第1部 (9)
関係の世界を築いている境域は三つある。
第一は自然との生活。そこでは関係は暗闇の中で揺れ動き、言語が用いられることはない。被造物たちは我々に向かって動くが、我々のところに来ることができず、我々が彼らに「汝」と言葉を発しても言語の入り口で固着してしまう。
第二は人間たちとの生活。そこでは関係は明白で、言語の形態を取っている。我々は〈汝〉を与えたり受け取ったりすることができる。
第三は精神的実在者との生活。そこでは関係は雲に覆われていても明白になり、無言であっても言語を創造する。我々は〈汝〉の声を聞きとることはないがそれでも我々に呼びかけられるのを感じ、我々は形作り、思考し、振る舞いつつ、これに答える。すなわち、我々の口でもって「汝」と言うことはできなくても、我々の本性でもって根源語を語るのである。
だがいかにして我々は、言語外のものを根源語の世界に取り入れることが許されているのか?
それぞれの境域において、それぞれ我々に現前している生成者を通して我々は永遠の〈汝〉の裾のほうを注視し、それぞれの境域から我々はその〈汝〉の息吹を聞きとり、それぞれの境域でその在り方にもとづいて、それぞれの〈汝〉に我々は永遠なるものを語りかけるのである。