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第1部 (3)
〈我〉はそれ自身では存在せず、根源語〈我‐汝〉の〈我〉と、根源語〈我‐其〉の〈我〉があるだけである。
人間が〈我〉を語るときは、双方のうちのどちらかを考えている。人間が〈我〉を語るとき、彼の考える〈我〉、それがそこに存する。また人間が〈汝〉あるいは〈其〉を語るときも、一方または他方の根源語の〈我〉がそこに存する。
〈我〉が存することと、〈我〉が語ることとは同一である。〈我〉を語ることと、根源語のどちらか一方を語ることとは同一である。一方の根源語を語る者は、その語句のなかに踏み込み、その中に立ち位置を定めるのである。