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6.宇宙船購入

「ほらよ、これがカタログだ。そして、こいつで選んだパーツを入力しろ。全部できたら声をかけろ」


 ローゼンさんの紹介で闇商人のところに向かうと、この電子機器全盛の時代になぜか紙のカタログを渡され、タブレットにそれを入力しろと言われた。


「なぜ、紙のカタログ……?」


 思わず声を出してしまった俺は悪くないと思う。


「端末上のカタログでは、何かあった時に処分しにくいからな。紙のカタログなら燃やして仕舞いだ」


 端末上のカタログの方が処分が楽なのでは? と思ったが、俺では知らない何がしかの事情があるのだろうと思ってツッコむことはしなかった。


「ご主人見せて見せてー。ふむふむ。まず質問なんだけど武器に関してのライセンスは無視できるって考えていいのかな?」


「その分料金はいただくがな」


「オーケーオーケー。金ならあるんだよ。それなら遠慮なく選ばせて貰うねー」


「おい、お前ばっかり選ぶな。俺にも選ばせろ」


「いいよー、一緒に選ぼう」


「男ってこういうの好きよねー。いや、白虎ちゃんは女の子だけど」


 ノリノリの俺たち二人に対して桜は冷めた様子だ。男のロマンが分からんかなー。そもそも、白虎は無性だが。

 青龍に関しては特に興味もないのか、俺のそばに佇んているだけだ。お前も乗る船なんだから、お前も選んでいいのよ? とは思うが、青龍に聞いたところで「勇人様の思うままに」とか言いそうなので、聞くことはしない。


「じゃ、まずはベースとなる機体だね。流石に辺境だけあって駆逐艦以上のレベルの船は売ってないか。フリゲートが最大だね」


「ところで気になってたんだが、フリゲートとかコルベットってどんな船なんだ?」


「一応、大きさ的には、駆逐艦>フリゲート>コルベット、って感じだね。けど、船によっちゃぁ、駆逐艦より大きいフリゲートとかもあったりして安定しないね。まぁ、大体そんなもんって思えばいいよ」


 嬉々として解説を始める白虎。やっぱ、白虎って話好きかつ解説好きだよな。青龍があんまり話好きでもないことから、際立って感じる。


「一応、輸送艦とかも作れるみたいだけど、やっぱ戦闘艦の方が良いでしょ? だから、輸送艦は選択肢には入れてないよ。取り敢えず、艦種はフリゲート。次はエンジンだ」


 そう言って、エンジンのページを開く白虎だが、俺にはそこに載ってるエンジンの違いは全然分からなかった。


「ま、ここは一番性能の良いエンジンでいいよね。じゃ、タブレットの方に入力っと」


 しかし、白虎は一目見ただけで把握したのかパッパとエンジンを選ぶと注文用タブレットに入力する。


「じゃ次、リアクターね。言わば、エネルギーを生み出すための装置だよ。核融合炉、縮退炉、対消滅炉。色々あるけどどうする?」


「なんか、どれも危なそうなんだが」


「一番安定してるのは核融合炉だけど、出力が小さい。出力は大きいけど安定性がないのが、対消滅炉。それの中間が縮退炉って感じかな」


「じゃあ、縮退炉で行こうか」


「オッケー。ちなみに縮退炉ってブラックホールエンジンとも呼ばれたりしてて、割と危険な代物なんだけど、良いよね!」


「ちょ、おい!」


「大丈夫、大丈夫! これぐらい発展した世界ならちゃんと制御できてるはずだから」


「はずってなんだよ」


「取り敢えず、リアクターは縮退炉で決定っと」


 俺の不安をよそに、白虎はテキパキとパーツをタブレットに入力する。


「じゃ、次は──」


 そんな感じで次々と宇宙船に搭載するパーツを決めていく。基本的には最大性能のものをどんどん搭載していったわけだが、一番難物だったのが、船に搭載する武器だった。武器のライセンスに関しては闇ライセンスでどうにかなったが、武器の種類がひたすらに多く、選ぶのに難儀した。

 パルスレーザー、ボルトリピーター、イオンブラスター、プラズマキャノン、ビームエミッター、レールガン、フラックガン、ミサイル、ボムランチャー、etc.

 どれもこれも一長一短があり、白虎自身のこだわりや搭載できる武器数に限りがあったりとなかなか選ぶのに時間がかかってしまった。

 最終的には、パルスレーザー2門、イオンブラスター1門、ミサイル1門、レールガン1門といった武装となった。

 あまり破壊力のある編成ではないが、いろんな状況に対応できるようにした結果だ。まぁ、そんだけ対応したところで誰と戦うつもりなんだって言われると困ってしまうが。


「こんな感じかな。それじゃこの編成でお願いね」


 白虎は必要な事項を全て入力すると、闇商人にタブレットを渡す。


「しめて1億とんで30万クレジットだ」


 闇商人はしばらくタブレットを操作したのち、こちらにそう声をかけてきた。


「それはライセンスも含めて?」


「そうだ」


「オッケー、じゃ口座から引き落としでいいね。引き渡しはいつ?」


「24時間もあれば引き渡しは可能だ。場所はトリノ宇宙港の三番ドックに泊めておく」


「24時間か、早いねー。あ、袖の下とかはいる? 必要なら払うよ」


 白虎がそういうと、闇商人はムッとした表情をする。


「それも含めての値段だ。領収書に乗らない金の取引は面倒の元だ、ローゼンの紹介だから今の発言は聞かなかったことにする」


「おっと、そいつは失礼」


 どうも、闇商人の矜持を傷つけたようで白虎が謝罪をする。闇だからこそそういう取引は誠実にってことかな。


「さて、これで宇宙船を買うという目的は達成したね。次はどうする?」


 闇商人のところを後にし、明けの明星のアジトに向かう道すがらそう切り出す白虎。


「いや、そもそもからして宇宙船を買うって目的の方が余録だからな? 本当の目的は主人公を探し出してこの世界の破滅の運命を変えることだ」


「分かってるよ。で、主人公だけど多分あのローゼンさんだろうね」


「まだ、その判断は早いと思うが……」


「でも、そう考えると色々楽だよね。しかし、今度はレジスタンスの手伝いかー。暴力で解決できそうな事で何よりだよ」


「暴力て……」


「暴力はいいよ、ご主人。どんな相手であっても等しく使える解決手段だ。ま、解決するのはその一時だけで長い目で見たらなんの解決にもなってないなんてのもザラだけどね」


「だったらダメじゃねーか。何が暴力はいい、だ」


「そこは言葉の綾ってことで」


「どうでも良いけど、早くアジトに戻らない? ローゼンさんの手伝いもしないといけないし」


 俺と白虎でそんな軽口を叩き合っていると、横合いから桜が声をかける。


「そうだな。一応聞くけど道覚えてるよな?」


 俺がそう問うと、青龍と白虎がうなずく。うん、やっぱりこう言うのは二人に任せておくと安心だな。


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