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14.中央塔を目指して

「浄化装置か。確かにそれはありえるかもね。人間生きていく上で水は必須だ。地下シェルターだったら、水と食料の自活手段は確保していて当然だ」


 白虎が俺の推測に同意をする。だよな、これで浄水装置じゃなかったらなんだって言うんだ。


「だ、だったらさ! これを持って帰ればクリーチャーの発生しない綺麗な水を作れるんじゃ……」


「そりゃ、この浮島にクリーチャーが発生していないことからしてクリーチャーの発生原因も浄化は出来るだろうけどさ。これで雨や海を浄化するのは不可能じゃねーかな。流石に処理能力の限界を超えるだろ」


「それもそっか……」


 桜の提案を俺が一蹴するが、桜も理由には納得したのか提案を引っ込める。

 しかし、この物自体はかなりいいものだ。どうも、ボルトでは水を作ること自体がかなりの難物らしいから、これがあれば雨を浄化することもできるだろう。海が近ければ海から海水を引っ張ってきて真水を作ることもできる。

 これをもって帰れば、少なくともソルテアボルトの延命にはつながる。


「取り敢えず、持って帰るだけ持って帰ったらいいんじゃないかな? 物自体はいいものだし、安定して水が得られるってだけでも儲けものでしょ」


「それもそうだな。じゃ、『アイテムボックス』」


 アイテムボックスを展開すると、浄化装置を収納する。今までそこにあったものが忽然と消えるのはいつ見ても不思議なものだ。

 パイプと水路を残して、浄化装置が消えさる。


「ところで、この水路ってどこに繋がってるのかな?」


 浄化装置を収納したところで、桜がそんな提案をする。普通に考えたら外に捨ててるんだと思うが、確かに気になるな。


「ちょっと辿ってみるか」


 これ以上このシェルターで見つけれるようなものはないので、全員で水路を辿ることにする。

 そういや、さっきの浄化装置に繋がってたパイプから水が垂れ流し状態だが、大丈夫だろうか? まぁ、もう完全に無人の浮島だから気にすることはないのかもしれないが。


 全員で水路を辿ると、途中で行き止まりにぶち当たった。水路自体は壁の中に続いており、中を覗き込むと外の明かりが見えるので、俺の予想通り外に捨てているのだろう。


「外に捨ててるだけっぽいな。というか、これだとこの下に湖とかできてるんじゃねーか?」


「いや、ご主人。浮島は移動してるからそれはないっしょ。せいぜい下では局地的な雨が降ってる程度じゃないかな?」


「そういやそうか」


 そうだった。浮島は移動しているのを忘れていた。それだと水を撒いてるだけになるか。


「で、どうする? もうちょっと浮島を探索するか? 今んとこ礼拝堂の地下しか見てないけど、まだまだ見るところはあるだろ。他に探索するか?」


「んー、これ以上は別にいいかなって。少なくとも、この浮島の住人が全滅してるのはほぼ確実だし、いいものは手に入ったし」


 俺がそう提案すると、白虎が返事を返す。


「なんで全滅してるのが確実なんだ?」


「ゴーストの台詞とか、地下シェルターの状況を考えて、かな。鍵がかかってたとはいえ、強引に開けることも可能なちゃちな作りだったし、それがされてないってことは浮島にいた住人全員地下シェルターに避難したってことだ。で、そこでエコボックスも浄化装置も健在ってことは、やっぱり地上には誰も残ってなくて、全員死んだとみるのが妥当ってことさ」


「でも、他に何かあったり……」


「まぁ、あるかも知れないけど、これ以上のものはなさそうでねぇ。まぁ、決めるのはご主人だ。どうするかはご主人が決めてよ。ご主人の決定がこの世界を救うことになるんだからね」


「いきなり、プレッシャーかけるのはやめろ」


 白虎の提案に軽く文句を言うが、さてどうするか。

 白虎のいう通り、今回は浄化装置が見つかったで満足するのも手ではある。ただ、ソルテアボルトを旅立ってからまだそんなに経ってないので、探索する時間自体はまだあると言ったところか。


「もう少し探索するかな。幸いまだ時間はあるだろうし、浄化装置だけでは決定打にかける。もう少しクリティカルなやつが欲しい」


「オッケー。じゃ、取り敢えずはこの陰気な場所から脱出しようとするかね」


 白虎の言葉を受け、全員で地下シェルターから脱出する。ゴーストも粗方退治したので、何事もなく礼拝堂にまで戻ってこれた。

 礼拝堂を出ると、浮島の他の建物に向かうことにする。とはいえ、建物もかなりの数があるから、全部探すのは骨が折れそうである。


「取り敢えず、あの中央のでかい塔を目指すかな」


 浮島に来てから割と目立ってた、大きな塔を目指すことにする。


「むしろ、なんで最初にそこを目指さなかったって話だけどね」


「うるせーな、近くに大きめの建物があったからそっちを先に探索しただけだよ。結果的にはよかっただろ」


「まーね。本当ご主人の行動が良い方向に刺さりまくってるよね。怖いぐらいに」


 アドミンの加護かね。まぁ、俺の思う通りに行動するのがいい方向に向かう世界ってことだったから、ある意味当然といえば当然なのかもしれんが。


「しかし、それだとすると、勇者召喚の世界で盗賊に襲われたのはなんだったのかって話だよな。俺別に自分の意に反することをしていたつもりはなかったんだが」


「あの時も、私はなぜか気配探知がうまく行えませんでした。ゆえに、後手でミサイルプロテクションを使わざるを得ませんでした。確かにあのシーンは謎に包まれてますね」


「誰か妨害でもしたんかね……。ま、わからんこと考えてもしゃあない。今は中央塔を目指そう」


「ところで、千春。さっきから全く喋ってないけど、なんかあった?」


 俺と青龍が話してるところで、白虎が後ろにいる千春に対して話しかける。

 そういや、さっきから黙ったままだな。まぁ、単に話しかけるタイミングがないだけかも知れんが。


「いや、ちょっと考えてたんすけど、あの浄化装置、俺がコピーして増やせば割と水問題は解決するんじゃないかなって思ったんすけど……」


「でも、なんか奇跡の力が不足してますみたいなこと言われてなかったっけ?」


「ええ、だからマザーかあたりに奇跡の力とやらを補充してもらってそれを増やせばいいんじゃないかなって。どうすかね、これ?」


「んー、やってみなきゃわかんないけど、いけそうな感じはあるよね。それにしても、エコボックスとやらは奇跡の力必要なさそうなのに、浄化装置にはいるって妙だよね。科学の力じゃなくて、奇跡の力で浄化してるってことなのかな?」


「エコボックスにもいるのかも知れないぞ? まだ補充タイミングじゃなかったってだけで」


 そんな話をしながら、中央塔を目指す俺たち。途中やはり警備用と思しきゴーレムに遭遇するが、なんということはなく撃破し先に進む。

 そして、何事もなく俺たちは中央塔にたどり着いたのだ。


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