婚約破棄でなく婚約解消だっての。言い方きっつ!!もっと思いやりが・・無いから婚約やめるんだよな、あーあ。
お題は婚約破棄!!またか!!短編書くの楽しい!
@短編その13 ほぼ毎日うpしてます。いつまで続くか。
まさか我が身に降りかかるとは・・・
婚約破棄。
俺はギルファイア・ドーレン。伯爵の次男坊だ。跡取りは長兄セドレイク。
あと2ヶ月で学園の卒業式。
卒業したら婿養子に行く・・・筈だった。
公爵家に婿養子!!大出世間違い無しだったのに、他の男と『真実の愛』だってさ。
・・・まあそういう事もあるさ、こんな逆玉なんか、俺にあるなんて思っていなかったさ。
でも。
なんで婚約破棄って言い方なんだよ!!婚約解消でいいじゃねーか!
俺に非がある言い方に聞こえるじゃねーか!
『真実の愛』で断ってきたのはそっちだろが!・・ゼエゼエ。
まあ、好き合ってたら、いやちょっとは好意があれば、少しは信頼関係があったら・・
そんなもん無いから婚約取り止めになったんだよな、ははは・・・
でも困ったぞ。兄さんも半年後には結婚してここに夫婦で住む。
俺の部屋は子供部屋にする予定だ。
卒業後に改装するから、もう出ていく用意をしなくちゃ。
足を引き摺るようにして学園に行ったら、友人のオラインが暗い顔をしていた。
聞くと・・・
「ギル〜!!俺、婚約ダメになった!!」
何それ!!流行りか?ブームか?
他のクラスにも、婚約解消されたってのが何人もいた。うわー。
俺達婚約ダメになった男達は、会議室を借りて『会議』をする事にした。
婿養子組だけでなく、嫁取り組にも婚約解消された奴がいた。
関係も良好だったのに、いきなり告げられたそうだ。
「うちもだよ。一昨日まで一緒に買い物に行って、食事までしたのに」
「そうなんだ!卒業パーティーのダンスも一緒って約束してたんだぞ?」
「明後日、ドレスを見立てるの付き合って、なんて言ってた翌日、いきなりだよ」
男共、俺もだが、深いため息を吐いた。
「なんかやらかしたのかなぁ・・」
「結構気を付けてたんだがな。変な女を寄せ付けないとか」
「小まめに気を配ったよな。貴族だから、ここは抜かりなかった筈だ」
「本当に『真実の愛』だったなら、仕方が無いよね」
「なあ、もう親には言ったか?」
「まだ」
全員まだ親には報告していない。振られたなんて言い難い。
「困ったな・・」
「ああ・・母上おっかないんだよ、うち」
「俺んとこもだ」
「でもどうしようもないぞ。そろそろ式の用意やり始めたら、金銭的に馬鹿にならん」
「だな」
貴族の結婚までの用意は、半年から一年くらいかけるのだ。
しかもべらぼうな金が掛かる。キャンセルしたとして、作りかけのドレスなんか、どうにもならない。雑巾か子供用の服にするしかない。
「でもさ。その真実の愛の相手、教えてもらおう。そして結婚の用意を買い上げてもらわなくちゃ。うち、公爵家との婚姻で張り切っちゃって、すげー金掛けてウエディングドレスとっかかってたんだわ」
「うぎゃ!!そ、それは買い取ってもらわなくちゃ!!」
「思うだろ?じゃ、俺あいつんとこ行って来るわ」
「頑張れ!」
みんなの声援を受け、俺は令嬢のうちに向かった。
俺がエントランスでノックすると、執事は俺を彼女の部屋に招いてくれた。
あれ?断られると思ったんだが?
ともかく彼女の部屋をノックすると、元?婚約者が顔を覗かせた。
「何か用?」
「えーと・・親がウエディングドレスを用意してたから、もしも『真実の愛』さんさえ良ければ差し上げようかと」
「え・・・いいわよ」
「そうか・・センジュ製のシルクなんだが・・仕方が無いな。分かった」
大奮発して最高級シルクを取り寄せていたんだよな、母上。
がっかりさせてしまうな。ドレスよりも結婚ダメになった俺に・・
こんな事になったけど、早く話しておかなくては。いらん金は使わせないようにしなくては。
そうだ、このシルク、義姉さんのドレスにしてもらおう。
俺が家を出ていくし、公爵家のお嬢さんだから、シルクだけはいいものを使ってくれたんだ。
義姉さんのはちょっと品がランク下だったし、今なら俺の嫁のドレスを作る予定だったお針子さんの手も空いてる。多分義姉さん喜ぶな、これは。
「俺が言う事じゃ無いだろうけど、幸せに」
俺は背を向け、エントランスに向かう。
背中に視線を感じたが、ここで振り向かないのが男ってもんです。貴族の矜恃です。
馬車から車窓をぼんやり見ながら考える・・・
俺、意外と平気だ。もっと落ち込むかと思ったが。
やはり俺とは結婚をしたくなかったのかも知れない。
そして俺も結婚したくなかったのかも知れない。
「じゃ、しょーがねー!」
座席にもたれ、目を閉じた、
心もちっとも痛まないのだ。ちょっと逆玉が残念だった程度かな。
家に帰り、婚約を断られたことを告げ、シルクはいらないと言われたから、義姉さんのドレスに使ってくれと言うと、義姉さんものすごく喜んでくれた!!
