

 そして、青龍の方を見ると、完全にボロ雑巾と化したチンピラBの前で、パンパンと手を払っていた。


「はぁ、本当に文字通り遊んだだけでしたね。やはり、この程度のチンピラでは満足できませんね」


 て言うか、俺が目を離したのってそんなに時間ないと思うんだが、何をしたらそんな短時間でボコボコにできるのか。


「では、勇人様。依頼を見に行きましょうか」


「ああ、そうだな」


 とりあえず前島さんと一緒に依頼ボードを見に行く。


「なんだ、あの女。素手でディックをのしたぞ……」


「あっちの男は魔法使いか? でも、なんの魔法だ? て言うか、無詠唱じゃなかったか……」


 なんか、周りのひそひそ声が聞こえてくるが、特に興味はない。ただ、一つ気になるのは麻痺魔法とかこっちにはないのかな? 割と便利で使いやすい魔法だと思うんだが。

 まぁ、そもそも魔法体系そのものが違うとは思うが。


 依頼ボードの前に来て、クエスト内容を見る。Fランクのクエストは下水掃除とか、ネズミ退治、引っ越しの手伝いなどの雑用が中心のようだ。

 流石に異世界に来てまで下働きはしたくないので、一つ上のEランクのクエストを見る。そうすると、常時依頼というもので、ゴブリン退治があった。

 常時依頼は先ほど説明を受けたが、常にクエストの達成を受け付けており、特にカウンターで手続きをしなくても大丈夫なやつだ。

 クエスト証明部位はゴブリンの耳ね。これもよくあるパターンだな。


「じゃ、このゴブリン退治を受けようか。場所は……受付で聞くか」


 受付でゴブリンの生息場所を聞くと、俺たちは街を出てその場所まで向かう。

 さぁ、異世界定番のゴブリン退治だ。

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