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4.異世界行きへの準備 2

 俺たちはホームセンターに行き、アウトドアグッズ──、テント、寝袋、アウトドアチェア、マチェット、LEDランタン、携帯コンロと燃料。食器類、調理器具、調味料などアウトドアに必要そうなものを複数セット購入した。

 複数購入したのは主に壊れた時用である。

 これらのアウトドアグッズは向こうで野営するときに必要なので向こうでも売ったりするつもりはない。


 他にもポータブル電源や、ソーラーバッテリー、手廻し発電機など電源供給系の物も複数。

 スマホのカメラ機能とか録音機能は色々と使い道がありそうだしな。スマホの電気が切れないようにして悪いことはないだろう。


 そして、レトルトとかの保存食。向こうについてすぐに人里とは限らないので、人里に着くまでの間の食料だ。これは豪勢に箱買いした。

 あと水な。水。転移した場所に水場がすぐあるとは限らない。魔法で生み出せるが、魔力を消費してしまうので金で解決できるところは金で解決しておきたい。ということで、ミネラルウォーターをこちらも箱で大人買い。

 アイテムボックスにはいくらでも入るから便利だ。


 あとは、異世界で換金出来る何かが欲しいんだが……。


「なぁ、青龍。異世界では何が売れると思う?」


 俺はホームセンターを後にし、ショッピングモールでウィンドウショッピングをしながら、青龍に尋ねる。


「どういう異世界に行くのかわからないのでそれはなんとも。ただ、中世異世界の場合、定番は塩ですね。専売されている恐れもありますが、そうでなければ現代の技術で生成された食塩はかなりの価値があるでしょう」


「うん、やっぱり塩だよな。それか胡椒とか砂糖」


 そう思い、塩、胡椒、砂糖をあるだけ買い込む。ただ、これだと商人相手には売ることは出来るがそれ以外の、例えば門番とか領主に渡す賄賂としては塩はあまりよろしくない。

 もっと即物的で、換金性の高い何かが欲しいんだが。

 青龍にそう言ってみると、青龍はすぐさま答えを返してきた。


「でしたら、パワーストーンはいかがでしょうか?」


「パワーストーン? 宝石じゃなくていいのか?」


「こちらも同じくどのような世界に行くかによって変わりますが、パワーストーンは見た目が綺麗ですからね。知識がなければ宝石に見えるでしょう。

それに地球ではパワーストーン扱いですが、異世界では貴石扱いされてる可能性もあります。原石に近いものからカッティングされた物まで色々揃えるとよろしいかと」


 なるほど、確かにこっちでは」パワーストーンなんて宝石に比べたらゲロ安だが、異世界では逆の可能性もあるのか。パワーストーンなら大量に買っても懐は痛まないし、お得だな。

 丁度、ショッピングモールにパワーストーン屋もあるし、大量に購入するとしよう。



   ※ ※ ※ ※ ※



「後は勇人様の武器ですね。今のところ特訓しているのは刀ですが、日本刀がよろしいですか? それとも槍などの別の武器がよろしいですか? 私としては槍をお勧めします」


「やっぱ、日本刀がいいかな。型も折角覚えたし、あと槍って長物なせいでダンジョンとかであまり振るえないイメージがあるし」


「槍にも色々あるんですけどね。まぁ、勇人様が日本刀がいいとおっしゃるなら日本刀の購入もしましょうか」


 そういう青龍はなぜか少し残念そうだった。槍そ推してたし槍って言って欲しかったのかな? でも、やっぱ日本男児なら日本刀だよな。


「でも、日本刀買うって大丈夫か? 警察の許可とかいらないのか?」


「別に日本刀の購入に警察の許可は要りませんよ。必要なのは銃砲刀剣類登録証で、それは刀に付くものであって所持者につくものではありません」


そうなのか、知らなかった。


「所持にあたっては、購入後、所有者変更届を教育委員会に提出して届け出が完了すれば無事合法的に所持できます」


「きょ、教育委員会? 随分意外なところが管理してるんだな。ていうか、詳しいな青龍。なんでそんなに俗世のことに詳しいんだ?」


「人間の姿で暮らして長いですしね。人間の法もちゃんと守って過ごすために色々と覚えたのですよ。職質を何でもかんでも催眠術でごまかしては効率が悪いですしね」


 使えるんだ、催眠術。そういや白石のやつも使えると言ってたな。俺も覚えられるんだろうが、なんか字面的にあんまり覚えたくない術だな。


「まぁ、でも見るからに未成年である勇人様が購入するのは法的には問題がなくとも、色々と怪しまれる原因になりますので、購入自体は私がいたしますが」


「じゃあ、そこら辺は任せる。あ、複数本頼むな。折れた時用に、あと手入れの道具も」


「心得ておりますよ」


 その後、青龍が買ってきた日本刀をアイテムボックスに収納する。他に、青龍から「私の武器も収納してくださいませんか?」と言われ、槍やら刀やらこんな武器どうやって使うんだ? と言わんばかりの謎武器とかも収納する。銃器類も豊富にあったな。こっちは問答無用で銃刀法違反で捕まるだろうに、どこに保管してたんだこの使い魔は。