生地を何度も触り、
「すごくスベスベ!!光沢も素敵!!ありがとう!!」
「ありがとう、ギル。彼女が実はすっごく羨ましがっていたんだ」
義姉と兄がご機嫌になって、俺は家にしばらく居られる事になった。良かった〜!
今から将来の道を考えなくちゃ!家ばかりを頼っていられないからな!
両親だが、断られた事に対して苦笑していた。
「お前に公爵家は無理だと思ってたから、これでいい」
「公爵家の領地運営やその他・・あなたじゃ無理よ。遠縁が隣国にいるから、そこに留学でもして来なさいな」
優しく慰められ、俺もちょっと涙ぐんでしまった。
「こんなに良い子のギル君を!私、許しません事よ!」
「ああ。全くだ!」
義姉さんと兄が怒ってくれて、嬉しかった。ああ、やっぱり家族っていいなぁ。
卒業パーティーのお相手は、近所の子爵令嬢、幼馴染に頼む事にした。
学園に行くと、みんな勇気を出して婚約を断られたと正直に言ったそうだ。
「親や兄弟が一斉に怒ってくれてね。ありがたいなーって」
「うん、うちもだよ。怒られるかと思ったんだけど、みんな慰めてくれてさ」
「ちょっとホッとした」
うん、みんなよかったな。家族ってやっぱり良いよな!
俺もしみじみ思ったよ。
みんなも卒業の進路が変更したようだ。
「俺は留学に行けって」
「俺んとこもだよ。レイブル公国」
「あ!同じ国!よろしく!」
「こちらこそよろしくな!」
「俺んちは兄と一緒に農場とブドウ栽培。ワイン製造を任せるって」
「私はもっと良い娘を紹介するって。もう隣国の王女に話をもっていくんだとさ」
「さすが大公は違いますな!」
「だって、たかが侯爵令嬢だぞ?父上はもう、逆鱗だったさ」
みんなも卒業パーティーの御相手、すぐに親が見つけてくたそうだ。
「やはり持つべきは頼りになる家族だな!」
「そういうこった!!」
あはははと笑いも出て、解散となった。
その後・・
令嬢から連絡があったが無視。
だってもう他人ですからね。それに『真実の愛』さんに対して申し訳無いじゃないですか。
不義理な事など出来ません。
ええ、婚約者がいるのに、他の異性に心移るなんて。
そして卒業式を終え、午後は卒業パーティー。
俺は幼馴染の令嬢を連れ、友人達もそれぞれ可愛い娘をエスコートして会場にいた。
大公子息は話にあった隣国王女様を連れて来ましたよ!
素晴らしく美しいお嬢様で、会場のみんなが溜息を吐いた程。
大公子息も超美男なので、本当お似合いだ。
さて。俺達の『元』婚約者だが・・・来ていなかった。
そりゃそうだろう。
実は2週間ほど前、騒動があったんだよ。
婚約破棄の理由というのがね、笑っちゃった。
「婚約破棄して、改めてプロポーズをしてもらい、二人の真実の愛を確かめたかった」
って・・・なんだそりゃ!
どうも今流行の雑誌の小説にあったんだとさ。
この雑誌、乙女の夢がぎっしり!がコンセプト・・夢だから夢なんだって。
現実見てくださーーい!
なんでも一度婚約は破棄し、家との結婚でなく、二人の気持ちで結ばれたかった・・・と。
他の男の元になんか行かないでくれ!!と、言ってもらいたかったと。うわ。夢見すぎ!
つまり、真実の愛さんなんて、いなかったと?嘘なの?捏造なの?
いやいやいや!!そんなトリッキーな事せがまれてもな?
18歳の半分ガキの俺達には難易度が高い!!
それに俺達にはもう、新しい婚約者がいたり、留学や自領運営とか、それぞれ道を決めてしまった後だし、もっと早く言い訳しに来いよ。ま、破棄は取り下げないけどさ。バカにすんなって事さ。
それにシルクは義姉さんのドレスに使ってしまったし。
この子、シルクすごく執着してたよ・・知るもんか。
俺達を試そうだなんて!
「残念だったね。人を試したり、嘘をついたりすると痛い目に合うって、勉強になったね」
もう俺達は振り向かない。今、彼女達がどんな表情をしてるかなんて、知りたくも無い。
今日で学生生活は終わりだ!
可愛いお嬢さん達と、ファーストダンス。
クルクルと回って、ああ楽しい!スッとした!!
身軽になったし、俺の人生、これからだ!
ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。
どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。
pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。
https://www.pixiv.net/users/476191