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5.尋問

「俺たちが何者かってことか?」


 取り敢えず、ローゼンに聞かれる前に俺から話しかけることにする。

 しかし、こうは言ってはみたものの、俺たちが何者かってのはどう説明すればいいんだろうな? 異世界転移して来ましたーはできれば使いたくない手ではある。ポストアポカリプス世界では聞かれたところで問題ないのですぐにバラしたが、ここまで科学が発展してる世界なら異世界の存在を認知している可能性もある。その可能性がある以上、異世界出身者であることをバラすのはリスクが高い。


「男一人に、女三人。うちその一人はどうみても男に付き従ってる従者ときた。様子を見るに男がリーダーの四人パーティー。ブラスターも所持してなく、持ってる武器は時代錯誤な槍や剣。どっかの映画の撮影してる芸能人が紛れ込んだのかと思ったぐらいさ」


 ブラスターというのはおそらく、あの宇宙連邦の奴らが持っていた銃のことだろう。実弾じゃなく、レーザーを発射する機構の銃だ。話ぶりからするに、この宇宙時代の連中の標準装備といった感じか。


「あぁ言う品のない武器は性に合わないんでね」


 ブラスターがどれほど普及してるのかは知らないが、まれにこう言う変人が存在していても不思議はないだろうと、アタリをつけてそう返す。しかしそうか、あれが宇宙時代の標準装備ということなら、奴らからブラスターを回収しておけばよかったな。まぁ、そう考えたところで後の祭りだが。


「あぁ、あんたら復古主義者なのか、それならブラスターを持ってないのも頷ける」


 復古主義者がなんなのかわからないが、うまく向こうを納得させられたようである。こう言う時は度胸とハッタリが肝要よ。


「しかし、復古主義者でエスパーとは珍しいね。そうなるとチップ埋め込みじゃなくて、生まれつきのエスパーってことかい。天然のエスパーなんて今時珍しい」


「…………」


 それに関して、なんと答えればいいのかわからなかった俺は沈黙を貫いた。

 というかエスパーじゃないって言ったのに完全に信じられてないなこれ。

 しかし、チップ埋め込みかー。エスパーは作れる存在なんだなこの世界では。でも、天然のエスパーがいると言うことは、俺が超能力をラーニングすることは可能だろう。まぁ、可能であると言うだけでESPジャマーのあるこの世界においてはデメリットでしかないのでラーニングする気はないが。


「じゃ、次。あそこにいた理由はなんだい? あぁ、もちろん言いたくないなら言わなくてもいいよ。ただ、あたいが気になるのは、あんたらが急にあそこに出現したように思えてね。おそらく大規模テレポートを使って来たんだろうけど、その理由を一応知っておきたくてね」


「…………」


 うーん、これに関してはどう答えるべきか。どうも、いきなり現れたってことは把握されているようで迂闊なことは言えない。手段に関しては向こうが勝手に勘違いしてくれているようだが、その目的までは誤魔化せない。さて、どう説明したものか──、


「私らは宇宙船を買いに来たんだよ。宇宙港までワープするつもりが座標設定ミスってあそこに来たってわけ」


 俺が悩んでいると、後ろから白虎が助け舟を出してくれた。


「宇宙船? そんなのこんな辺境惑星じゃなくて、もっとでかい惑星の方がいい船売ってるだろうに」


「いやー、諸事情あって辺境じゃなくちゃダメでね。ほら、ライセンスの問題とかね」


「なるほどね、闇船が欲しいって訳か。確かに武装のライセンスなしに船を買おうと思ったら、こう言う場所は穴場だね」


 どうも、白虎は事前に色々調べていたらしく、最もらしいセリフを並び立ててこの場を誤魔化していた。いつ調べたんだと思わなくもないが、こいつらだと並列思考とか余裕だから、ネットショッピングしながら、大富豪しながら、色々調べてたんだろう。

 取り敢えず、宇宙船云々の細かいことは後で白虎に聞き直すとしよう。


「なるほど、よくわかったよ。だったら、今からでも宇宙港に行くかい? 闇船ならあたいも多少ツテがある」


「マジ!? それならすごい助かるなぁ。あ、予算は50億クレジットぐらいあるよ。それで、一番いいのを頼む」


 100億じゃなかったっけ? と思ったが初手から全額提示するのは素人のすることか。


「あ、あんたら見た目に反して裕福なんだな……。50億もあれば空母が買えるよ……」


 ローゼンが引き攣った顔で、汗を垂らしながらそう答える。稼いだ額の半額でそこまで買えるのか、ちょっと玄武さん稼ぎすぎじゃないですかねぇ?


「んー、空母とか駆逐艦とかそう言うデカいのはいらないんだよね。かといって戦闘機は小さすぎるからフリゲートかコルベットあたりで……」


「パーツを厳選しまくって、闇ライセンスを買ったとしても大量にお釣りがくるよ……。あんたら一体何者なんだ? 本当にただ宇宙船を買いに来ただけか?」


 白虎が提示した金額が法外過ぎるためか、疑惑の眼差しを持たれてしまう。が、ローゼンは軽く首を振ると諦めの表情をこちらに向ける。


「まぁいいや。どうも詮索してもいいことはなさそうだしね。あんたらは闇船を買いにきたただのセレブ。それでいい」


 そう無理矢理自分を納得させるローゼン。まぁ、詮索してくれないと言うのならこちらとしてもありがたい。


「じゃ、まずはあんたらの用事を済ませようかね。こちらはこちらで準備することがあるからね。その間、あんたらは宇宙船購入に行くといいさ」


「ありがたい。それじゃそういうことで」


 そう言って、俺たちは連れ立って宇宙港へと向かった。


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