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8.エスパー達の情報

「ジャンマリア・ロッコ。ESPレベルランク:A。通称ワイヤード・ジャン。不可視のワイヤーと念動力を駆使する凄腕のエスパー。その性質から暗殺業を生業としており、闇の世界では有名なエスパー。金にがめついことで知られ、報酬を値切ったことは一度としてないという。普通の経歴だねぇ」


 それぞれに案内された部屋にずっと籠るのもなんなので、俺の部屋に全員集合して、ローゼンさんから渡された総督府に雇われてるエスパー情報に目を通してる俺たちであった。


「こっちなんてどうです? ヨアヒム・オッペンハイマー。ESPレベルランク:C。通称光速のヨアヒム。テレポートを極めたテレポート特化のエスパー。短距離、長距離どちらも思うままで、戦場ではその変幻自在の動きから光速の異名をとる。テレポート以外のESPは得意ではないため、ESPレベルランクは低いが、テレポーターとしての実力は確か。基本的にはその能力を活かしてポーターとしての仕事を請け負うことが多いが、テレポート能力を活かし護衛を請け負うこともある。これは厄介な相手と見るべきですよ」


「あー、確かにそいつは最優先で潰さないといけない相手だな。都督を連れてどっかにテレポートなんてしようものなら、目も当てられん」


「一度でも都督に魔法的なマーキングが出来れば後を追うことは出来るんだけど、私らは都督のいるところまでは行かないからねぇ」


「この際、あたしらで都督ぶっ倒したほうが早い気がしてきたわ」


 青龍が読み上げたエスパー情報に俺たちでそれぞれ感想を述べる。おい、最後桜、お前だんだん思考が脳筋になってきてないか? 異世界でスレたか?

 まぁ、それ言うと死体とかグロとかに反応しない俺の方がスレてるとは思うのだが。


「あ、こっちは純粋に戦力的に厄介ってやついたわ。アーミン・ブランケンハイム。ESPレベルランク:S。通称最強のサイキッカー。人類でも類を見ない、ESPレベルランク:Sを誇る才女。念動力、テレポート、スキャニング等、全てのESP、PKにおいて高い才能を誇り、彼女の貼るサイコシールドを破ることのできたものはいないという。通称の通りまさに最強の名をほしいままにしている。だが、恐ろしく気分屋で自分が気に入った依頼しか請け負うことはなく、彼女を雇えた依頼主はラッキーであろう。俗説であるが、彼女は未来予知の力を持っており、それで依頼を決めているという話がある。……なんでこんなすごい人が辺境惑星の都督の護衛なんかしてるんだろ」


 桜がエスパーの情報を読み上げながら、疑問を呈す。


「やっぱり、その情報どおり未来予知の力持ってるんじゃないか? 俺たちが来るってわかってるとか」


「いやいや、あたし達が来るって分かってるならこんな護衛の仕事なんて絶対受けないでしょうよ。負けが確定してるようなもんでしょうに」


「いや、分からんぞ。強者と戦いたいという欲求を持ってる人間かもしれんし、俺たちと戦うことで何か得られることがあるのかもしれん。それにこいつらは所詮ただの雇われだ、俺たちがこいつらを殺す理由はない、いざとなればわからんが基本的には不殺の方針だ、予知でそれが分かってるのかもな」


「不殺かぁ。でも、いざとなったら殺してもいいんだよね? あ、大丈夫、殺す場合はあたしがやるから。勇人の手を煩わせることはないから」


 そう言ってニッコリ微笑む桜に俺は怖気が走る感じがした。こいつ前も似たようなこと言ってたけど、大丈夫かこの子? なんで嬉々として殺そうとか言ってくるの? ちょっと怖いんですけど。


「あー……、いざそういう時になってもやる時は俺がやるさ。幸いと言っていいのかわからんが、殺人童貞ではもうないからな。お前の手を煩わせることはないってのはこっち側の台詞だ」


「うんうん、勇人はやっぱりそう言ってくれるよね。ごめんね、改めてちょっと確認したくて」


 こっちを試したのか。なんか相手方の愛を確かめるヤンデレっぽさを桜から感じるのだが、気のせいだよな……?


「しかし、この3名以外は特筆して脅威になるエスパーはいなさそうですね」


「だねー、というかこいつら以外だといくら指向性があるって言ってもESPジャマーで自滅するんじゃないかって思うぐらいESPレベル低いし」


 青龍と白虎はもう全部の資料に目を通したのか、資料を脇に退けるとそう言い放つ。


「お前ら見るの早いな。ま、とりあえず最優先撃破目標はヨアヒムで、次点がアーミンってとこか。ジャンマリアとか言うやつは、まぁ喧嘩挑んできたら倒すと言う方向性で」


「異議なし」

「ですね」

「了解~」


 エスパー達に対する方針も決まったところで解散しようと思ったのだが、その前に少し気になることがあって発言をする。


「ところで、ESPとPKってどう違うんだ? アーミンのデータにはPKって書かれてたけど、他には書かれてなかったから気になってさ」


「この世界でも同じ定義かどうかはわからないってのを一応前提としてだね、ESPってのは超感覚。通常の感覚器による知覚を超えた知覚のことだよ。つまるところ五感を越えた超常の現象を指す言葉だね。透視とか読心とかが分かりやすくESPだね。対してPK、こっちはわかりやすい。サイキックの略語、つまるところ念動力だ。ジャンマリアの項目でさらっと念動力とだけ書かれてるけどそれはつまるところPKってことさ。もっとつっこむと、人間の心理的作用を物質に働きかける力のことだね。

ただ、この定義も当てはまるかどうかは怪しいけどね。だって、PSIランクじゃなくて、ESPランクって資料には書いてるし。同じ定義かどうかは怪しいよ」


 こう言う時頼りになる解説役の白虎さん。まぁ、サブカルにも通じてるからこういう解説はわけないのだろう。それよりまた新語が出てきたのだが。


「PSIってなんだ?」


「ESPとPK、二つ合わせてPSIって呼ぶのさ。だから、この資料に載ってるべきはESPランクじゃなくて、PSIランクって書くべきなのはわかるだろう?」


「まぁ、それは確かに」


「ま、今のは参考程度に聞いておいてよ。じゃ、決行日まで暇なんだしなんか遊ぼうよ。大富豪は飽きたから別のやつでね」


 そう言いながら、俺に遊び道具を催促してくる白虎。

 こいつオタクなんだけど割と活動的なんだよなー、一人で本読むとかよりみんなで楽しむのを優先するというか。

 まぁ、オタクがオタク全部陰キャというわけでもないだろうが。


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