 しかし、アイテムボックスの中身を眺めるが結構色々入ったなぁ。今入れた青龍の武器が一番アイテムボックスを圧迫してるが、次に圧迫してるのはパワーストーンだった。画一的に揃ったやつじゃなくて不揃いのが多いから一つに纏まらないんだよな。

 まぁ、圧迫と言っても容量は無限だからそれは見た目だけの問題に過ぎないが。ソート機能とかも充実してるから管理はさほど面倒ではない。


「では、勇人様。道具の準備は整いましたので、訓練の方に参りましょうか」


「うえぇ~。やっぱりやらなきゃダメか?」


「当然です。檮杌(とうこつ)は倒したので時間の余裕はたっぷりあります。まずはランニングで基礎体力をつけるところから始めましょうか」


 そこから、青龍の地獄のブートキャンプは開始されたのだった。

 そっから先のことは思い出したくもない。基礎体力を鍛えるランニングから始まり、筋力トレーニング、効率の良い体づくりのための徹底管理された食事メニュー。稽古という名の木刀によるリンチ。それがおよそ1ヶ月。

 

 初期は筋肉痛と木刀による打撲の痛さとの戦いだった。正直白石あたりに頼んで回復魔法で治してもらおうかと思ったが、「回復魔法で治療しては成長ができません。痛いでしょうが我慢してください」などと言われ、回復魔法を使うことは禁止された。


 中期ぐらいは筋肉痛も少なくなり、打撲の痛さだけが残っていた。こっちは治療してもいいだろうと思うが、こっちはこっちで「痛みに慣れてください」とのたまう始末。流石に骨折した時は治してもらったが。

 相変わらず、一切太刀筋の見えない青龍の打ち込みに耐えながら、習った型で打ち込む毎日だった。というか、青龍の剣は早過ぎて避ける練習にならないんですが。打たれ強さだけは上がるけど。


 後期は木刀でのリンチは相変わらず続いたが、並行してまだ習得していない古代魔法の習得に主眼を置いて特訓がされた。

 戦闘以外のいわゆる生活魔法やら、便利魔法、支援魔法、回復魔法とかその他もろもろの魔法である。まぁ、これらの習得は相変わらず一瞬だったのだが。

 なぜ、これが剣技の方に活かされないのか。


 そして、ついでとばかりに青龍は嫌そうに、本当に嫌そうに檮杌(とうこつ)の召喚の仕方も教えてくれた。

 どうも召喚術とやらには3通りあるらしく、発動召喚、通常召喚、憑依召喚の3通りの召喚の仕方を教えてくれた。

 発動召喚は召喚獣が持つ技だけを召喚する方法らしく、檮杌(とうこつ)で使った場合、炎のブレスで辺りをなぎ払う魔法となっていた。

 通常召喚は、青龍みたいに普通に現世に召喚して使役する方法だ。まぁ、青龍と違って戦闘以外ではあまり外に出たがらないみたいだし、使うのは戦闘で手が足りない時ぐらいだろう。

 憑依召喚は檮杌(とうこつ)の力を俺にインストールする事ができるらしく、憑依召喚を使うと怪力と俊足を得られた。100メートル5秒に、素手で木を引っこ抜くとかもう人間じゃないよね。

 どれもそれぞれ使い出があるが、結局一番使いそうなのは通常召喚だろうなという感じはある。やっぱ人手が増えるのが一番強い。


 そんなこんなで、1ヶ月の特訓が終了したわけだが、青龍からはついぞ合格の判定は出なかった。

 そりゃ、打ち込みも回避もほとんどできてないから合格なんてするわけはないのだが、俺だって少しは頑張ったんだから及第点ぐらいは欲しかった。


「及第点にすら届いていませんが…・・・。正直地球でこれ以上の成長は望めそうにありませんね。後は実地で実戦を積むしかありませんか」


 青龍は不満なようだが、アドミンとの約束があるからこれ以上時間をかけることはできない。


 ちなみに、この1ヶ月の間の白石たちの動向は驚くほど静かだった。俺が人間の限界超えた魔法使えることは向こうに伝わってるはずだし、何よりこっちには四神の青龍がいるというのにだ。

 白石が報告をあげなかったのかと思うが、どうもあいつらの様子を見る限りそんな感じではなさそうだった。

 青葉が約束したことを律儀に守っているのか、はたまた何か他に理由があるのか。ちなみに、妖退治のバイトの話も来なくなった。

 全くの静寂状態でちょっと不気味に感じる。まぁ、帰ってきたらそこらへん青葉に問い詰めるとするか。



「じゃ、後は笛吹いて寝るだけだな。結局1ヶ月丸々使っちまったし、早めに行かないと」


「勇人様……。姉君や冬美様に別れを告げなくていいのですか?」


「あぁ、言ってなかったか。異世界に行ってる間はこっち側はほとんど時間が経過しないんだと。だから、俺が寝て起きたらもうこっちの世界に戻ってるってわけだ」


「一体どういう仕組みですか、それは……。異世界行き、謎が多過ぎですね」


「そんなのは今更だろ。それじゃ行くぞ」


 ピィーーーーー!!

 一際強く笛を吹く。よかったちゃんと音鳴るんだな。犬笛みたいに人間には聞こえない音が出るのかと思った。


「じゃ寝る。おやすみ青龍。向こうで会おう」


「はい、おやすみなさいませ、勇人様」


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