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11.浮島探索

「せいっ!」


 目の前のゴーレムに対して陽剣を一閃。相変わらず手応えもなんもなくサクッ切れるゴーレム。うーん、非生物特攻強い。やっぱ魔法生物にはよく効くな。

 俺たちが浮島の探索を開始すると、まず真っ先に出会ったのが浮島を守るゴーレムだった。

 ポストアポカリプスな世界なのに、こういうファンタジーな存在もいるんだなと思ったが、ここはただのポストアポカリプス世界じゃなくて、ファンタジー世界が崩壊した世界なんだろうな。

 それにしては銃があったが、まぁ銃があるファンタジー世界もあるからそこまで不思議ではないか。


「陽剣強いねー。ゴーレムも鈍重だし、ご主人の剣術を磨くいい機会だね」


「ほぼ一撃ばかりではあまり剣術は磨かれないと思いますが。やはりもう少し練習メニューを増やす必要がありますか」


 白虎の言葉に青龍が意見を述べるが、サラッと怖いことを言われたな。これ以上練習メニューが増やされるのか。ていうか、俺の能力だと意識して剣技を見ればコピー出来るはずなんだから、お前がもう少し遅く剣を振ってくれればそれでコピー出来るはず。やっぱ、俺が青龍の剣技をコピーできないのは、見えないからだよな。見えないものは、オールラーニングでもどう足掻いても無理ってことだ。


「それにしても、ゴーレムばっかで生きてる人は一人もいないわよね。やっぱマザーが言ってたみたいに、浮島で難を逃れた人は地上に降りたのかしら?」


「でも、なんでわざわざ地上に降りたんすかね? ゴーレムも稼働してるし、水もまだ流れてるし、浮島の機能は落ちてないはずですよね? なんでわざわざ貧しい暮らしするとわかってる地上に?」


 桜と千春がそれぞれ疑問を述べるが、俺にはその理由がなんとなくわかる。


「浮島の中でもヒエラルキーがあったんじゃないか? 貧民とかそれに類する存在たちだけが、地上に追放されて、上流階級の人間はそのまま残ったんじゃないか?」


「まぁ、それなら地上にわざわざ降りた理由はわかるけど、今浮島に誰もいないのはどう言うこと?」


「色々理由は考えられるけど、食糧不足なんじゃないかな? ざっと見た感じ食べれそうな植物もないし、家畜も見かけないしね」


「もしくは、クリーチャーに滅ぼされた、という説もありですね。雨からクリーチャーが出現するなら、雨水を生活用水に使っているであろうこの浮島なら、被害は甚大でしょう。閉鎖空間でもありますし」


「でも、それにしては今までクリーチャーは一匹も見かけないっすよね。水から生まれるならいても不思議はないはずっすけど」


 5人で色々ディスカッションしていると、浮島の中でも一際大きな建物を発見し、中に入る俺たち。


「中暗いかと思ったが、明かりが付いてるんだな。やはり、浮島自体はまだ機能していると言うことか」


 そう。建物の中は明かりが煌々と照っており、明かりの魔法が必要ないほどだ。入ってすぐの右手には階段があり、正面は礼拝堂のようなものになっていた。ステンドグラスのような上等なものはないが、神様の像のようなものが奥に安置されており、祭壇のようなものもあるので、礼拝堂で間違いないだろう。


「ま、浮島の機能が落ちてたら浮島自体も落ちてるだろうしね」


「言われて見ればその通りか……」


 白虎にそう指摘されたが言われてみればその通りだった。


「ですが、そうなると人っ子一人いないのが謎ですね。浮島の機能は落ちてないと言うことは浮島で生活することは可能のはずですが……」


「ま、先に進めば分かるだろ。とりあえずここを調べよう。何かあるかもしれない」


 そう言って、俺たちで礼拝堂の中を散策する。礼拝堂らしく、長椅子も並んでいるが、それも朽ちていて、長い期間誰も使っていないであろうことがわかる。

 神様の像らしきものも調べるが、特に変わった様子はない。祭壇も何か捧げ物のようなものがあるが、流石にそれに触るのは憚らられるので観察するだけにとどめておく。

 他の面子はどうだろうかと見ていると、白虎のやつが地面に耳を当ててコンコンと地面を叩いていた。


「うん、この音。やっぱここ地下あるね」


「やっぱりって、確信が何かあったのか?」


「いや、礼拝堂に秘密の地下室は付き物でしょ。多分祭壇動かしたら地下通路が出てくるタイプと見た」


 って、そんな理由で確信したのかよこいつ。少し感心した俺が馬鹿だった。

 白虎は立ち上がると、祭壇を押して──っておい。


「おい、罰当たりなことするな」


「大丈夫大丈夫、手応えは──、よし動いた」


 その言葉とともに、祭壇が動きその下から地下への階段が現れる。


「マジであったよ、おい」


「ふふん。オタク舐めんなって感じだよ。まぁ、ちょっとひっかかりあったから多分何か仕掛けがあったんだろうけど、ゲームじゃないしちょっと強引に行かせてもらったよ」


 そう言って、自慢げに胸を張る白虎。仕掛けとかずに強引に突破ってそんなのアリかと思ったが、白虎が言うようにゲームじゃないんだから、強引な突破もアリなんだよな。


「そんじゃ、地下行こう、地下。絶対なんかあるって」


「あー……。他のみんなは何か見つかったか?」


 急かす白虎を抑えて、俺は他のメンツに何か見つかった尋ねる。


「特に何もありませんでしたね」


「なーんもないわ」


「何もないっすね」


「よし、じゃあ地下行こう、地下! 上に何にもないなら地下だよ地下!」


 3人の報告を聞くなり、地下に行きたがる白虎。まぁ、他に行くところも無いし、地下に行くほかはないのだが。

 さーて、鬼が出るか蛇が出るか。


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