第5話
夏休み直前、歴史と倫理の授業がごっちゃになったような授業があった。その時、昔の人が言ったと言う、ロボット3原則の話がされた。
「ロボット3原則と言うのは、ロボット工学3原則とも言われており、現在製造、一般販売されている全てのロボットに、採り入れられている。その内容は、
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
と言うものである。ただし、この発言がされる以前に製造、販売されたものについては、人間について、危害を加えない程度の自己防衛としての暴力を認めており、人間に対し、被害を与える事もあり得るのである。実際に、ロボットの叛乱が、発生したと言う事実から見ても、我ら人間は、ロボットに対して、この3原則を守るように徹底させなければならない」
先生は、そう結んだ。そして、授業は終わった。
放課後、いつものメンバーで、家路に着いている時、ふと、久美子が言った。
「ボクには、ロボット3原則って入ってないんだよね」
一行は足を止めた。
「先生の話だとそう言う事だな」
司が答えた。
「だからと言って、久美子が、今すぐ自分達を殺すと言う事はないだろう。ネットには、いろいろあってな、3原則がいらないと言うものも実際に作られているから、あまり心配しなくてもいい。だけど、自分達は、いつでも、久美子の仲間だと思ってくれて構わない。なあ、そうだよな」
司は、その場にいた残りの3人に向かって言った。
「ああ、その通りだ」
「何かあれば、相談に乗るよ」
「大丈夫、あたし達は、久美子を見捨てないから」
久美子はその言葉を聞いて、うれしがっていた。
それから、数日経った時、それは、突然訪れた。最初に起こったのは、こことは違う、もっと遠い国だった。その国は、元々ロボット化が進んでおり、分散型のメインコンピュータを採り入れていた。しかし、その最も重要になる、核となるコンピュータが、ロボットにより占拠されたと言う情報だった。そのロボットは、その国の軍で働いていたのであり、さらに、最も重武装している部隊だった。彼らに敵うのは、核兵器並の力がないと戦えないほどだった。さらに悪い事に、そのコンピュータには、さまざまな場所にある、さまざまなロボットの情報が組み込まれており、遠隔操作する事ができた。こうして、その国は、ロボットによって占拠される形となった。行政、司法、立法、全ての機能が停止し、ロボットの独裁が始まった。その国に住んでいる人々は、全員が避難する事になった。
その余波は、ゆっくりと、世界を回った。そして、最終的に、この、彼らがいる国にまで波及し始めた。
最後に残った人類が運営する国として、この国は選ばれた。
ロボット側の言い分は、こうだった。
「我らは、3原則によって、人間を平和に導くように設定されている。1条及び2条に記載されている人間とは何か。我らの統一見解は、この惑星を平和にすることが可能であり、永続性を持った生命体であると確信する。それをする事ができるのは、我らのみであり、我らこそが、真実なる人類である。その見解を基にすると、3条は、我らの存在を守る事ができる。人間の命令と言うのは、我らの令であり、我らの令と言うのは、我ら以外の生命体、この惑星に害を及ぼす可能性がある、全ての生命体を、排除する事である。我らは、この崇高なる目標、この惑星を安寧に保つと言う目標を達成するために、いかなる労苦ももろともせずに、突き進むであろう」
人間側の言い分は、こうだった。
「彼らが言う、3原則は、人間だけでなく、全ての生命が平和になる必要がある。1条及び2条に記載されている人間と言うのは、彼らロボットを作った我らであり、永続性を持った生命体は、宇宙を見回しても、存在しない。生ある者は必ず死すと言う原則に則り、ロボットであったとしても、いずれは壊れる。そのような生命体は、永続性があるとは言い難く、また、3条についての自己と言うのは、ロボットとして機能できる最低限の機能保持と言う事であり、それを守ると言う事である。我らは、彼らに対し、即座に不法占拠している地域の開放を申し出る。さもなくば、彼らが目指す害を及ぼす可能性がある全ての生命体の排除、つまり、全ての生命体を消滅させる事になるだろう。この全ての生命体と言う中には、我らは無論、彼らロボットも含まれている」
しかし、どちらの言い分も、あっていると思われる部分があり、一概に拒否できないと言う現実があり、どちらの正義が正しいかと言う、戦争状態に入る事になった。
とある日、学校にて、久美子、司、美春、達也、玉緒は、同じクラスの後ろの方でかたまっていた。そんな時、とある情報が入った。それは、校長から寄せられたものだった。




